To Have or to Be? | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

ニュー・リッチの王国(本当の豊かさとはなにか?)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%9B%BD-Kobunsha-Paperbacks-124-%E8%87%BC%E4%BA%95/dp/4334934447
を読んだ。日本の「格差社会」の下側に焦点を当てて書かれたものはたくさんあるが、日本の上側についてのものは読んだことが無かったな、と思って。

たぶん、リッチになった日本人の典型的な心の変遷のようなものを基準に並べた形でこの本は作られている。各章で登場人物は異なるが、それを時系列に当てはめてみると、そのような順番になっているのだ。著者はそう明言することは、たぶん最初の方に出てくるリッチに対して失礼なので避けられたのだろうと思う。


昔読んだTo Have or to Be? (by Erich Fromm) http://www.amazon.com/Have-Be-Erich-Fromm/dp/0826409121が、思い出された。
調べてみると、このフロムの本は今も日本語でも出ている(邦題:生きるということ)。少し安心した。1976年の作品である。何十年経っても、人間はそう簡単には変わらないのだなあ、と改めて思った。
「To Have or to Be?」は、シェークスピアの「生きるべきか死ぬべきか?」をもじったもので、「持つべきか活きるべきか?」というような意味。禅思想に強い影響を受けたフロムは、より多く持つことが「希望(夢)」となってしまっている人々に対して、「それであなたは幸せになれますか?」と問うている。

「ニュー・リッチの王国」の最初の7割くらいは、富裕層=高額消費層というような話ばかりが展開されており、やたらめったら挿入されている英単語と合わせて、大変に気持ち悪かった。実際には、高額消費層→富裕層ではないし、高所得層→富裕層でもないのだけれども、そこに展開されているのは高額消費層→富裕層、高所得層→富裕層を前提にした話ばかり。宝くじ1等賞が当たった人が居るのと同じように、そのような人たちも世の中にはいるのだろうけれども、それは富裕層の中のホンの一握り。
かろうじて最後には、浪費生活者でない富裕層の話も書かれており安心した。


「金持ち」本を読むのであれば、「となりの億万長者」http://www.amazon.co.jp/%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E2%80%95%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%82%92%E7%94%9F%E3%82%807%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87-%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BBJ-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4152081082
を私個人としては圧倒的にお勧めしたい。

少なくとも私の知る限りでは、こちらの方が富裕層の全体像を正確に描写していると思う。富裕層になった人々についての分析も面白いが、その子供の人生についての分析も面白い。