近鉄:狭軌路線と標準軌路線を見てみる。 | よしひろ よしちゃん 鉄道写真館

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みなさんこんにちは!よしひろよしちゃんです。 

前回までに鉄道の線路幅・整備新幹線など狭軌路線と標準軌路線の違いについて触れてきました。

今回は近畿日本鉄道(近鉄)の狭軌路線と標準軌路線を見ていきたいと思います。

何故同じ鉄道会社なのに線路幅が違うのか?
他のサイトなどで載せられている方も多いのでご存知の方も多いでしょう。

1つ目は前身の鉄道会社が異なるため。
現在の近畿日本鉄道(近鉄)はさまざまな鉄道会社を買収し民鉄最大規模の大きな鉄道会社になっています。

2つ目は国鉄(JR)との乗り入れを想定していたため。
現在のJR在来線は狭軌路線となっているので貨物輸送などを乗り入れする場合は狭軌でなければ直通できないのです。

そのため奈良線・大阪線・京都線・名古屋線・橿原線・伊勢方面を含め標準軌ですが南大阪線・吉野線・道明寺線・長野線・御所線は狭軌となっています。

それでは、かつて国鉄と乗り入れが行われていた駅を見ていきます。

★JR関西本線 柏原駅 駅舎
JR関西本線と近鉄道明寺線の駅で改札口は共用となっています。


★柏原駅 自動券売機
券売機はJR西日本と近鉄が並んでおり少し違和感があります。


★近鉄の普通乗車券
なお柏原駅のJR西日本が配置されているため近鉄の乗車券を使用し柏原駅で切符の持ち帰りをお願いするとJR西日本仕様の乗車記念印と穴開け(再利用防止のため)がされました。



★柏原駅 ホーム
かつて貨物列車が乗り入れていただけあって、現在は線路が繋がっていませんがJRと近鉄が場合によっては対面乗換できる形になっています。









★柏原駅 JR→近鉄 簡易ICカード改札機
JRから近鉄への乗換(反対も)時にICカードを利用していれば、ホーム上にある簡易ICカード改札機にタッチする必要があります。


このほか柏原駅から乗車の場合、改札口に自動改札機がありますが入場時にはJRに入場した記録がICカードに読み込まれていることから、改札口でタッチをしもう一度ホームにある簡易ICカード改札機にタッチする必要があります。なお柏原駅で下車する場合も逆の手順を行う必要があります。なお紙の切符の場合はホーム上で何もする必要はありません。

連絡乗車券を買っている場合は問題ないですがJR⇄近鉄乗換時に乗り換える先の切符を持っていない場合は着駅または車掌に申告する必要があります。

近鉄柏原駅から発着する道明寺線、実はこの路線が近鉄最古路線と言われている歴史ある路線です。せっかくなので柏原駅から道明寺線の終点の道明寺駅までを散策します。

営業キロはわずか2.2km歩いても行ける路線で駅数は両端駅を含め3駅です。

★柏原駅 構内
出発するとすぐに関西本線とはお別れです。



★近鉄道明寺線 高架橋
関西本線と分かれすぐに煉瓦造りのレトロな高架橋を数々通って走ります。

そしてすぐに道明寺線唯一の中間駅である柏原南口駅に到着します。



★近鉄柏原南口駅
全線単線で折り返し設備もありません。終日1本の列車が行き来しています。


★柏原ぶどう園


★727 セブンツーセブン化粧品 柏原本社
とても短い道明寺線ですが、かつて日本一のブドウ栽培面積を記録した柏原ぶどう園や東海道新幹線沿線などで、よく見かける727の本社があり見どころがたくさんあります。

あっという間に終点の道明寺駅に到着です。





★近鉄道明寺駅
当駅は南大阪線との接続駅です。今では南大阪線の支線的な役割になっていますが、当初は河陽鉄道によって大阪と南河内を結び高野山参詣客を輸送するため、まず柏原駅〜道明寺駅〜古市駅間が後に古市駅〜河内長野駅間(現:長野線)が開業といった経緯です。一時期は国鉄から柏原駅を経由し直通してくる旅客列車もあったんだとか。

