生きることと有り難さ | 鍼灸師 Shuhei Higashi 鍼灸師のブログ

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鍼灸師 鍼灸の勉強、言葉、英語学習など備忘録的に使用予定です。

 法華経の一説に、

「人間の身を授かることは難しい、いずれ死んでしまうものの、いま生命があることは有り難い、正しい教えを聞くのも難しい、もろもろの仏が出現するというのは有り難いことである」(意訳)という一節があります。

 

 「ありがとう」という言葉の由来は有ること(存在)が難しいから珍しい・稀有なこと、転じて今の感謝の意味になりました。ちなみに英語の”Thank you”は”Think(思考)”とルーツが同じです。つまり”Thank you”は「あなたを思う」ということであり、「あなたからの御恩や親切を忘れていませんよ」ということです。

 

 同じく経典にて、「大海に住む盲目の亀が百年に一度顔を出し、そこへ風のまにまに流された一つの穴のある流木が流れてきて、亀が偶然にも浮木の穴にすっぽり挟まる」という極めて低い偶然性を表す比喩として用いられたり(盲亀の浮木のたとえ)、

 

ある日、お釈迦様が弟子と歩いていて、爪の上に砂を乗せられました。

そして「爪の上の砂と大地の土とどちらか多いか」とお弟子に尋ねたところ、

「爪の上の土など、ほんのわずかな大地の土とは比べようがありません」とお弟子が答えると、

お釈迦様は「生きとし生けるものは無数にあるが、人間界に生まれるということは、爪のうえの土程に有り難い、稀なものだ」と説いた「爪上の土」という例えもあります。

 

 また、遺伝子研究の第一人者であった村上和夫先生は、

「遺伝子という極微の空間に膨大な情報を蓄積し、それを一刻の休みもなく作動させている遺伝子は、人間の理性や知性をはるかに超えたものの働きによって作られたものではないか」と考えられ、”something great”「何か偉大なもの」の存在を規定していました。

 

 仏教のみならず、科学研究の第一人者すらも想像した、人間として生まれてくることの稀少性、有り難さを感じながら日々を過ごしていきたいと思いました。