今回はJR北陸地区の鉄道を見てみる②ということで、IRいしかわ鉄道をご紹介したいと思います。
前回の続きですので投稿をご覧になられていない方はぜひご覧ください!
●IRいしかわ鉄道とは
2015年3月に北陸新幹線の長野駅〜金沢駅までが開通し北陸新幹線と並行する北陸本線がJRから経営分離され石川県の区間を引き継いだ鉄道会社です。現在は金沢駅〜倶利伽羅駅間がIRいしかわ鉄道の路線ですが、2023年度以降に北陸新幹線が金沢駅〜敦賀駅まで延伸された際には大聖寺駅から金沢駅を経由して倶利伽羅駅までの区間となる予定です。
会社名の由来はIshikawa Railwayの頭文字であるIRで県民に親しまれる、愛ある鉄道を目指すという思いが込められているそうです。またアルファベット順で【 I 】は【 J 】の一つ前であることから、JRの一歩先を行くサービスを提供したいという思いが込められているそうです。
それでは現在の起点である金沢駅から見ていきましょう。
★JR IR金沢駅 兼六園口
JR西日本北陸本線、北陸新幹線と共同駅となっていて駅全体は2021年現在、JR西日本が管轄しています。
★JR IR金沢駅 駅名標
共同使用駅のためJRの社章とIRの社章両方が入っています。
★JR IR金沢駅 プラットホーム
特にJRは何番線、IRは何番線といった決まりはありません。時間帯により入線ホームが変わります。
★IRお客様カウンター
中央改札前にはIRいしかわ鉄道の案内所があり定期券などの乗車券のほか鉄道グッズが販売されています。ここのみ自社管轄ですが、受付はJR西日本メンテックに委託しているそうです。
それではいよいよ車両の紹介です。
●自社保有車両
2015年3月にJR西日本から経営分離された際に譲渡された車両と2020年度に新造した車両があり車両基地は金沢総合車両所運用検修センターの一部を使用した形となっており全般検査や重要部検査などの大きな検査はJR西日本の金沢総合車両所松任本所に委託しています。
全所属車両、交直流電化両対応車ですが当社管内は全て交流電化区間となっています。
●IRいしかわ鉄道線 専用車
★521系0番台(2次車)
223系5500番台とほぼ同じ顔をしたタイプです。2009年〜2011年の間に製造され当初はJR西日本の北陸本線などで活躍していました。そして2015年3月にJR西日本から経営分離された際に譲渡されました。
IR01〜03編成の2両3編成が在籍しています。
★521系0番台(3次車)
227系や225系100番台などとほぼ同じ顔をしたタイプです。2015年2月6日の落成しJR西日本の車両としてJRの塗色で製造し2015年3月にJR西日本から経営分離された際に譲渡されました。JRの車両だったのは約1ヶ月だったほか譲渡前(JR西日本在籍時)に営業運転実績が一度もないという不思議な車両です。
IR04編成〜IR05編成の2両2編成が在籍しています。
この上記車両(5編成)がIRいしかわ鉄道線(金沢駅〜倶利伽羅駅間)で活躍しています。なお、あいの風とやま鉄道と相互直通運転をしているため金沢駅にら倶利伽羅駅まで乗り入れる全列車は、あいの風とやま鉄道線に直通して富山駅まで走ります。
現在、IRいしかわ鉄道線は金沢駅・東金沢駅・森本駅・津幡駅・倶利伽羅駅の5駅で短い路線です。それに比べてあいの風とやま鉄道は倶利伽羅駅から富山駅を経由して市振駅までの長い距離なためIRいしかわ鉄道線内では自社車両よりあいの風とやま鉄道の車両をよく見かけます。なおIRいしかわ鉄道とあいの風とやま鉄道の社境駅である倶利伽羅駅で乗務員交代は行われず、IRいしかわ鉄道の車両には同社員が金沢駅から富山駅を往復で乗務します。あいの風とやま鉄道の車両及び乗務員も同じです。
あいの風とやま鉄道から乗り入れる列車は次回ご紹介したいと思います。
●JR七尾線直通専用車
★521系100番台
227系や225系100番台などとほぼ同じ顔をしたタイプです。こちらはIRいしかわ鉄道線金沢駅から津幡駅を経由してJR七尾線に乗り入れる列車として活躍しています。
JR七尾線の起点駅はIRいしかわ鉄道の津幡駅からで当駅はJRとIRの共同使用駅となっています。
★IR JR津幡駅 駅舎
駅はIRいしかわ鉄道が管轄しています。
★IR JR津幡駅 構内
★IR JR津幡駅 駅名標
IRいしかわ鉄道線の中間駅、JR七尾線の起点駅であります。こちらの駅名標には金沢駅と違いJR西日本のロゴが入っていませんね。
IRいしかわ鉄道線は全線交流電化区間ですが、JR七尾線は津幡駅を出てすぐにデットセクションがあり隣駅、中津幡駅までに直流電化区間となっています。
