かつて東京ドームシティに2008年1月まで営業していた、伝説のお化け屋敷「ザ・13ドアーズ(サーティー・ドアーズ)」。記憶が鮮明なうちに、どんなアトラクションだったか忘備録的に残しておきます。館内の様子等はオフィスバーンの公式ページをご参考に。
このアトラクションは最初に渡される「鍵」を使って、館内にある扉を1つ1つ開けながら進むというもの。鍵はICタグ内臓のもので扉は電子ロック、これは本アトラクションのスポンサーである「ALSOK(綜合警備保障)」のシステムらしい。入る前に用紙に代表者1名の「名前」と「誕生月」を記入し、これは中の演出で使われます(アトラクションでは「屋敷内でもしもの時に備えて…」と説明される)。
上記の「用紙記入台」、「受付」を経て次の扉からお化け屋敷本編となりますが、その前に「この扉より先に進みますと、もう途中退出はできません。入る勇気のない方は今のうちにお申し出ください。」という張り紙がありました。
○アトラクションストーリー(抜粋)
この屋敷は、優れた人形師とその家族が住んでいた。彼は自身の醜い素顔をマスクで隠し、屋敷も地下に隠した。それがこの地下屋敷である。建築の工事の際、7つの棺桶が発掘された。それが悲劇の始まりとなる…。
双子の娘の誕生日の日、主人は何かに憑りつかれたかのように、家族と使用人を殺害し、その後自らも屋敷の中で衰弱死を遂げた。それ以来、この屋敷には誰も近寄らない。なぜなら、屋敷で死んだ人間は6人、発掘された棺桶は7つ。まだ空である残り1人の棺桶に刻まれるのは、あなたの名前かもしれない。
「1人、足りない…。」
○アトラクション(お化け屋敷内部)の流れ
・上記の扉の先にてスタッフが鍵の使い方を説明。なお受付スタッフは通常の(他のアトラクション共通の)制服でしたがここのスタッフは屋敷という設定に合わせ男性は執事服、女性はメイド服でした。
扉の横にある鍵穴を鍵を入れると「カチッ」という音がし(あわせて鍵穴が緑色に光る)、その後扉のロックが外れ少し開くので押して自分で開けて進む(一部は自動ドア)。
その後、ここは「地下屋敷」ということでエレベーターに乗って地下に行きます(※本物ではなく、音と振動による演出)。扉が閉まる時、上記のスタッフから「最後に、館内の出演者・造形物にはお手を触れないようにお願いします。」と言われる。
・エレベーターから出ると、最初の扉。横の鍵穴に鍵を入れると、扉の覗き穴から「屋敷主人」が顔を出す。そして
「○○ ××様ですね。よくいらっしゃいました。」
このよう最初用紙に記入した名前を呼んでくれます(機械音声ですが非常にスムーズであった)。その後扉が開きますが1枚だけでなく短く間隔に何枚も扉が続いている(後述)。
・その先は通路となり、突然カーテンが開き(人形による)「屋敷の主人が袋に包まれている人をナイフで刺す」シーンを見れる。
「次は… お前だ!!」
・しばらく進むとダイニングルーム。惨劇は双子の娘の誕生日に起きたということで、部屋には「ハッピーバースディ・トゥ・ユー」のオルゴールが流れ血塗れの食卓には誕生日ケーキがあります。その横には顔が半分潰れた生首があり、「行ってはいけない…」と訴えてくる(しかもその時目が動く)。
・その先は人形師であった主人の作業場。通路の上にたくさんの人形のパーツがぶら下がっています。2人の使用人(メイド)の人形もいて、どちらも顔が半分ぐちゃぐちゃになっている…。
・続いて2つ目の扉。この扉は穴が空いていて、開けると同時にそこから「手」が飛び出してくる。
・真っ暗な部屋にフラッシュがたかれ、周りから不気味な人形が6体も同時に迫って来る→洞窟のようなところを出て、中庭へ。庭の池からは巨大な化け物が起き上がってきます。
・庭の脇に3つ目の扉。その先は「双子の姉妹」が笑いながら姿を見え隠れさせている。先の廊下に行くと、なんと双子の姉妹が後ろから追いかけてきます(人形が天井のレールに沿って通路を進んでくる)。
なお、ラクーア開業直後のテレビ特集では、ここのシーン製作の様子が紹介されました。人形のスピード調整に最後まで苦労し、一般営業初日終了後も調整を繰り返したとのこと。また、当初お化け屋敷は時代にそぐわないということで一時企画から外されたことなどの情報も紹介されました。
