ブラウン管からこんにちは。 | 水無月草

水無月草

BL好きな主婦のブログです。ネタバレしてます。

以前住んでいたマンションで、

 

空室になっている部屋が

 

テレビドラマの撮影に使われたことがあったんだ。

 

 

ある日、玄関のチャイムが鳴って

 

「はーい」

 

とドア越しに出たら

 

「すいませーん、テレビ局の者ですー!」

 

と若い男性の声。

 

 

うちは用件が分からなければドアを開けないし、

 

用件によってはドアを開けないんですよ。

 

特にそのときは家の事情で

 

宅配便も玄関先に置いてもらうようにしていた。

 

 

なので、その若い男性の声にも

 

「はい」

 

とだけ返答。

 

そこには(ご用件は何ですか?)が込められているのは

 

だいたいの人なら分かると思う。

 

しかも若い男の子なら、最近の防犯意識にも敏感だろうし、

 

特におかしな対応ではないと思う。

 

てかこうしないと私が夫に怒られる^^;

 

 

そしたら、明らかに

 

(え!? 俺、テレビ局って言ったよね!?)

 

という戸惑いがドア越しから伝わってきたんですよ。

 

 

ここでいろいろ察するものがあった。

 

 

この態度、悪質な分譲マンションの営業マンより質が悪い。

 

「テレビ局」といえば諸手を挙げてチヤホヤしてもらえると

 

信じて疑っていないよ…。

 

 

ただ、この無邪気さが、

 

テレビ局の人であることを裏付けているともいえた。

 

玄関開けさせるための嘘なら、

 

ここで戸惑わないはずだもん。

 

 

かといって本当にそうかは分からないし、

 

用件も分からないのに開けるわけにもいかないので、

 

「ご用件は何ですか?」

 

と聞くにとどめた。

 

そしたら、空いてる部屋をドラマの撮影に使うから、

 

そのお知らせを持ってきました、と。

 

じゃあポストに入れておいてください、

 

ご丁寧にありがとうございます、

 

とだけ伝えて帰ってもらった。

 

 

玄関を開けないことに最後まで戸惑っている感じだったけど、

 

宅配便は玄関先に置いておいてくださいと貼り紙もしていたから、

 

少し考えれば「ドア開けたくないんだな」ということくらいは

 

分かるだろうと思った。

 

 

それからしばらく経って撮影が始まり、

 

駐車スペースのところに関係者らしい人たちが

 

集まるようになった。

 

通りすがりにチラ見するくらいだったけど、

 

あの人が役者さんかなー、とか、

 

あの人がスタッフさんかなー、とか、

 

なんとなく分かった。

 

役者さんは一般人とは目を合わせないだろうし

 

スタッフさんたちは職業柄、寡黙だろうし。

 

 

それは別にいいんだけど、

 

ときどきとんでもなく感じの悪い人がいたのが

 

すごく印象的だったんだよね。

 

スタッフさんに比べて身なりが良かったから

 

たぶん責任者クラスの人なんだろうけど、

 

こちらが通り過ぎるときにいやな視線を向けてきて

 

「あの人うちらがAV撮ってると思ってるんだよ」

 

と聞えよがしに言ってきたりするんだわ^^;

 

しかも女性なんだよすげえビビッた。

 

確かにドラマのタイトルがちょっとギョッとする感じでは

 

あったんだけど、

 

そんなのお知らせをいただいた時点でネットで調べて

 

AVじゃないことは確認済みだったし。

 

後日、似たような感じの横柄なおじさんにも遭遇して、

 

そういう手合いが一人じゃないことにも驚いた。

 

つまり個体差ではなくポジションに依存しているんだよね。

 

 

なんかその、たとえが古くて申し訳ないけど、

 

『とんねるずのみなさんのおかげです』

(したじゃない方)

 

に出てきたダーイシみたいな感じ。

 

あれテレビで観る分にはいいけど

 

実際に遭遇したら最悪だろうなと思っていたら

 

いい大人になってから実現しちゃったよ(・∀・)☆

 

 

今時、工事やお掃除の人だって

 

「お騒がせしてまーす」

 

の一言くらい言うのにね…。

 

昔はひどいもんだったけど、

 

いつの頃からかそうなって、

 

それで当たり前になっていた。

 

 

でもテレビの世界って、

 

一番景気の良かった頃の文化で

 

止まってしまっているのかも?

 

あの感じ悪い人たちだけ、

 

子どもの頃のブラウン管テレビから

 

出てきたみたいだった。

 

 

社会人一年生からああいう中に入ってしまうと、

 

弁えらしいものは何もできないだろうなぁ。

 

 

それを考えたら、胸の奥がブルッとした。