本日のお休みは一念発起(?)して、新宿の映画館シネマカリテにて『市子』を見てきましたよ。
思い返すこと3年くらい前、……流行病が蔓延する前までは武蔵野館含めて年に数回足を運んでましたけど、今日までなかなか来ることができず、でも今年は映画見まくるぞ!という気合いを込めるためにも出向いた次第であります。
あと、この映画の評判が方々で高かったのと、タイミングが12時からとピッタシ合ったので。
このパンフレットの写真、象徴的で良いなぁ。……
長谷川義則が恋人の川辺市子にプロポーズをすると翌日に彼女がなぜか失踪してしまい、1週間後に捜索願いが出してやってきた刑事からは「彼女は川辺市子ではない」と告げられる。果たして彼女は一体誰なのか、……みたいなお話。
印象としては『ある男』と『愚行録』を併せたかのような印象。
「川辺市子」と名乗った彼女は一体誰なのか、ということを彼女と関わりがあった人物との関係性を捉えながら紐解いていく展開なのですが、時間軸が行ったり来たりするので、ちょっと混乱します。
まあ、それも狙いなんでしょうけども、その混乱する感じが、真相が分かるにつれて解れてくると、そこから先はもうものすごい濃いドラマにのめり込めます。
その求心力はやはり杉咲花の魅力なわけで、なるほど確かにすごい。
見終わって未だにわかんないんですけど、市子って善だったのか悪だったのか。
劇中、市子が過去にある殺人を犯していることが判明するんですが、その殺人には彼女の不遇な生い立ちからくる同情の余地があるようなないような感が漂ってましてね。
でも、その後にまた判明する殺人が明らかになると、そこには疑念が生じてきて。
でもって、最後の最後でまたしてもある殺人が判明して、そこにはもう悪意しか感じられない。
明確に描かれてはおらず、あくまでも想像するしかないのですが、3人いるはずなのに2人しかいない、っていうあのニュース音声を聞いた時、ちょっと慄然としましたよね。
怖っ!って。
でも、パンフレットをざっと読んだ限りでは、市子の行動原理には「生き抜く」っていうことがあるみたいで、そのためにはなりふり構わないっていう考え方は『紙の月』の宮沢りえと近しいものがあるのかもしないなぁとも。
湯を沸かすほどの。
でも、市子に悪意があるとしたら、その萌芽はどこにあったのかなぁとも考えてみたりもして。
それこそ小学生の頃から描かれてるので、あの男の子に道端でチューしてたあたりでしょうか。
自らの身代わり?として北見冬子を呼び寄せたりするところにも悪意はある気がしますけど。
何度でも味わいたい映画でしたね。
というわけで『市子』堪能いたしました。
それにしても杉咲花すげえかったなぁ。
初めて見たのが岩井俊二プロデュースのドラマ『なぞの転校生』に出てた役で、なんとも印象的なキャラで、そこから『とと姉ちゃん』と『12人の死にたい子どもたち』と、まあ多彩ですなぁ。
『52ヘルツのクジラたち』にも出るみたいだし、本屋大賞受賞作だし、見てみようかなぁ。
というわけで次回。
『ビヨンドユートピア』『アクアマン』『パーフェクトデイズ』あたりかなぁ。
『ある閉ざされた雪の山荘で』は原作を読んでるのでトリックも知ってる、……筈なんですが昔のことすぎて覚えてないから新鮮に楽しめるかも?
そんでもってこのまま初台に移動。
ICCに行ってきた話は次回。
ではでは。