東京ドームシティで2008年より毎年夏「仮説お化け屋敷」(現在の「レーザーミッション」辺りにあった)に開催されていた、オフィスバーン製作の夏季限定お化け屋敷の内容をまとめました。
 
夏季限定お化け屋敷自体は1996年(当時は「後楽園ゆうえんち」)より開催されていて、それについてはこちら(オフィスバーンのHP)を、2003年~2007年にアトラクション「13ドアーズ」で開催されていた時についてはこちらをご参照ください。
 
なお、2018年に現在のアトラクション「怨霊座敷」オープン後も、毎年夏に夏季限定お化け屋敷が実施されています。
 
◎基本情報
・仮説お化け屋敷は2008年1月に上記の「13ドアーズ」が終了(別アトラクションにリニューアル)した関係で設置された。
 
・年によって多少異なりますが①開園~16時「絶叫編」 ②17時~閉園「超・絶叫編」と内容が変わった。①は主にアクターの登場場所が少ない(1箇所程)など恐怖演出が抑えられている他、2012年より②でないと入れない部屋等も登場した。また、基本的に②の時はワンデーパスでの利用不可。
 
・2014年より最初にストーリーを聞く部屋が設置された。日本語のほかに英語バージョンも作られていたらしい。
 
・夏季限定お化け屋敷開催期間外はホラー映画とのタイアップのお化け屋敷や「血の遺言状」,「魔界からの恋文」といったオリジナルのお化け屋敷として運営されていた。
 
 
○2008年「幽霊物件 ~呪われる家~」
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仮説お化け屋敷第1弾は、タイトル通り「幽霊物件(事故物件)」がテーマ。内部の基本的な間取りはこの時点で確立しており、細かい変更を除けば概ね2017年まで同じ構造でした。
 
最初に2つの鍵を受け取り、1つは家の玄関の鍵、そしてもう1つは家の中にある「16時以降は決して開けてはいけない」という、お札が貼られて封印された部屋の鍵。
 
脱衣所、台所、風呂場、居間などいかにも家・廃墟といった感じの中を進み、続いて例の「開けてはいけない部屋」になる。鍵を使って開けると部屋にはちゃぶ台と女性の人形があり、そこに目をやると死角の窓からアクターが飛び出してくる。しかもしばらく進むと進行方向側からも人形が飛び出すというおまけつき。
 
部屋の先は「ひな人形」が飾られている部屋、子供部屋、雪見障子がある廊下へ続き、障子の向こう側はアクターがお客さんの進行に合わせて歩き、終盤はこちら側に飛び出してくる(この演出は現在の「怨霊座敷」にも取り入れられた)。
 
その後は畳部屋、廊下(脇の襖からアクターが飛び出す)と続き、最後の部屋では出口の扉を開けようとするとそれは偽物で、扉の先にアクターが潜んでいる(演出後、脇の本物の出口への扉が開く)。
 
最後は出口のスタッフに鍵を籠にいれて返すように言われますが、鍵を置くと前の扉から幽霊の人形が飛び出しました。
 
 
○2009年「血の妖面屋敷」

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今回のテーマは呪われたお面「妖面」。かつてこの家で恋人を奪われた女性が、曰くつきのお面を付け恋人及び浮気相手を殺害したとされる屋敷が舞台です。
 
基本的な構成は上記の「幽霊物件」と同じですが、終盤「雪見障子」の前に左右に人形が吊るされた(そのうち何体かは動く)廊下ができ、雪見障子は上半分がなくなり、お面をつけたアクターが障子越しに一緒に歩く演出になりました。
 
そしてその先の廊下に、お面を付けた人形があり、そのお面を捲って顔を確認する(生きているのか死んでいるのか)のが今回のミッション。お面の下の顔はミイラのようになっていて、捲るのに合わせて人形の腕が動きました。
しかし、本当の恐怖は、その直後に真後ろからアクターが脅かすこと…。
 
最後の部屋も刀が切れる音がして、破られた障子からアクターが飛び出す演出に変わりました。
 
出口にてスタッフが「お面の下の顔はどうだったか?」聞かれますが、答えると壁から人形が飛び出してきます(幽霊物件とほぼ同じ仕掛け)。
 
 
○2010年「足刈りの家」

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今回は、夫に足を切られ亡くなった妻がいたという家が舞台。お客さんは靴を脱いで進んでいきます。

 

鎌を研ぐ夫(人形)、足を切られた妻が横たわっていて部屋中に「ごめんなさい もうしません 許してください」と書かれた紙が貼ってある部屋、そして老婆が目の前に座る仏壇の部屋ではなぜか全面ガラス貼りなど、家の中を進んでいくと、雪見障子に足をロープで括られて引っ張られていく男の死体があり、その先で引っ張っていた者(アクター)が飛び出してきます。