・続いて4つ目の扉。何もない真っ暗で狭い空間があった後、自動扉が開いて寝室へ。天井カーテン付のベッドから凄い形相の死体が飛び出してくる。
・次の部屋では「屋敷の建設工事中に発掘されたという棺桶」があり、ゆらゆらと動く。しかしこれは囮、反対側の棺桶からアクター演じる屋敷の主人が飛び出してくる。しかも棺桶から出た後に脇からもう1度出てくるという…
本来は上記のよう2回飛び出す演出のようでしたが、最初の棺桶の飛び出しが難しい&分かりにくかったからか省略されることが殆どだった。
・5つ目の扉の先は再び狭い廊下で、ちょっと上がり坂になっている。後ろから人形も追いかけてくる(紐で引くタイプの手動)。途中に先程の中庭を見渡せる小窓がありますが、窓に近づくと外側から人形がでてくるという罠。廊下が下りになる所くらいから「名前をよこせ… 名前をよこせ」という声が聞こえ始める。
・透明な床の下に死体、階段から転げ落ちる人、死体袋が釣り下がっている通路、そしてカーテンがエアーで勢いよくめくれて中から人形が飛び出すなどの仕掛けを進みます。廊下最後の方に外が見える小窓がありますが、近づくとやや大きな音がする脅かしがあった。
カーテンの仕掛けは後のオフィスバーン夏季限定お化け屋敷などでも流用され、2019年11月現在「怨霊座敷」にも同じ仕掛けがある。
・その先に6つ目の扉、ただしこの扉は棺桶の形をしています。「○○ ××」と再び名前が呼ばれ、天井から「名前をよこせ~」と巨大な仮面?が迫ってき、床も少し振動する。なお、前述のよう最初名前を呼ばれるときはスムーズな機械音声でしたが、ここはやや不自然な音声だった。
・その先の廊下では、生首が天井から降ってくる。そして7つ目の扉が見えますが…。
最初に見える扉はダミーで、扉の上の方だけ開いてアクターが顔を飛び出してくるというとんでもない仕掛けでした。隣に本物の7つ目の扉がありますが、横に木で×印に閉鎖されている扉が…。
7つ目の扉の先が出口になり、受付で鍵を返却して終了です(特に脅かし等の仕掛けはありません)。
「あれ?7つ目の扉でゴール=扉が7つということは全然「13ドアーズ」じゃないじゃん!と思った方もいるでしょうが、最初の扉の後ろに4枚ほど別の扉が続いていて、最後アクターが出るダミーの扉1枚、上記の×印で閉鎖されている扉が1枚。合計するとちゃんと13枚の扉が屋敷中にあることになります。
開かずの扉
上記の×印で閉鎖されている扉が特別な人だけが入れる「開かずの扉」です。最後の鍵穴に鍵を入れると通常は(目の前の)7つ目の扉が開きますが、条件が合うとそこではなく×印の扉(開かずの扉)が開きます。条件とは「最初に記入した誕生月が体験した月と同じである」(入ったとき今月誕生日である)こと。
開かずの扉の先は、屋敷主人の書斎で、机の上に彼の日記があります。日記を開くと、内容の音声が流れる(余談ですが、恐らく読みやすいようにするためか文字がゴシック体で文字サイズも大きいため、全然日記の文章には見えない…)。
「たった今、この手で家族を殺した。何かが私に憑りついている。私はマスクを捨て、私自身の姿に戻るのだ。だが、最後に、もう1人だけ殺す。それは…」
「お前だ!!」
(ここだけ音量が大きくなり強調される)
机横のカーテンから外に出ようとすると、天井に本来の醜い姿をした屋敷の主人(人形)がいてこちらに迫ってきます。その先が出口です。
まとめると、13ドアーズは鍵を使って扉を自分で開くというミッション性を自然とこなす形になるため世界観に入り込めることと、また前半は機械仕掛けでビジュアル的な恐怖がやや強く、後半は手動の仕掛けやアクターなどびっくりさせる系の脅かしが増えていくなど、構成も優れていたと思います。終了から10年以上経った今でも、「もう1度入りたい」という声が多いことも、本アトラクションの人気を示していると言えます。
○夏季限定お化け屋敷
本アトラクションは2003年のオープン以来、毎年夏休み期間(7月中旬~9月中旬 or 下旬)特別演出が行われました。期間中は15時まで通常の「13ドアーズ」、16時から特別演出での営業でした(2003年は常時開催、2004年は16時までで17時よりスタート)。
内部の構成は基本的に同じながら、演出物の追加やアクターも通常2箇所から4~5箇所に倍増するなど、脅かし演出が格段にパワーアップしています。