1898年に私設鉄道会社の七尾鉄道が津幡駅から矢田新駅間まで開業し1907年に国有化され当路線を七尾線と名付けられます。1925年に矢田新駅から現在の七尾駅に主要駅を移転し和倉駅(現和倉温泉駅)まで延伸。それから少しずつ延伸を続け最終的には和倉温泉駅から輪島駅まで開通します。1897年の国鉄分割民営化でJR西日本の路線になり1991年に和倉温泉駅〜輪島駅間がのと鉄道に経営移管されます。同区間はJR西日本が第三種鉄道事業者に七尾駅〜輪島駅間はのと鉄道が第二種鉄道事業者となりこのときに津幡駅から和倉温泉駅まで電化され現在に至ります。
※ 第一種鉄道事業とは
鉄道による旅客または貨物の運送(列車の運行)を行う事業であるもの。
※ 第二種鉄道事業とは
自らが敷設した鉄道線路以外の(第一種や第三種鉄道事業者が保有する)鉄道線路を使用(借用)して旅客または貨物の運送を行う事業。
※第三種鉄道事業とは
鉄道線路を第一種鉄道事業を経営する者に譲渡する目的をもって敷設する事業、及び鉄道線路を敷設して該当鉄道線路を第二種鉄道事業を経営する者に専ら使用させる事業。
和倉温泉駅〜輪島駅間がのと鉄道に移管されたので、現在JR七尾線の路線は津幡駅〜和倉温泉駅間となっています。JR七尾線を走る普通列車は全列車、金沢駅を発着して津幡駅を経由そして七尾駅まで運行します。七尾駅から和倉温泉駅の1駅はJRの普通列車ではなくのと鉄道の車両が走っているんです。
★JR IR 七尾線用の521系100番台の連結
IRいしかわ鉄道線とJR七尾線は直通運転を行なっていますので同じ521系100番台でもJR西日本の保有車とIRいしかわ鉄道の保有車があり会社ロゴが違います。
鉄道事業者が他社の車両を使用し自社路線で列車を運転した際は車両を借りて運行していることになるので、車両使用料が発生します。そのため両社、車両を貸し合い他社区間の走行距離を同等に調整し相殺する形となっています。
ちなみにIRいしかわ鉄道保有の521系100番台が運行を開始したのは2021年3月からで、それまではJR西日本保有車両の413系と415系がIRいしかわ鉄道に片乗り入れという形で運行していました。413系と415系は老朽化のため521系100番台に置き換えがはじまりこのタイミングでIRいしかわ鉄道保有車両が誕生したのです。
521系100番台JR西日本保有車両はU01〜U15編成までの2両15編成がIRいしかわ鉄道保有車両は上記、IRいしかわ鉄道線専用車の続番でIR06〜IR08編成までの2両3編成の計18編成が活躍しています。
なおIRいしかわ鉄道線からJR七尾線へ乗り入れる列車はほかにもあります。
●JR西日本の乗り入れ車両
★521系100番台
先程から何度も記載していますが、一応掲載します。金沢駅ー津幡駅ー七尾駅間で普通列車として活躍しています。
★特急能登かがり火(681系.683系で運転)
北陸新幹線が開通するまで、金沢駅〜和倉温泉駅間の特急列車は
大阪駅発着のサンダーバードが4往復
越後湯沢駅発着のはくたかが1往復
名古屋駅発着のしらさぎが1往復
の計6往復が運行されていましたが、サンダーバードは大半が金沢止に、はくたかは新幹線に移管され、しらさぎは全列車金沢止となりました。これでは前回紹介しました。七尾線は他のJR路線と連絡しない離れ孤島にあること、また新幹線から影となってしまう駅にもなります。それらに考慮するために2015年のダイヤ改正から運行を開始した列車種別です。主に681系.683系のしらさぎ編成付属車両である3両編成が使用されます。
停車駅は
金沢駅 - (津幡駅)- (宇野気駅)- (高松駅)- 羽咋駅 - (良川駅)- 七尾駅 - 和倉温泉駅
()内の駅は一部列車が停車で時間帯によっては金沢駅を出発するとIRいしかわ鉄道線では1駅も停車せずJR七尾線に直通する列車もあります。ちなみに普通列車もそうですが、七尾線に直通する列車はJR西日本の乗務員が担当します。
★特急サンダーバード(681系.683系で運転)
サンダーバードも1日1往復は大阪発着和倉温泉行が2015年以降も継続運行されています。また金沢総合車両所からサンダーバードの送込・返却時には上記の能登かがり火として運行します。
★特急花嫁のれん(キハ48改造車で運転)
金沢駅から津幡駅を経由して和倉温泉駅まで土休日を中心に走る観光特急列車です。
当列車もJR路線と連絡しない離れ孤島にあること、新幹線から影となってしまうことに考慮するために2015年のダイヤ改正から運行を開始した列車種別です。列車内では伝統工芸品の展示や北陸ならでは食の提供・添乗サービスが受けられます。
今回はJR北陸地区の鉄道を見てみる②ということで、IRいしかわ鉄道をご紹介しました。
ご覧いただきありがとうございました。
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