2020年1月頃より中国→日本、そして3月以降はアメリカ・ヨーロッパなど世界中に流行し、多大なる影響を与えた「新型コロナウイルス感染症」。本騒動が遊園地・テーマパーク業界の影響について、簡潔ですがまとめました。

 

○2020年1月
2020年の年明け早々より、中国で「新型のコロナウイルスによる肺炎が流行している」ニュースが頻繁に報道されるようになり、人がたくさん集まる、かつ中国人を含む外国人観光客が多い施設は大丈夫なのかと警戒しする声が多くなる。
 
※本来、東京ディズニーリゾートにおいてはキャストのマスク着用は一切NG。これはディズニー社との契約によるもの(マスクを日常的に着ける習慣があるのは世界でも日本くらいで海外では極めて異様に映る)で、これが覆されたのは事態の深刻さを物語っています。
同日1月28日には日本国内で初めて感染者が出たことで、益々警戒心が広がる。マスクが深刻な品薄になってきたのもこの時からだと思います。
 
○2020年2月上旬~中旬
この頃には連日ニュースや新聞で新型コロナウイルスの感染状況(感染者数)が報道されるように。各遊園地は従業員のマスク着用や検温など体調管理を体制整備、施設内の消毒、キャラクターグリーティングの休止、屋外アトラクションの休止等の対策に追われる。
※例として富士急ハイランドでは「戦慄迷宮」、「絶望要塞3」、「富士飛行社」、「無限廃坑」など屋内アトラクションは1日30分換気のため営業を中止するなどの対策を行っていました。
 
ただし、この頃は世間の「外出控え」の影響や外国人観光客の減少などはあったものの、全体の集客に影響を与えるほどではなく、また元々この時期は(あまりコロナウイルス感染等を気にしない)試験休みの小中高生や一足先に春休みを迎えた大学生など学生の集客がメインでもあり、各遊園地はその客層を中心に普通に賑わっていたため、まだ先行きに関して強い不安を感じるまでではなかったと思います。
 
自分も2月14日〜21日まで東京ドームで開催されていた「世界らん展」に行ってきましたが、このよう会場はたくさんの来場者で賑わっていました。
 
ついでに東京ドームシティアトラクションズにも行ってきましたが、家族連れや外国人観光客もちらほら見受けられて、学生のお客さんも多かった。なので個人的には「新型コロナウイルスへの過剰な反応は一時的なもので、暫くすれば落ち着くだろう」とも思っていました。
 
 
○2020年2月21日(金)「サンリオ・ピューロランド」が休館を発表
2月21日(金)に「サンリオ・ピューロランド」(と大分県にある「ハーモニーランド」)が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため休館を発表。レジャー業界の多くの企業に衝撃を与えたと思われます。なお、この時点では後述の政府による要請等もなかったため、あくまで企業として自主的な休館と推測されます。
 
2月26日(水)、安倍首相(当時)が「新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、大規模イベントについて今後2週間は自粛し、中止や延期などの措置を取るよう」呼び掛けたことで、各パーク内においても、主に屋内外ステージ等を使用したイベントも相次いで中止となりました。

 

○2020年2月28日(金)ついに「東京ディズニーリゾート」が休園を発表、全国のパークに"臨時休園"の波が広がる。

2月28日(金)11:30頃ついに東京ディズニーリゾート(ディズニーランド・シー、イクスピアリ等)が休園を発表しました。その日の午後には、国内の各パークが次々同様に臨時休園を発表、USJも18時頃に臨時休園を発表しました(ディズニーリゾートと同様2月29日のところもあれば3月1日もしくは2日からと数日猶予を持たせたパークもあった)。

 

一方で、那須ハイランドパーク東京ドイツ村(千葉)など屋内施設などを休止して、ジョイポリスVR渋谷レゴランド・ディスカバリーセンター(お台場)など営業時間を短縮したり小中高校生の入場制限して臨時休業をせず営業を続けているパークもありました。

 

○3月7日(土)~ 一部パークが営業を再開

3月7日よりさがみ湖リゾートプレジャーフォレストがイベントや一部屋内アトラクションを除いて営業を再開、3月9日から富士急ハイランドも営業を再開(当初はアトラクションは全て運休だったが、11日よりコースターを含む屋外アトラクションが随時運行を開始)。なお、現在では各遊園地・テーマパークで行われている「待ち列内の足元にマークを付け、間隔を空けて(ソーシャル・ディスタンス)並ばせる」方式を一番最初に取り入れたのが富士急ハイランドです。当時は「ここまでするのか」、「こんなの守る奴いないだろう」など揶揄する意見が多かったけど。

 

○3月11日(水) 「東京ディズニーリゾート」が4月上旬まで休園期間を発表。

3月11日15時頃、オリエンラルランドは「東京ディズニーリゾートの休園期間延期」を発表しました。4月15日オープン予定であった新エリアの開業までが5月中旬まで延期(その後延期が繰り返され、最終的に9月28日オープン)、3月中旬~下旬で終了予定のイベント・ショー(「ファンタズミック」など)も前倒しで突然の終了という形に。