・2003年「呪怨の部屋」
映画「呪怨2」とコラボ。この年はまだ「13ドアーズ」自体がオープンしたばかりだったため、あくまで「最後に呪怨の部屋を"増設"」という形に。受付後の扉~エレベーターの間に待ち列が追加され、そこが「呪怨2」のギャラリーになっていました(イベント中エレベーターの演出はなし)。そして開かずの扉の先に、呪怨の特別演出。
なお、開かずの間は通常通り上記の条件を満たさなければ入れないのはそのままであり、イベント中は「呪怨の部屋に入りたい方はこちらをめくって」→(めくった先)「誕生月を今月に○をつけてください」と丁寧にも開かずの間の入り方が説明されていた(なので入りたくない場合は入らないことが可能)。
・2004年「呪いの人形」
フランス人形を抱いて進むという内容で、人形からは「私メアリー、仲よくしてね」などと音声が聞こえてきます。なお、人形はエレベーター前のスタッフ(執事 or メイド)から渡されますが、この時注意として「人形はしっかり抱いてあげて、絶対に怖いからといって投げつけたり、どこかに置いてきたりしないように…」と言われる。
通常版との違いは洞窟の場面にて手動で動く人形とアクターの追加(手動の人形はこの他にも2~3箇所追加があった)、寝室に大量のフランス人形、そして終盤6つ目の扉の先の演出が大幅に変更。終盤になると人形が「1人にしないで… 1人にしないで…」と呟くようになり、部屋の中の女性が同じく「1人にしないで… 1人にしないで…」と呟きながらこっちに向かってきます。最後、出口で少女の近くに人形を置いて返しますが、そこでも手が飛び出してくるという仕掛け。
歯科医師が患者を殺すという惨劇が起きた病棟(自宅も兼ねている)で、入口で渡される「鏡」を使って死体の口の中を調べ殺人鬼の医師の死体を探すという内容。一応序盤の屋敷の主人が白衣を着ていたり内部に医療関係の備品が置いてあったりしていましたが、全体の雰囲気を変えるまではいかず「病棟」というにはかなり無理があった気がする。
道中死体は4体あり、口の中を除くとそれぞれ動く、近くからアクターが出る等の脅かしがあった。なお、正解は一番最後の4体目でそれ以外は「これではない」、4体目は「よく見つけたな」と音声が流れる。なお、今回は映画「呪怨パンデミック」とコラボしており、見事殺人鬼の死体を当てられると最後(開かずの間)にある「呪怨の部屋」に入れるという内容だった。部屋では押入れがあり、中から怨霊(人形)が出てくる。
イベント期間中は上記の殺人鬼が更新している(という設定の)ブログが開設され一部はそれと連動した企画(演出物が増えたり、メールを送ると返信がくるなど)、そして館内の映像をリアルタイムでアトラクション前及びインターネット上で配信する「ゴーストカム」など、ウェブと連動した新たな企画も行われた。
○映画コラボイベント
主にホラー映画のとのタイアップイベント。開かずの扉の先をメインに行われ、それ以外の部分に大きな変更はない(少ない)。
2005年
・「ハイドアンドシーク」
館内に3箇所スタンプがあり、最後にある剣を握るとその先の人形が動いた。
○アトラクション跡地
「ザ・13ドアーズ」は2008年1月に終了し、跡地は同年2月に映画「ライラの冒険」をモチーフにした、スタッフアテンド型のウォークスルーアトラクションになった(製作はジョイポリス等でお馴染みの渡邊油化)。内容は映画版に沿っていて、羅針盤型のコントローラーを持ち途中何箇所か選択肢が出る、それによって?そこでの演出が変わる(2種類のうち1つ)、随所に映画本編の映像を使っていたり大型の人形が出てくるなど、結構豪華な内容でしたが、製作会社からしてジョイポリス的なアトラクションの域は超えてなかったですし、元の映画がそれほど流行らなかった(続編の製作も中止になっている)ため、あまり人気がなかった気がします。
「ライラの冒険」も2009年夏頃?に終了し、2009年12月にシューティングアトラクション「ザ・ダイブ」がオープン、2022年8月末まで営業しました。「ザ・ダイブ」の時は入口の外観や扉の上のロゴ看板、中に入ってすぐの部分に当時「13ドアーズ」の面影をみることができましたが、2023年4月には跡地に「フードコート」ができる予定なので、今度こそ当時の面影はなくなるかもしれません。