謙譲し過ぎ―日本に帰って思ったこと2 | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

日本では、謙譲の精神を美徳としすぎと思う。


人間ドックに患者として行った時のこと。

「そこに腰をかけていただくことはできますか?」 って、丁寧なのも行き過ぎ。できるかできないかの問題じゃないだろう。そこに腰をかけてください、でよいと思う。そのくらいの命令口調でぜんぜんおかしくないと思う。


検査がほぼ終わって、少し待ち時間があった。待合は喫茶店みたいになっていて、コーヒーなどの飲み物とクッキーを出してくれる。私は、ほうじ茶をもらった。絶食絶飲だったからうまい。

「お茶のおかわりの方いかがですか?」(接客担当)
「大丈夫です。」(患者)

って、どう「いかが」か、「大丈夫」だとどうなのかわからないのだけれども、それで通じるし、「おかわり要りますか?」「いいえ、いりません」などと直接形にするのは“よし”とされない。




「○○させていただく」という表現が軟らかいのはわかるが、使えるところと使えないところがあるという意識は持っておく必要があると思う。

飛行機が飛び始めてしばらくすると機長のアナウンスがあるが、そこでも謙譲精神のオンパレード。もうちょっと自信をもって操縦してくれた方が客は安心できる。日本人機長が「当機は、現在高度約1万メートルで飛行させていただいております」って、いくらなんでもねぇ。

パスポートコントロールの官職でさえ柔らかい。
「ボーディングカードの方、よろしいですか?」と間接表現をする。なにが「よろしい」のかわかららないのだが、「ボーディングカードも出してください」というような表現では「キツイ」ということになるようだ。



そういえば、コンビニでお金を払うときに1万円札をポンと出したら「おつりの方、よろしいですか?」と聞かれて、ギクッとしたことがある。「よろしいですかって、あなた、千円以下の買い物なのに、おつりはキッチリもらいますよ」と言おうとした。が、とっさに、「端数を処理しやすいように小銭を出すつもりはありますか」という意味で聞いているのだと察して、「それでお願いします」と応えることができた。

その場はそれで丸く収まったが、よく考えると「おつりの方、よろしいですか?」に対して「それでお願いします」では、おつりを没収されていてもおかしくなかったなあ、なんて後で思ったりしたのである。