『プロレスとアイドル』 | yoshi's drifting weblog -揺蕩記-

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私の一番好きな言葉、揺蕩(たゆた)う。……
日常の、ふとした何気ない出来事について、
その揺蕩う様を書き留めていきます。

昨日の東京女子プロレスのボウリングイベントの興奮と筋肉痛も冷めやらぬ中、先日というかイベントの前日に東京女子プロレスの『プロレスとアイドル』を読了しましたよ。

 

 

 

 

私、プロレスは小学生時代から見てますが、アイドル界隈はそこまで深追いしたことがなくて、なので東京女子プロレスの興行前にあるアップアップガールズ(プロレス)のメンバーによる歌のコーナーがあるんですが、そこで盛り上がるのもちょっと初めはしどろもどろになってたりもして。

 

 

今でこそできますけど、でもプロレスラーとアイドルって違うのでは?とか思ってたんですよね。

 

 

それこそプロレスラーをアイドル視しては危険なのでは?と。

 

 

SKE48の荒井優希とかアプガプロレスのメンバーみたいに二刀流スタイルならいいんですけど。

 

 

でも、実はアイドルとプロレスラーっていうのは親和性が高いんだというのがこの本に書かれてあったことで。

 

 

読んでて思い知らされたんですが、ビューティーペアもクラッシュギャルズも、プロレスラーとして人気が出た後、実は歌ってるんですよね。

 

 

すっかり忘れてましたけど。

 

 

かつて女子プロレスラーはアイドルだったんですよ。

 

 

それがいつしか、他団体との対抗戦スタイルに発展していき、女性特有の殺伐とした情念のぶつけ合いみたいなものになっていって。

 

 

神取忍と北斗晶とか、ほんと殺し合いですよ。

 

 

ブル中野とアジャコングとか、ほんと死人が出ると思いましたもん。

 

 

そのスタイルをわずかながら今だに継続しているのが女子プロレス界のトップランナーであろうスターダム。

 

 

その創設者でありエグゼクティブプロデューサーだったロッシー小川が今日、背任行為で契約解除されたみたいですけど、そういった昭和スタイルのことが今だにあったりする。

 

 

でも、東京女子プロレスにはそれがないんですよ。

 

 

なぜかというと、10年前の旗揚げ時に、他団体から選手を引き抜いて目玉選手+新人選手の形で始めたのではなく、全選手自前で立ち上げたからなんですね。

 

 

そこから所属選手とフリーの選手たちだけで見せてきたわけです。

 

 

時にはゲスト参戦的に他団体の選手を呼んで目玉カードを作ったりもしましたけど、でも基本はほぼ所属選手たちだけ。

 

 

つまり、東京女子プロレスは「鎖国スタイル」なんです。

 

 

そこで生まれてくる、互いにリスペクトし合い、切磋琢磨し、時には組んだり、時には向かい合ったりして、みんなで成長していく、っていう所、……私は「女子プロレス部の部活動」と思ってるんですが、その団結力・結束力に胸を打たれるんですよね。

 

 

ものすごい話が脱線してますけど、それって実にアイドル的じゃないですか?

 

 

アイドルが歌って踊って喋って盛り上げて、それを見てファンは元気をもらって、そしてファンが応援することでアイドルた地もまた頑張れる、っていう正のスパイラル、シナジー効果。

 

 

そういうことを教えてくれたのがこの本というわけです。

 

 

で、実はこの4人、武藤敬司の引退試合があった東京ドームのダークマッチ(第0試合、前座)での8人タッグマッチに出てたんですよね。

 

 

赤コーナーは東京女子プロレス旗揚げ時のメンバー(山下実優、中島翔子、坂崎ユカ、辰巳リカ)だったんですけど、青コーナーはこの4人。

 

 

伊藤麻希、瑞希、渡辺未詩、は赤コーナーの山下、坂崎、辰巳の3選手のタッグパートナーで、中島のパートナーはハイパーミサヲなんですが、SKE48の知名度を優先しての荒井優希の選抜、だったのかな。

 

 

と思ってたんですけど、実は青コーナーには4人とも「アイドル」が配置されてたんですね。

 

 

現役アイドルレスラー2人と元アイドルのレスラー2人という配置に、この本を読むまで全く気づかなくて。

 

 

あとはアイドルと女子プロレスの関係性。

 

 

SKE48の選抜メンバー(この本を読むまでわかってませんでしたが、選抜メンバーになれるのとなれないのとでは、国会議員になれるのとなれないのとくらいの違いがあるみたいです)である荒井優希がプロレスを続ける理由を読めば、アイドルとプロレスの親和性はすごくよくわかるし、渡辺未詩の章を読めば、プロレスとアイドル活動の二刀流なんてできるの?できるんだ!っていうこととか解るし、瑞ぴょんや伊藤ちゃんの章を読めば、元アイドルだった彼女たちがいかにしてプロレスの世界に馴染んでいったのかというのがよくわかる。

 

 

で、巻末で著者が書いてますが、結局、東京女子プロレスとはなんなんだ?と考えてみると、言葉ではなかなか形容しにくいものなんですよね。

 

 

上記の4人だけではなく、空手経験者の実力派の選手もいれば、お笑い芸人を目指してた選手もいれば、脱サラした選手もいれば、役者やモデル業と並行してる選手いたり、女子高生選手もいれば女子中学生選手もいたりして、ほんとにバラエティ豊か。

 

 

団体の所属選手だけでも十分にドラマを紡いでいける。

 

 

そこにアジャコングだったり水波綾といった実力者もくれば、海外からの選手も参戦してきたりして実に面白い。

 

 

ユニット抗争なんてものもないので、人物相関図なんて知らなくてもいい。

 

 

1人でも気になる選手がいれば、その選手だけを見てればいい。

 

 

そのフランクさがまたアイドルっぽいですよね。

 

 

というわけで『アイドルとプロレス』堪能いたしました。

 

 

さて次回。

 

 

芥川賞読みたい所ですが、文藝春秋がまだっぽいので、坂本龍一の『坂本図書』に目を通していこうかな、と。

 

 

ではでは。