 

そして何より強烈だったのが、足を切られた妻(アクター)が階段にいてじーっとこっちを恨めしそうな顔で見てくる。最後は通り過ぎようとするタイミングでこちら側に襲い掛かってくる。死角から飛び出すアクター演出が多いオフィスバーンとしては珍しい、恐らく初めて採用された演出です。

 

その後テケテケのように上半身だけでこっちに向かってくる妻(人形、この人形は恐らく現在の「怨霊座敷」に流用されている)、演出後背後からアクターが飛び出す演出を経て、最後出口で靴が返却されますが、この時下から人形が飛び出す仕掛けがありました。

 

 

※2011年は1月「スピニングコースター舞姫」での死亡事故及び「東日本大震災」による営業一部自粛(同年6月に遊園地は営業を再開したものの、大型アトラクション等は休止していた)のため夏季限定お化け屋敷は開催されず。

 

 

○2012年「お化け屋敷の人形倉庫」

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今回の舞台は人形など「お化け屋敷の備品を保管する倉庫」であり、内装等に面影はあるもののこれまでここで開催されていたお化け屋敷(一軒家が舞台)とはだいぶ風変りしています。お化けの人形たちも無造作に置かれていますが、その人形は実際にこれまでの(オフィスバーン製作の)お化け屋敷で使われていたものです。自分が知っているやつだけでも、かつて後楽園ゆうえんち時代「楳図かずおのお化け屋敷」で使われていた日本人形や1993年「赤ん坊地獄」の赤ちゃんの人形、2003年~の「13ドアーズ」で使われていた人形・仕掛け、2006年「呪いの黒髪屋敷」での髪の毛、2009年「血の妖面屋敷」でのお面などが確認できました。人形や仕掛けの配置も当時と同じようになっている所もあります。

 

入口にて「人形の目玉」を渡され、倉庫内をしばらく進むと両目の空いた人形がありますので、持ってきた目玉をどちらかに入れます。入れた後の仕掛けは当初は「人形の手が動く」でしたが、会期終盤である9月頃から「鐘の音と共に、周辺の2~3体の人形がお客さんを取り囲むように近づいてくる」に変更されました。

 

その先、倉庫から中庭へと出て、そこにある井戸の中に"2つ目の目玉"があるのでそれを取ります。井戸には水が張ってあり、目玉を取ろうとすると脇から手が飛び出してきます。そしてその近くにある2ヶ所目の人形に目玉を入れますが、入れると奥からアクターが飛び出してきます。

 

終盤、目の前にぎこちなく動く人形があり、2010年の「足狩りの家」と同じく死角から人形が飛び出してくる。

 

最後は倉庫の電気を消すためにスイッチを切りますが、切ると人形が飛び出す仕掛けがありました。

 

・2014年 新潟でのリメイク

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2014年夏には新潟にて「丑三つ人形倉庫」としてリメイクされました。基本的な仕掛けや演出は東京版と同じで、超絶叫編を基にして作ってあるので中盤中庭に出て井戸から目玉を取るシーンもあります。ただし、コース全体が右回り(東京版は左回り)、中にある人形(造形物)に東京版になかったものがある、終盤の演出が「ロープでぶら下がっている人形が、実はアクターで突然動き出す」、一番最後の仕掛けが「人形の箱を占めると影から生首が飛び出す」と変更&パワーアップされていました。

 

 

○2013年「呪い歯 ~密十号の家~」

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この年はお化け屋敷プロジェクト「黒い歯」(※)の一環のお化け屋敷として開催され、自分には「黒い歯」にある事でいつか呪いが起こると苦悩し、そして生まれた子供にも呪われた黒い歯が伝染し、呪いの連鎖が…みたいな設定でした。
※同時期にはオフィスバーンの五味弘文氏による小説、ドラマ「悪霊病棟」など世界観を共通する物語が他方に展開され、また大阪と名古屋にも「呪い歯」のお化け屋敷が登場した(設定や演出は各地で異なる)。
 

お化け屋敷の中は、古めかしい日本家屋。生活感溢れる家具や、この家に住んでいた者の写真もあったりして不気味です。歯が埋め込まれた奇妙な願掛け人形、苦痛に耐えながらペンチで歯を抜く母親、(おそらく黒い歯が生えた直後の)子供を抱く絵美子、そして口に包丁が突き刺さって死んでいる姑と夫・・・。どれも言葉で表す以上にインパクトがある、グロテスクな描写がされています。

 

