法律、技術、語学 そしてリーダーシップ | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

 「面接ガイドラインの不思議」シリーズで、弁理士数が本来の弁理士業務に必要な数にはまだまだ達しておらず、もっともっと増やすべきだという点を、私は結論のひとつとしました。

 それ以外に、弁理士数を増やす意義が別のところにもあると私は考えています。これは、特許事務所の経営担当をさせてもらっている私が常日頃から感じていることです。



 昔から、弁理士に必要な才能として「法律、技術、語学」の3つが一般に上げられます。この原則は、今も、そしてこれからも変わることは無いでしょう。
 弁護士のように法律に詳しくなくてもよいし、科学者のように科学技術に詳しくなくてもよいし、通訳・翻訳者のように語学に達者でなくてもよいのです。それら3つの才能をバランスよく持っている人が有能な弁理士になれます。


 そうではあるのですが、最近はそれら3つだけでは足らない状況が生まれてきていると思えています。

 何が足りないかというと、リーダーシップです。リーダーシップに才能がある弁理士が足りません!多数の弁理士を束ね引っ張っていける能力をもった弁理士が特許業界には必要になっているのですが、なかなか見当たりませんのです。

 「法律、技術、語学」の3つを兼ね備えた弁理士が“いい仕事”をすればよいのですが、一人の人間(弁理士)がクライアント(会社勤務でも法律的には法人がクライアント)から要求される何もかもを充分にこなすのは今や困難になっています。それほど、弁理士仕事が高度化してきているのです。高度なクライアントの要望をしっかり満たせる体制を作り出すのに、組織作りが必要になってきています。
 組織をつくりスムーズに運営するためには、リーダーシップが必要になります。

 もちろん、弁理士全員がそうである必要はありません。そのようなリーダーシップと、狭く深い思考が必要となる弁理士業務とは相反する性質を持っているといえるので、弁理士のマジョリティにはリーダーシップはたいして重要ではないと思います。
 そうなんですけれども、組織作りの重要性が増してきている特許事務所業界にあって、リーダーシップを発揮できる弁理士の需要が高まっているということです。

 試験制度が、コツコツ孤独に勉強して合格する形になっているためなのだろうかと思いますが、「こいつはリーダーシップがあるなあ」と思わされる弁理士に出くわすことがほとんどありません。
 リーダーシップを発揮できる弁理士の出現は、確率の問題なんだろうと思います。底辺が広ければ、それだけリーダーシップを発揮できる弁理士の数は増えるということなんだろうと思います。
 その意味で、弁理士試験が合格しやすくなったのは結構なことだと考えています。リーダーシップの方の才能をもっているなら、残りの3要素は平均的な弁理士のレベルより低くてもいいのです。




 経営担当弁理士として、私は特にリーダーシップを発揮できる弁理士の増加に期待をしています。この方面の才能も弁理士業界に集まってくれないと、将来が暗いと思います。


(再び、海外出張のときが近づいてきました。インド旅行記を早く復活したいとは思っているのですが、さてどうなることやら)