 

〇3月20日~ 各パークが営業再開

3月20日以降、多くのパークが営業を再開。屋内施設の休止、入園時に検温、待ち列の間隔空け、一部アトラクションは空席を作って乗客同士の間隔をあけて営業、各所の消毒、イベント等の中止などの対策が行われました。

 

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、3月25日(水)東京都では1日の感染者が各日40人を超すなど数が急増。

その後の解析で、当初の「中国由来」のウイルスはほぼ収束していたものの、今度は「欧州由来」のウイルスが日本国内に蔓延していた事が判明している。このよう新型コロナウイルスは非常に変異を起こしやすく、集団免疫で収束したところに変異株が入り込んでまた感染拡大するという、収束と流行の繰り返しが翌年2021年以降も続いており、全体的には一向に改善しない状況に人類は大いに悩まされることになります。

 

3月25日の夜、東京都「小池都知事」が「週末28日(土)・29日(日)、不要不急の外出を自粛するよう要請」。翌日26日には埼玉県神奈川県、千葉県、山梨県など近郊の県内も同様の外出自粛や都内への移動自粛の要請を出したことで、遊園地・テーマパークは再び臨時休園に。

 

〇4月7日、ついに「緊急事態宣言」

その後も状況は一向に改善せず、東京都内の感染者は1日100人を超えるなど増加していき、ついに4月7日には政府が「緊急事態宣言」を発令(4月8日0時より効力)。

 

緊急事態宣言以前に、都内及び近郊の件の各パークはどこも「当面の間、臨時休園」でしたが、4月7日に4大コースター含む屋外アトラクションを営業していた「富士急ハイランド」、「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」が休園を発表。さらに4月10日以降、当初は営業中であったレゴランドやラグナシア、ナガシマスパーランドなど地方のパークも休園を発表、4月16日に緊急事態宣言が日本全国に発令されると報道されたことで、北海道や大分等を含めて殆どのパークが臨時休園に。

 

緊急事態宣言の期間が5月6日(水)GW明けまでであるため、4月29日(水・祝)~5月6日(水)GW期間も各パークは休業。2020年のGWは自粛につつまれた静かな連休になりました。

 

今回の遊園地休業を受け、オンライン上で各遊園地のコンテンツ(アトラクション動画など)が楽しめるサイト「おうち遊園地」が4月28日(火)に公開されました。大手遊園地の殆どが加盟している「東日本遊園地協会」が運営しており、同協会加盟の各遊園地が登録されています。

 

その後、緊急事態宣言は5月25日に全面解除となり、地方の遊園地など早い所では5月下旬より、東京都内は6月中旬より営業を再開。7月1日には東京ディズニーランド・シーが営業を再開しました。

 

こうして、新型コロナウイルス感染拡大の騒動は、一先ず収束したかのように思えました。しかし、その後も前述のようウイルスの変異による流行、第2波、第3波と感染拡大は続き、上記の2020年2月~6月のような社会全体の一斉休業までではなかったものの、後述の各施設への営業規制、そして感染拡大による被害は一層深刻なものになりました。

 

〇2020年7月~8月「第2波」

7月より再び感染者数は増加しはじめ、7月2日には東京都の感染者数「107人」、以降もほぼ連日100人以上の感染者数となり、7月9日は「224人」、23日には「366人」、31日には「432人」、翌日8月1日には1日当たりでは過去最高数となる「472人」の感染者数が出て、以降も200人~300人/1日の感染者数を出しました。

 

世間では再び「緊急事態宣言」発出も有力視されていましたが、今回は特に政府による休業等の要請は出ず。ただし、国民自らの「外出自粛」は2月~3月頃より顕著になり、本当にみんな観光地等へ外出しなくなったことが、各地の来園者数データなどから読み取れます。

 

さらに追い打ちをかけるよう、2020年は梅雨明けが遅れ(8月1日関東梅雨明け)、7月下旬の4連休前後も天候がイマイチ、コロナによる学校休校のため夏休みが8月のお盆前後3週間ほど短縮されたことなど様々な要因から、7月の各パーク集客は殆どの所が”例年の3割程”という厳しい結果になりました。「東京ワンピースタワー」「MAZARIA」など、コロナの影響で閉園に追い込まれたパークもあります。

 

〇2020年10月~12月「Go To トラベル」全盛

8月下旬お盆明け以降は100人~200人と一時期に比べると収束傾向になっており、9月以降は一転しての「外出推奨傾向」に。9月の4連休(シルバーウィーク)各地の観光地は例年のゴールデンウィーク並みの大盛況になり、10月1日以降「GoToトラベル」が東京都発着解禁されたこともあり、遊園地・テーマパークを含む各所は盛り上がりを見せました。

