サービス精神―日本に帰って思ったこと3 | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

日本人は、自分の意見を相手に合わせて決める。これが大人の態度である。自分の考えはこうだ、と言う前に、相手の考えの方をまずキャッチし、それに合わせるかっこうで自分の考えを相手に伝えるのがよい。単に自分の意見を言うだけだと、相手の意見と対立する場合には相手の不愉快にさせるから。

日本文化の基本は「恥」である。日本人は「恥」をかきたくない。そして、それ以上に重要なのが、相手に「恥」をかかせないこと。このため、空気を読むことを重視し、他人に合わせ、自分の意見はできるだけ言わないようにする人が高く評価される。「○○する」ではなく「○○させていただく」という表現ができる人が出来た人ということになる。
しかし、これは裏を返せば、自分に確固とした自我がなく、優柔不断で、自分からは何もしない人ばかりの社会を作っていることになる。



この相手に合わせる日本文化は、私が知る限りでは世界中で日本だけが突出しており、お隣の韓国も含めどの国にも到底真似のできないレベルに達している。まさしく、ガラパゴス的文化といってよい日本特有の文化である。

これは悪い方に向かうと、誰も何も変化させることが出来ない社会を作ってしまう。

一方、それがすばらしく機能することもある。
この日本の優柔不断さを、「外国では通じない」などと否定してしまうのでなく、ポジティブな方に使うことを意識することが日本の将来を開くのではないかと思っている。

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成田エクスプレスでのこと。

今回の日本出張では、成田から東京駅まで成田エクスプレスに乗った。
わずか1時間ほどの道程なのだが、今でも飲食類のカートが健在だ。

カートの売り子さんが、とても丁寧である。対応が丁寧なだけでなく、本来の自分の業務範囲を超えて、親切であった。

成田から乗って東京駅に着いた。私の前でドアが開くのを待っていた外人さんが、大きな自分の荷物と食べ残しのゴミの塊とを手に持っていた。

すぐ横に、ほぼ業務を終えた売り子さん(たぶん20代前半)がカートとともに待機していた。

そして… 売り子さんがその外人さんに対して「私がゴミ箱に入れてあげましょう」と言ってゴミの塊を受け取り、近くにあったゴミ箱に入れたのだった。


これは、日本以外では、絶対に、絶対にありえない光景だ!

これが出来る日本人は偉いと思う。そして、それを支えている日本文化も偉い。