[沖縄戦]糸満防空監視哨
沖縄県糸満市糸満(山巓毛公園)
山巓毛(サンティンモー)は、糸満市の中心部の糸満ロータリーのすぐわきにある標高約25メートルの丘陵。その昔、船乗りの目印になった山で山頂からは360度展望。昭和7年に山頂が整備され公園になった。
昭和16〜18年頃、沖縄県内に防空監視哨は11ヶ所設置された(沖縄県警防課管轄)。糸満市の山巓毛の山頂にも防空監視哨が設置された。
哨舎は建屋全体に偽装網を掛けられた八角形のコンクリート造りのものだったという。哨舎内部には糸満警察署との直通電話機があった。哨員は民間人で18名で3班に分かれ、24時間体制で任務に当たっていた。木造瓦葺きの哨員宿舎は北東の平坦地にあった。
山巓毛の山頂部には戦前より幾つかの記念碑もあったが、防空監視哨とともに「沖縄戦」で徹底的に破壊された。山巓毛が再整備されたのは1999年以降のこと。
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糸満防空監視哨
沖縄戦で建屋は爆撃を受け倒壊。台座(基礎部)のみ残る。
台座(基礎部)は1片1メートル、径2.65メートル。
展望は素晴らしい。
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戦前からある遺構
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①皇太子殿下御生誕記念国旗掲揚台
「昭和九年八月一日建立」と刻銘。
この時の皇太子は平成帝のこと。
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②御大典記念山巓毛改修碑
昭和天皇の即位を記念して、昭和7年(1932年)に白銀神社改築期成会によって山巓毛が整備された。その記念碑。
昭和20年4月、米軍の沖縄本島上陸後、日本陸軍が「米軍の攻撃目標になるから」と、石碑を切り、西側の崖上に置かれた。1999年(平成11年)頃、山巓毛公園整備工事で石碑を台座横に移設したとのこと。
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戦中に構築された遺構
出典:沖縄県戦争遺跡詳細分布調査(南部)、P15より抜粋・加工
山巓毛には多くの戦争遺構があったようだが、現在はほぼ姿を消している。山麓には古い亀甲墓がいくつもあるが、ここも陸軍の防御陣地のひとつにされてしまったようだ。
山巓毛丘陵地下には昭和19年頃、第9師団が構築した築造された人工壕がある。南北に約 100mの長さで貫通しているが、現在は壕口は全て塞がれている。