 

こうしたことから新型コロナウイルスによる騒動、「コロナ禍」は終わったと思った人も多かったですが、11月より再び感染者数は増え始め、12月下旬には「Go To トラベル」も休止に(1年後の2021年12月現在も再開しておらず、2022年2月に再開予定)。

 

〇2021年1月「第3波」

2021年1月7日、年明け早々2回目の「緊急事態宣言」発出。今回は各パーク休業まではいかず、代わりに「時短営業」による影響が強く出ました。この2回目の緊急事態宣言は最終的に3月まで延長となり、3月下旬に解除となりましたが感染者数的には決して楽観できない状況。ただし、春休みということもあり各パークは人手が戻ってきました。

 

〇2021年4月「第4波」、8月「第5波」

GW前、4月下旬に3回目の「緊急事態宣言」発出。今回は東京都内の遊園地が休園となりました(その後5月中旬以降に各所再開)。この頃には「世間は緊急事態宣言、コロナの影響に慣れた」とも言われ、見た感じには外出自粛はなさそうな人手でしたが、来園者数としてみると各所確実に影響はあったよう。

 

8月は東京都内1日の感染者数が5700人、全国では2万人を超えるなど「感染爆発」と言える状況で、医療を受けられず亡くなる方も多く出るなど"医療崩壊"が目に見えて事になりました。さらに、2021年の8月はお盆の時期が連日悪天候など天候にも恵まれず、各パーク来園者数大幅減に。遊園地・テーマパークにとって2021年は「近年稀に見る最悪の夏休み」だったと思います。

 

〇2021年10月「感染収束・・・?」

6月頃より日本でも「新型コロナウイルスワクチン接種」が始まり、当初は接種の普及について課題がありましたが、接種率は徐々に高まり、最終的に2021年10月頃には"国民の7割が(2回目まで)接種を完了"している状況に(その後2021年12月までには8割まで普及)。

 

これに合わせるように新規感染者数も減少を見せ、9月末には「緊急事態宣言」の解除。規制を解除すればまた感染者数は増える懸念もありましたが、世間の人手が増えても感染者数は増えず、12月には東京都内1日の感染者数は20~30人、全国でも100~200人程度となりました。感染状況だけ判断すれば、今度こそ「コロナ禍は終わった」と言い切れる状況になりました。しかし・・・

 

〇2021年12月~「オミクロン株による第6波」

2021年11月下旬より新たな変異株「オミクロン株」が発見され、イギリス等では早くも蔓延し再び感染拡大となっています。日本では空港の検疫体制・隔離などの強化、「水際対策」でなんとか侵入を防ごうと試みましたが、結局は日本国内にも感染者が出て、年明け2022年1月より再び感染拡大、それも爆発的な感染力で東京都では1日2万人、全国では1日10万人の感染者が出る事態となっています。

 

オミクロン株は「感染力は強くても重症化率・死亡率は低い」という特徴から、政府・自治体は上記のような感染状況でも緊急事態宣言は出さず、まん延防止等重点措置の適用に留まっています(2022年2月9日現在)。しかし、徐々に重症者や死亡者は増えてきており、過去の流行の数を超えるのはほぼ確実ともみられ、上記の見解を疑問視する声も出て、被害は増えております。

 

 

〇2022年以降

2022年も感染拡大の波は収まらず、7月中旬~8月上旬の「第7波」は1日あたりの感染者数は東京都3万人超え、全国で20万人超えが当たり前になるなど、さらなる感染拡大が起こりました。自分の周りでもツイッター等にて次々と感染報告が流れたり、家族・友人・知人や職場でも感染者が出るなど、いよいよ危機が間近に迫ってきている恐怖を感じました(幸い、自分を含む我が家は感染しませんでしたが)。

 

一方で、政府は経済活動を回す事に完全にシフトしており「3年ぶりに行動制限のない」状況で、観光地は賑わいを取り戻しました。行動制限をしなくても感染の波が収まったことから、
・「行動制限、マスク着用、ワクチンに意味はない」

・「海外ではもう新型コロナは終わっていて、みんなマスクもワクチンもしていない」
・「もう新型コロナは普通の風邪になった」
・「5類相当に下げろ」
と言った、流行当初から言われた所謂「反コロナ対策」・「反マスク」・「反ワクチン」が幅をきかせるようにもなり、逆張りであぶく銭を稼
様々な意見がネット上に飛び交い、益々人々の分断を招いています。

 

 

2023年3月に「マスク着用は個人の判断」、5月には新型コロナウイルスが感染症法上の5類相当に引き下げられ、基本的には制限が行われないようになり、今度こそ新型コロナによる騒動、コロナ禍は終わったように思えます。

しかし、その後も感染拡大の波は繰り返しており、2024年7月の「第11波」など大規模な拡大も起きています。