とても重要路線だったそうですが、現在は大阪阿部野橋駅〜橿原神宮前駅を結ぶ南大阪線がメイン路線で、かつて主要で老舗の路線は現在、道明寺線と長野線と支線になっています。

道明寺駅から南大阪線に乗り橿原神宮前駅方面を目指します。



★橿原神宮前駅
当駅は駅名称の通り橿原神宮の最寄り駅と言うのはもちろん。

しかし利用客の大半は参拝客ではなく乗換客です。

★橿原神宮前駅 南大阪・吉野線ホーム




★橿原神宮前駅 橿原線ホーム
鉄道ファンならご存知。当駅は最初にご紹介した狭軌と標準軌の列車が両方やってきます。南大阪・吉野線が狭軌で橿原線が標準軌です。

狭軌と標準軌の列車が両方来る駅なら新大阪駅や東京駅など新幹線(標準軌)と在来線(狭軌)が乗り入れる駅ならありますが、当駅はそれ以上に特徴があります。

★橿原神宮前駅 橿原線ホーム
それは狭軌車両と標準軌車両が1つのホームに並ぶことです。0番線が狭軌車両ホーム1番線〜3番線が標準軌車両となっています。





★橿原神宮前駅 設備庫
このほか駅構内に狭軌車両から標準軌仕様の台車交換を行う施設があるのです。

これは南大阪・吉野線及び道明寺線・長野線・御所線で活躍する狭軌車両を重要部検査、全般検査(大きな検査)の際に標準軌路線である大阪線の五位堂研修庫まで回送されるためであります。





★五位堂研修庫から回送される狭軌車両
このように狭軌車両を橿原神宮前駅の設備庫で標準軌仕様の台車に高架し牽引車を挟む形で回送されます。





★モト車 牽引車
このほか第三軌条を採用する、けいはんな線や養老鉄道線入出場時などにもモト車が使われるため、いろいろな顔の牽引車があります。


★モワ24系 はかるくん
また以前にご紹介しました。検測車のはかるくんも橿原神宮前駅構内で台車交換を行い狭軌路線・標準軌路線の両方で活躍しています。


★橿原神宮前駅 構内
ここまでの紹介では、かつての新八代駅や2022年9月23日に開業する西九州新幹線武雄温泉駅のように狭軌車両と標準軌車両が並び対面乗換ができるように見えますが、実際はできません。0番線ホームは台車交換をするための入換や留置がメインのほか吉野線方面にしか発着できないため一部の団体臨時列車などに限られます。

南大阪・吉野線のホームは4.5.6.7番線で橿原線ホームとは地下道で繋がれています。

★橿原神宮前駅 通路
橿原線ホームと南大阪・吉野線ホームは少し離れていますが新大阪駅や東京駅などで在来線や新幹線に乗り換えるほど手間ではありません。



★吉野線連絡の京都線及び橿原線を走る特急列車
また京都線・橿原線(標準軌路線)から吉野線(狭軌)への需要があるため多くの便で連絡が取られています。

橿原神宮前駅で南大阪線は終わりですが、狭軌路線は吉野線として吉野駅まで続いています。東海道本線と山陽本線の境、神戸駅のような感じですね。吉野線に乗りもう少し先に進みます。吉野線は全線単線となっています。

