[佐世保警備隊]虚空蔵山防空砲台①砲座

長崎県西海市太田和郷

★後日、写真を追加します

 

竣工:昭和13年頃

備砲(終戦時):40口径89式12.7cm連装高角砲×2、25mm機銃×4

 

長崎県 戦争遺跡・遺構

昭和13年(1938)、西海町中央の虚空蔵山(こくうぞうさん)山頂に海軍高射砲台が建設された。同砲台の建設には、佐世保海兵団から多くの兵が作業にあたり、資材は川内波止場から運搬され、地元瀬川村青年団、小学生も手伝ったという。また、山頂よりやや下方に、兵舎・練兵場が造られた。


45 口径12.7センチ連装砲2基、25ミリ機銃4基、150センチ探照灯1基が配備された。砲台完成に伴う佐世保鎮守府司令官視察時には、村人は招集され、道路清掃作業に従事したという。

 

引渡(還納)目録によれば終戦時の主な装備は、40口径89式12.7cm連装高角砲×2、25mm機銃×4、高射装置1、測距儀2、96式150cm探照灯1型1、96式管制器1、独式聴音機1など。

 

引渡(還納)目録

出典:アジア歴史センター(C08010924500)還納目録 佐世保海軍警備隊(1)

 

海抜608mの峻嶮な虚空蔵山は、その特徴的な山容から「九州のマッターホルン」とも言われいるらしい。山頂部を平削して海軍の防空砲台がつくられた。現在は「長崎県立西彼青年の家」となり、砲座など一部魔改造されてはいるものの、大きく損なわれず現存している。

 

出典:国土地理院 1947/04/03(昭22) USA-M196No1-48、抜粋・加筆

 

出典:長崎県立西彼青年の家、加工・加筆

 

目標となるのはこの展望台。

 

展望台から雑木林に入っていくと、成田空港の建設反対派の監視小屋的なものが目に入る。ここが砲座①で、40口径89式12.7cm連装高角砲を置いた台座に小屋(廃墟)が建つ。砲座の魔改造であるな。

 

40口径89式12.7cm連装高角砲

出典:工藤洋三『徳山要港防備図でたどる周南の戦争遺跡』P.21から抜粋

 

砲座①

40口径89式12.7cm連装高角砲の砲座(②も同じ備砲)

 

 

 

 

40口径89式12.7cm連装高角砲を置いた台座

 

 

 

 

即応弾薬置場

 

こちらは、兵員待避壕&出入口

 

 

 

出入口を砲座の外から・・・

 

 

 

砲座②

 

 

 

 

炊事場近くにある機銃陣地らしきもの。

 

指揮所?

 

 

 

づづく

 

* * *

佐世保海軍警備隊(防空砲台)

佐世保軍港防衛のために建設された海軍の砲台群。第一次世界大戦の勃発により初めて建設された。航空機や潜水艦の登場、火砲や聴音機やレーダーなど兵器類の著しい技術の進展に合わせてその装備も移り変わっていく。

 

佐世保海軍防備隊の防空砲台群と関連施設は48施設、と言われる。これらが資料に出てくるのは昭和16年12月頃〜昭和20年6月頃。砲台や電探などの詳細な資料はあまりなく、引渡目録や戦時日誌を読み込んで判断する。

 

出典:アジア歴史センター(C08030480600)佐世保海軍警備隊戦時日誌戦闘詳細報(5)

 

高射砲陣地と防空砲台、特設見張所や防備衛所といえば第一人者のファーザー氏

ファーザーのHP

以下ファーザー氏調べ佐世保海軍警備隊の防空砲台リスト

 

(1)田島岳防空砲台:長崎県佐世保市小野町(弓張岳)

(2)庵之浦防空砲台:佐世保市庵浦町(つくも苑の西?)

(3)猫山防空砲台:佐世保市黒髭町(猫山ダムの東?)

(4)高島番岳防空砲台:佐世保市高島町(高島)

(5)寄船防空砲台:琴平神社の周囲に在り

(6)大崎防空砲台:佐世保市針尾北町(大崎公園)

(7)盲目原防空砲台:佐世保市鹿町(目暗ヶ原遺跡付近?)

(8)虚空蔵山防空砲台:西海市西海町太田和郷(長崎県立西彼青年の家)

(9)石盛山防空砲台:佐世保市知見寺町(石盛山/佐世保カンツリー倶楽部?)

(10)前畑防空砲台:佐世保市前畑町

(11)八久保防空砲台

(12)八丈岳防空砲台

(13)天神岳防空砲台

(14)八天岳防空砲台:佐世保市里美町

(15)高岳防空砲台:佐世保市大潟町(陸上自衛隊相浦駐屯地の西隣)

(16)黒島番岳防空砲台・特設見張所:佐世保市黒島町(黒島)

(17)百合岳防空砲台:

(18)稲佐山防空砲台:廃止(痕跡無し)

(19)東ノ浦防空砲台:山ごと消滅(長崎県立大村養護学校付近)

(20)福重(今福)防空砲台:(大村基地から北へ4キロ)

(21)箕島防空砲台:長崎空港滑走路?

(22)諏訪防空砲台:上諏訪公民館の西側?

(23)瀬戸防空砲台:千綿宿の北東側の丘陵上?

(24)諫早防空砲台:消滅。諫早市立みはる台小学校の北西の尾根上?

(25)皆同防空砲台:大村基地から北北東へ4km程の位置にある皆同町の丘の上

(26)錐崎防空砲台:消滅?針尾ICの南東側に突き出た岬の西側

(27)古里防空砲台:消滅?針尾ICの南東側に突き出た岬の西側

(28)三越防空砲台:三越トンネルの真上付近

(29)川棚防空砲台:消滅?川棚駅北東の小山

(30)日野防空砲台:相浦にあった海兵団内?

(31)左石防空砲台:佐世保市街の北、詳細不明

(32)野口防空砲台:引渡目録には記載なし、未備砲?

 

資料が限られている中、ファーザー氏のHPは勉強にもなりますし、探索意欲が湧いてきます。勝手に慕っております(^o^)いつもありがとうございます!

 

 

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