City Slickers | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

City Slickersっていう映画がある。日本ではヒットしなかったらしくて、あまりよいウエブページが無い。あえてあげると、ここ
http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=1391

また、ここにいくと、英語だが映画の予告編と写真を観ることができる。
http://www.imdb.com/title/tt0101587/

この映画を、一昨日、ちょっとした機会があって観た。




映画City Slickersは、ニューヨークで働くミドルエイジ・クライシスに遭遇した主人公(39歳)がカウボーイゴッコ・バケーションツアーを通じて元気を取り戻す、というような筋なのだが、内容の深さは決してそれにとどまっていない。

ここに、一場面がコピーされている(合法かどうかは知らないが)。
http://www.youtube.com/watch?v=sH6unNljq7E&feature=related
主要登場人物の3人が、それぞれ今までの自分の人生でベストだった日とワーストだった日を語り合う場面。こころに染みるものがあると思うのは私だけではあるまい。

一番有名なシーンは、以下の会話で成り立っている。
Mitchが、Billy Crystalが演じる主人公。Curlyは、人を殺したこともあるといわれている老カウボーイ。

Curly: You know what the secret of life is?
Mitch: No, what?
Curly: This.(右手人差し指を立てて)
Mitch: Your finger?
Curly: One thing. Just one thing. You stick to that and everything else don't mean shit.
Mitch: That's great, but what's the one thing?
Curly: That's what you've got to figure out.

ここに出てくる「Just one thing」がこの映画の骨子だ。


やはり観ないとよくわからないと思うけれども、その「one thing」会話に至る前に、次のような会話がある。

Mitchが、生涯ずっと独身を通したCurlyに、女性を好きになった(loveした)ことはないのか、と問う。Curlyは一度だけある、と答える。そして、そのときのことをCurlyは語りはじめる。

大平原の向こうに夕日が沈む頃、馬に乗っていたら、腰をかがめて農作業をしていた女性が、グッと腰を伸ばしたのが見えた。そのとき、その女性の体が夕日によってシルエットになった。それがとっても美しく、その女性を愛してしまった。そして、…

Curly: I just turned around and rode away.
Mitch: Why?
Curly: I figured it wasn't going to get any better than that.
Mitch: Yeah, but you could have been, you know, with her.
Curly: I've been with lots of women.
Mitch: Yeah, but, you know, she could have been the love of your life.
Curly: She is.

この「She is.」には鳥肌が立つ思いがする。

日本ではヒットしなかったのが不思議だ。日本人にもよくわかる、はず。




自分の命を生きることのすばらしさ、難しさ、残酷さ。他の命に対峙することのすばらしさ、難しさ、残酷さ…
自分の死を自覚することのすばらしさ、難しさ、残酷さ。他の死に対峙することのすばらしさ、難しさ、残酷さ…
こういったことが、ひしひしと伝わってきながら、笑い転げざるをえない爽快感もくれる。久々に観たが、やはりすばらしい映画だった。

アメリカ西部の荒野の真っ只中。法律なんて関係ない。「自然」に根をつけた生活。
人工の容器の中で、大自然(神)が作った命のことを忘れ果てて、あたかも自分が人工であるかのごとくに振舞っている現代人を「自然」にチョッピリ戻してくれる、City Slickersはそんな映画だ。