★JR/近鉄 吉野口駅 駅舎
当駅は吉野口駅で桜が有名な吉野駅とは異なります。以前ご紹介した高野口駅と同じく間違える人が多いので注意が必要です。

また吉野口駅はJR西日本(和歌山線)と近畿日本鉄道(吉野線)の共同駅で駅舎及び改札などは同じになっています。






★吉野口駅 改札口
JR西日本と近鉄の自動券売機が並んでいます。先程の柏原駅には、みどりの窓口がありましたが当駅にはありません。

長距離の乗車券や自由席券は専用端末(B-POS)で指定券は補充券(手書き)にて発行されるそうですが、誤発行防止のため他駅誘導や後日受け渡しになるそうです。

★JR吉野口駅 B-POS入場券
吉野口駅はJR西日本と近鉄が同じ改札内で繋がっているため入場券は1枚で2社の構内を散策できることになります。先程の柏原駅と同様、当駅はJR西日本の係員が常駐し管理する駅なので西日本の入場券料金で販売され通常の近鉄の入場券料金より安くなっています。

また柏原駅と異なることは大きく2つあります。

★近鉄ICカード簡易改札機



★吉野口駅 近鉄→JR簡易ICカード改札機
吉野口駅から乗車の場合、改札口に自動改札機がありタッチして入場しますが入場時には近鉄に入場した記録がICカードに読み込まれていることから、もう一度ホームにある簡易ICカード改札機にタッチする必要があります。

近鉄からJRへの乗換(反対も)時にICカードを利用していれば、ホーム上にある簡易ICカード改札機にタッチする必要があります。

このほかなお吉野口駅で下車する場合も逆の手順を行う必要があります。

お気付きの方も多いと思いますが、柏原駅と反対で吉野口駅ではJR西日本を利用する場合や乗り換える場合にホームの簡易ICカード改札機をタッチする必要があります。

なお柏原駅と同様でICカードでなければ特に何もせず乗り換えを行います。

2つ目は近鉄特急の予約および券発行です。

★JR吉野口駅 近鉄特急自動券売機
吉野口駅には通る全ての特急列車が停車しますが改札窓口では近鉄特急券は販売されていません。

代わりに大阪阿部野橋駅方面のりばのみ近鉄特急自動券売機がありますが次に出発するあべの方面便の指定券とネット予約の券しか発行できない機械になっているので注意が必要です。


★吉野口駅 ホーム
こちらも吉野杉を輸送するためJR線と近鉄線の線路も繋がっていました。そのため当駅も他社対面乗換できる形になっています。

柏原駅は駅改良工事が行われ新しいものになっていますが、吉野口駅は駅舎及びホームなど1896年開業当時からのものだそう。









★吉野口駅 ホームなど設備
昔ながらの雰囲気を保っていて素晴らしいですよね!

なかなか珍しいのが近鉄なのにJR西日本の仕様駅名標や国鉄の案内板があり不思議です。


★吉野口駅で列車交換する近鉄特急
本数は1時間にJR和歌山線が1本、近鉄吉野線普通列車が2本のほか一部時間帯に特急列車の運行もあるためJR西日本管理駅でありながら近鉄の方が栄えた駅になっているほか、改札口を入場し一番手前のホームはいきなり近鉄線(吉野方面)となっているのです。


★JR吉野口駅 地下道
JR和歌山線及び近鉄線(大阪阿部野橋駅方面)に乗る際は、地下道を通って行きます。


今回は近畿日本鉄道(近鉄)の狭軌路線と標準軌路線についてご紹介しました。

日本の鉄道には主に2つのレール規格、狭軌路線と標準軌路線があり今回のように直通ができず乗換が必要なことや在来線と新幹線など近距離輸送と長距離(高速)輸送でレール企画が違い社会問題として時々話題にもなっていますよね。

今から150年前の鉄道創業期に現在のJR在来線を標準軌採用していれば今の日本はいろいろ変わっていたかもしれません。

一番有名なのは整備新幹線問題でしょうか。
在来線が標準軌であれば新幹線車両を在来線で低速で走らせ途中から高架路線などで高速走行することだって可能でしたよね。そうなれば過疎化・過密化が深刻にならなかったかも。いろいろ考えさせられることはありますよね〜

また近鉄でもフリーゲージトレイン導入を検討しているので今後、橿原神宮前駅で乗換が不要になる時代がやってくるかもしれません!これから先どのような動きがあるのか注目ですね!

ご覧いただきありがとうございました。
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