本日のお休みは、昨夜の夜更かし(スマホでポーカー)のせいで久々に正午まで寝ておりました。
TBSラジオを聴きながらみかんのフレンチトーストなんぞを作り、ノンンビリした後で午後に地元の映画館で『ビヨンド・ユートピア』を見てきましたよ。
『アクアマン』も見たかったんですが、2本立てするにはキツくて、じゃあ『パーフェクトデイズ』とどっちを見ようかで悩み、あんまり良くないんですがFilmarksで前評判を調べてしまい、結果、このドキュメンタリーの評判が高かったのでこちらをチョイス。
映画のジャンルとしてもネタとしてもどうなんだろうなぁと思いましたけど、意外とお客さん多かったですね。
ご年配の方ばっかりでしたが。
韓国で脱北者の支援活動をしているキム牧師の元には毎日何十件もの脱北支援の依頼が届く中、北朝鮮から中国に逃げ山間部で路頭に迷っている家族の脱北支援の依頼が舞い込む。子ども2人と80歳の老婆を含めた5人家族を一度に脱北させるには中国からベトナム・ラオス、そしてタイまで移動しなければならない。キム牧師はブローカーと取引をしながら家族と一緒にタイまで目指すのだが、……みたいなお話です。
一方で、韓国に住む脱北者女性・ソヨンは息子のチョンを脱北させるべくブローカーと取引をし、決行当日を迎えるのだけど、息子のチョンが中国で消息を絶ってしまい、……というお話も同時進行していきます。
その間隙を縫うようにして脱北をしてきた人々の証言を基に、北朝鮮という国のなんたるかを知っていくという構成になっております。
で、まあ、改めて「脱北」ということについて考えさせられましたが、まあ一言で言って「異常」ですよね。
劇中に出てきた人の言葉を借りて形容するならば、この国に最も近いのは「ナチス」だ、っていうね。
中国や東南アジア、北朝鮮内にブローカーがたくさん存在するっていうのも、まあなかなかの驚きですけど、彼らが隠しカメラで捉えた北朝鮮国内の実情は本当に21世紀なんですか?!って思えるくらいの惨状で、しかもそれが当然のような教育を受けてきているので、北朝鮮国民からしてみればなんの不思議にも思わないっていう。
学校や会社で糞便を集めて肥料にしてる、……っていうのは、ある意味でエコなのかもしれませんけど、糞便の量が少ないと小言を言われるから他人のトイレから盗んでくる、っていうのとかは間違いなく、異常。
北朝鮮内で聖書が禁止されているのは、金日成の伝説的エピソードを聖書のキリスト像から丸パクリしてるから、っていうのとかも。
マスゲームも、まあ見てるこっちとしては(すげえなぁ、……)くらいにしか思わないかもしれませんけど、やらされている側の気持ちとしては、どんだけのことを強いられてるんだっていうのは、まあ言われないと気づけなかった部分かもしれませんね。
映画の展開としては家族の脱北ストーリーがメインで語られていくわけですが、その映像の臨場感はちょっとすごい。
監督が同行できるところには同行してますが、同行できない場所、……中国の検問所とかベトナムーラオス間の深夜のジャングル越えとかではブローカーやキム牧師がスマホで撮影しているので、その妙な生々しさがすごい。
で、最後、タイでの真夜中のメコン川越え。
ここまでの間、ブローカーというのは「金次第でどちらにも転ぶ」ということが判ってるので、最後までどうなるか分からない。
緊張と緩和がすごいので、まるで映画を見ているかの様で。
映画のような劇的な展開をするドキュメンタリーを映画館で見るっていう、感じ。
マドレーヌ・ギャヴィン監督がお婆ちゃんと子ども2人にインタビューしてるのが印象的。
洗脳にも近い指導がどれくらい根深いものなのかがすごく伝わってくる。
将軍様は懸命に努力してる、足りないのは私たちなんだっていう感覚はもう、本当に共産主義のマズいところ。
結末として、一家は無事に韓国まで来れましたが、残念ながらソヨンの息子はきっともう助からない、っていう両極端を味わい、綺麗事では終わってないところがまた。
一家の逃避行中にも脱北に失敗して亡くなってる人が何人も報告されたりして。
21世紀にもなって未だにっていう、ね。
加えて、コロナになっていたここ数年、北朝鮮から脱北するためのルートがほとんど封鎖されてしまい、現状、脱北したくてもできない人がたくさんいたっていうのもまた悲しい事実。
あと、大事なのが、悪いのは北朝鮮の上層部であって、北朝鮮という国ではないということ。
北朝鮮の国民達は何も悪くないということ。
というわけで『ビヨンド・ユートピア〜脱北〜』堪能いたしました。
さて次回。
『パーフェクトデイズ』か『アクアマン』か。
脳筋緩めたいすねえ。
映画館にはこんなポスターが。
まあ、確かに行田タワーに行きたくなる映画ではあります。
ではでは。