アメリカの財政が黒字化のニュースです。
まずはドル安定という観点からは効く材料ではあります。
しかし、日本の財政問題には要警戒な要素が含まれています。
アメリカにしろ他国の経済が回復してくると意識され始めるのは金利動向。
アメリカは2014年末まで低金利政策でいくと表明していますが、景気回復が順調に進めば金利引き上げ方向に政策の方向を変える可能性が出てきます。
そうなったときに日本の財政状態が現状のままであれば、ゼロ金利政策の見直しを迫られる時期やリスクについての話題が多くなるでしょう。
すると、金利を引き上げざるを得なくなったとき、利払いによって財政状況が一気に悪化する点も意識されることになります。
2012年度末には日本の長期債務が1000兆円大台に乗るとの試算がなされていますが、わずかでも金利上昇が影響してくれば、利払い負担がもたらす財政再悪化によって日本国債格下げのリスクとも背中合わせという状態になるでしょう。
今年はアメリカ大統領選を控え、否が応でも現職大統領の経済手腕にスポットライトが当たる時期です。
景気浮上が果たせない大統領が再選される確率は低いため、オバマ大統領としてはアクセル全開で政策の効果を上げたいときでしょう。
これから大統領選までの間、特に夏にかけては「アメリカ経済復活」「財政改善」のニュースは多くなるだろうと推測します。
となると、日本の抱える問題点=財政状態は戦前のときと酷似(先月号の文芸春秋における池上彰氏による塩川正十郎氏へのインタビュー記事に詳細)という危うい日本の財政状態を解消しようと導入論議となっている消費税増税法案の行方に否が応でも注目度が高まってくることと思います。
行政改革なき増税論には反対の声が出るのは当然ですが、政府与党の示すストラテジーが日本の財政問題解決に実現可能なことなのか、ここは真剣に耳を傾けたいところです。
国民も無関心ではいられません。「日本がアルゼンチンタンゴを踊る日」(いずれ財政破たんしたアルゼンチンみたいになるかも、という内容)という本もあるくらいですから。
老いてタンゴでふりまわされたり、けつまずくのは誰もが避けたいはずです。