[光海軍工廠]九十九橋

広島県広島市中区中島町(平和公園すぐ)

令和3年度土木学会選奨土木遺産

 

本川橋は旧太田川(本川)に架かる橋。

天正年間(1573~1592年)に豪商の猫屋九郎右衛門が私財を投じて架橋したのが始まり。当時は猫屋川と呼ばれ、架けられた橋は猫屋橋と呼ばれた。猫屋川は明治10年以降に本川と改められ、明治30年11月に広島初の鉄橋に架け替えられた。

 

 

昭和20年8月6日の原爆投下で、爆心地から約410m地点にあるこの橋は、爆風で橋桁が移動したり、一部滑落して通行不能となる。同年9月20日頃の枕崎台風で橋桁は完全に崩壊し、橋脚だけが残った。

 

昭和24年、残った橋脚を使い、3径間鋼平行弦ポニーワーレントラス橋(全長73.2m、幅6.6m)に架け替えられた。敗戦直後の資材難の中、空襲や爆撃を受けた光海軍工廠(山口県光市)の建材を再活用した。必要に応じて弾痕の穴を塞ぎ、曲がったものはハンマーで叩いて直し使用した。構造上問題の無い部分は補修せず使用したため、弾痕や光海軍工廠時代のリベット孔が残っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海田市の九十九橋も同様の架橋で、共に土木学会選奨土木遺産認定を受けた。

 

 

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