家の奥まで進むと、口を開けたままの絵美子の遺体があり「歯を抜いて」との声も聞こえてきます。絵美子の口に1本だけ見える黒い歯を抜くと、老婆(※)の人形が脇から飛び出し、その先の廊下もずっと追いかけてきます。

※呪いの始まりである、明治時代に強い怨みを抱いて亡くなった女性「ミツ」。ミツの呪いは現代まで伝染し、憑りつかれた者は密○号と呼ばれる。

その先はお墓もある「中庭」を通り、屋敷内に戻ると「黒い歯の幽霊に取りつかれた母親」(アクター)が、上記の2010年「足刈りの家」のように怨みがこもった凄い形相でこちらを見てきます。この場所を通るのは相当怖く、自分も足が竦んで進めなかった程でした。

 

最後の出口にて抜いてきた黒い歯を納めますが、ここでお馴染みとなる人形が飛び出す仕掛けがありました。

 

 

○2014年「恐怖のかくれんぼ屋敷」

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今回は「かくれんぼの最中に殺された男の子」がいた家が舞台で、お客さんはその時「男の子を見捨てて逃げた友達」という設定で進みます。

 

ストーリー通り、家の中は惨劇が起こった後で所々に血飛沫や惨殺遺体が放置してあります。そして「1、2・・・」や「もういいかい」など子供(男の子)がかくれんぼをする時の声が鳴り響きます。タイトルに関連してか、お化けも「かくれんぼ」をするように柱の陰やカーテン、物置の中にいることも。

 

途中何ヶ所か押入れがあり、1つ目は「カラスが潜んでいる」、2つ目は「男の子の生首が飛び出す」、3つ目は「アクターが飛び出す」…。

 

終盤の台所ではカーテン越しに足首だけ見える「母親」がいて、頭上からアクターが飛び出す演出がありました。

 

そしてその先の押入れには、10年という年月を経て「大人になった」男の子が潜んでおり、首がお客さんの方向を向きながら動きますが、最後は別の場所に潜んでいたアクターが飛び出してきました。

 

出口には男の子のメッセージ(「また遊んでね」と意味深なメッセージ)があって、それを読みますが確か横から人形が出てくる仕掛けがありました。

 

・2017年 千葉柏でのリメイク

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この「恐怖のかくれんぼ屋敷」は翌年以降も各地でリバイバル開催され、2017年には柏高島屋で実施されました。デパート地下2階にて仕切りを作って開催しています。基本的な仕掛けや演出は2014年東京ドームシティ版(上記)と同じですが、細かい違いとして

・最初の部屋でのストーリーナレーションが新規に

・コースが右回りに(東京ドームシティ版は左回り)、部屋の構成や順序もちょっと違う

・「男の子」が映っているテレビがある部屋が追加

・3つ目の押入れからアクターが飛び出すのが、下から出てくるのから後ろから追いかけてくる演出に変更

・一番最後の演出が若干変更

 

プロのお化け役アクターを起用していないので演技力の低下は否めないですが、通路構成が入り組んでて距離が長くなって人形等の造形物も増えているので、個人的には東京ドームシティ版より怖くなっているんじゃないかなと思います。

 

 

○2015年「呪い指輪の家」

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今回のテーマは「指輪(結婚指輪)」で、指輪交換に纏わる言い伝え「左手の薬指には心臓へ血管が繋がっているから、そこにはめた指輪を交換するということはお互いの心臓=心を繋ぐという意味になる(※医学的には事実無根)、これが物語の重要な要素になっています。
 
入口で渡される指輪を持っていき、それを「屋敷の中にいる女性の指にはめてくる」のがミッション。今回は部屋の間取りは変わってないものの、内装は大幅に変わっており(特に前半)全く別のお化け屋敷みたいな気分です。いきなり不気味な人形や暗くて進みにくい部屋があるなど、最初から怖い。

 

目の前で女性の指を折る夫、ピアノの蓋を閉められて指を折り絶叫する女性など、ストーリー上の出来事に沿った演出を進んで行きます。窓から後ろから床からなどいろんな所から襲ってくる女性、そして終盤にちょっと明るい部屋があり、そこに花嫁衣装で指を前に差し出す女性がいます。その指に指輪をはめるわけですが、ご想像の通りここが一番の恐いポイントで、等身大の人形の奥からアクターが飛び出しました。

 

最後の部屋は、怨霊と化した夫が襲いかかってくる演出でした。
なお、この年に五味プロデューサー氏はご結婚されているそうで、今回のテーマもそれに伴ったものであるとのことです。

 

 

○2016年「赤ん坊地獄」

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今回は20年前(1996年)に開催された伝説のお化け屋敷「赤ん坊地獄」の再演(ストーリー的には続編)、赤ん坊を抱いて歩くお化け屋敷です。

 
今回は舞台設定が「霊界」と、これまでのよう「家」ではないので内装は「ほぼ別物」と言えるほど変わっています。炎で焼かれたよう赤くなった鉄や墓石、亡者などがいます(霊界というよりはタイトル通り「地獄」のような気がする)。

赤ん坊は序盤、篭の中で寝ているのでそっと抱いて連れていく。しかし、その近くには赤ん坊を霊界に拐った「産女」(※)が・・・。彼女はこの先何度も現れ、赤ん坊を狙ってきます。ある部屋ではしつこく何度も飛び掛かってきて、本当に触りそうなほど手を伸ばしてくるのが怖い。
産女(うぶめ) :死んだ妊婦が妖怪化して赤ちゃんを連れ去ると伝えられている。お化け屋敷入口近くで流れているストーリーによると、「赤ん坊の母親の夫(赤ん坊の父親)には前妻がおり、彼女は妊娠中病で亡くなった」とあるので、お化け屋敷内で出てくる幽霊はこの前妻の幽霊と思われる。

赤ん坊も最初は静かですが、なぜか突然泣き出したり笑ったりと変化。進むにつれ泣き声がだんだんと大きくなってくる。

後半は蜘蛛の妖怪(?)に人体が埋め込まれた通路など、どんどんヤバイ場所になっていく。終盤には赤ん坊のお母さんらしき人がいて、「顔を見せて」と言われるので屈んで見せると、頭上からアクターが飛び出してくる。最後、出口でお母さん(の絵)に置かれた籠の中に赤ん坊を返しますが、絵が突然開いて人形が飛び出してきました。

 
・2024年 東京お台場でのリメイク
2024年6月1日(土)~9月1日(日)、お台場にある「ダイバーシティ東京プラザ」(ガンダムが立っている商業施設)にてリメイク版が開催されました。

 

なぜ、ここで東京ドームシティのお化け屋敷が? と思った方も多いと存じますが、ダイバーシティ東京は東京ドームシティと同じ「三井不動産」系列の商業施設であるため、その関係だと思われます。
 
内容は、造形物こそ東京ドームシティ版のを流用していますが、演出はほぼ別物(新規)に。コースがかなり短いですが、脅かしの密度は高いので満足度は高いと思います。

・最初はストーリーを聞く部屋、続いて僧侶の遺体がある部屋で、次の部屋に赤ちゃんが籠で寝ているので、抱き上げて連れて進みます。すると籠の前の女性が動き出し・・・

 

・亡霊だらけの牢屋、隙間からたくさんの亡霊(人形)が覗いている通路を進みます。勿論、いるのは人形だけでなく?

 

・最後は赤ちゃんのお母さんがいるので、目の前の籠に戻して(置いて)あげますが、上の方から・・・!

 

なお、私事ではありますが東京ドームシティにて開催していた時(2016年)はまだ独身でしたが、その年に当時交際していた彼女と結婚が決まり、そして2024年現在は私にも赤ん坊がいます。

 
 
○2017年「恐怖の首すじ理髪店」
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今回のお化け屋敷の舞台は「疑惑心から奥さんの首飾りをカミソリで切ろうとして、誤って首筋を切って殺してしまい、自らも首筋を切って自殺した店主」がいたという、惨劇の起きた理髪店。

最初の部屋は、椅子に鏡、その他備品と「理髪店そのまま」の部屋で、まずここの椅子に一人ずつ座ります。扉が閉じられると部屋が暗くなり、ストーリーが流れる。後ろに店主(アクター)がカミソリを持って近づいてくる…。

上記のストーリーが終わると、椅子横の机に首飾りが置かれているので、それを付けると奥の扉が開き、先に進めます。練習用のマネキンが大量に置かれた部屋、店主の自室や鏡台がある奥さんの部屋、なぜかカミソリがたくさん吊るされた(首すじを狙うように?)部屋等があります。

 

廊下に出ると、先の方に血塗れの店主(アクター)がいますが、それは鏡に映った姿であり、本当は真横にいて突然脅かしてきます。

 

その先一端庭に出て、動く人形が2体もいる部屋などを進む。その先たくさんの惨殺遺体があちこちにある、悍ましい光景の通路を進みます。

 

終盤には首筋をざっくり切られた奥さん鏡台の前にいますが、実は鏡台は鏡ではなく何もない空間、つまり鏡に人形が映っていると思わせといて目の前にアクターが飛び出すという、驚きの仕掛けがありました。

最後、出口で身に着けてきた首飾りをアクセサリーボックスに返却しますが、予想通りボックスを閉めると人形が飛び出してきます。