吉井和哉TOUR THANK YOU YOSHII KAZUYA@高松あいまいレポ | あなたの夜を埋める物

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070203サンキュー吉井和哉

『吉井和哉TOUR 2006 THANK YOU YOSHII KAZUYA』が延期により2006が2007になってしまった香川・高松公演に行ってきた。

“お詫びアンコール”が終わって、客電がついて、特急に乗って、家について…現実に戻るのが今、ものすごく惜しい。曲順やMCの言い回しを、この瞬間にもどんどん曖昧になって忘れてしまうことがさみしい。

だけど「ライヴに行った」という事実が、今記事を書いている最中にまだ少しじくじくする耳や、2時間半立ちっぱなしで痛む足の裏とか、会場入りしたときにもらうチラシの中にあったアーティスト写真のカード、そしてチケットの半券…2007年2月2日の確かな証拠になる。それを支えにまた明日からまたがんばって生きていくんだ。吉井和哉もそう言っていた。「あなたの心のそばに、(自分の)歌をおいてください」と。

座席は2階席のセンターあたりと思っていたらあたりどころかステージ中央を直線状に見下ろす形、真正面にスタンドマイクがあって一番ステージ全体が見渡せる好ポジションに「延期になったからってキャンセルで良席が出るんじゃないかと買いなおさなくて良かった」と思った。当日券は出ていたが。

一年ぶりの吉井和哉は黒のラメジャケット、白のフリルシャツ、青のサテンのパンツに金のブーツ、ステージ背後の端から端までの巨大な電光スクリーンにミラーボールと、キラキラ・ラメラメ祭り。本人も「こんなパンツ穿けるのは俺だけ」と言っていた。確かにアナタか及川ミッチーだけかもしれない。でも40歳ではダントツナンバーワンであろう。金のブーツを履けるのもあなただけだ。最初のMCはまず延期についてお詫びして「今日はいつもより何倍もいいショーにします、倍の倍の倍の倍の倍の(超早口)~バイバイっ!」とステージから帰ろうとして客の笑いをかっさらう。
そして前半はステージでごろん、としたり最前列の客が触り放題握手し放題でちょっとしたディナーショーのようであった。久しぶりに最前列が羨ましいと思った。2階席にも来て~←無理だよ。

ちなみに菊地英昭EMMAちゃんは赤のスカーフに襟が白の黒いシャツに白パンツ。日本のギタリストで白パンツが似合うのはこの人しかいないのではないか?いやそうなんだよ←断言。前回のツアーは比較的おとなしく弾いていたのが、今日は脚を開いて腰を落として弾くいつものスタイルで白パンが映えるわ、格好いいわのなんのって、ギターソロも多く、もうもう、ご満悦ですよ、私は。自己満足上等ですよ、ええ。

曲目はポジネガマンを除いた『39108』の11曲とCALL ME、FINAL COUNTDOWN、20GO、PVの映像をバックにギター1本のTALIに超ロックバンドヴァージョンで何の曲か初め分からなかったBLACK COCK'S HORSE、ビートルズのイエスタディの日本語歌詞付けカバーに、前半は「金のなる木を見つけた~」で後半は女の子言葉で動きも女の子だった「む~む~む~、バイブは携帯じゃなくて大人の(はぁと)」という、吉井和哉じゃなかったらただの下ネタコミックソングの新曲?これも洋楽の日本語カバー?とにかく音はすっごい格好よかったんだけどわけわかめな曲。そしてイエローモンキーのSPARK、太陽が燃えている、バラ色の日々、LOVE LOVE SHOW、パール、そしてギター弾き語りの“お詫びアンコール”で歌ったJAM。

イエローモンキー曲はいやおうなしにテンションが上がり、条件反射で身体が動く動く、合いの手やコールも覚えていたりして、おそるべしカラダの記憶(笑)『バラ色の日々』で1年前を思い出して半べそかいてしまい弱った。イエローモンキー時代でもFOUR SEASONSツアー以来ほとんどやらなかった『太陽が燃えている』をやったのがとても意外だった。

そして面白かったのが「大人しめの曲でアンコール」の1曲目だったパール。
「1ヶ月前から練習した誰もが知っているアイドルの物真似をします。…ペンライト消して、うん、消して。ペンライトを上に向けて…星空見せてよ…」SMAPのライヴビデオ見た人しかわからねえよ、そのキムタクの物真似、しかも似ていない、ただの声の低いもごもごした喋りの人だよアレ(笑)。
会場のあちこちから笑いもとい失笑が湧いて、ミラーボールが回転。キーボードのピアノの音だけの『パール』が始まったのだが、青い照明に会場上方にミラーボールの光が星空のようにちりばめられて、ジャケットを脱いで白フリルシャツに青のサテンパンツで歌うその姿は“四十路のジャニーズアイドル”だった。隣にいた友人も「パールが面白かった!」と言っていた。歌い方も心なしか原曲よりやわらかめでますますアイドル歌謡ぽくて、後半ゴスペルっぽいピアノの伴奏に変わったりと、「あの『パール』がこんな風に変わるんだー」とその点でも面白かった。

MCはバンド紹介でエマ一人を残して「以上です」とベタなことをやったりもしたが、基本的に「ネタが無い」そうで、「金色のブーツの中は5本指の靴下」とか、「昨日は四国では珍しい雪が降って“俺もとうとう雪男になったか…”と思ったら香川に来たらやんだ」とか、「日本人はバラードになると静かになる、四国はとくに…うどんの食いすぎだよっ」と、その後の『恋の花』では手拍子や間奏でワアアアーと盛り上がるという今までに無いバラードの盛り上がり方をしたり、最後の方は香川のライヴのおやくそく、客席からの「うどん食べたー?」の声に、「(店の名前)まつした、いや違う…」客席が「えーっ!!」と非難の声を上げると「ちょっと忘れただけじゃないか!ネタが無いんだよねえ……欧米かっ!」と全く話に関係なくひとりタカアンドトシをやる始末。そんな無理しなくてもいいよ、吉井さん…。「みんな(吉井和哉を)大事にしてね」の言葉がいじらしい四十路ロッカー。

あと要所要所で延期について詫びていたが、1回目のアンコール前、ステージの電飾スクリーンに『THANK YOU YOSHII KAZUYA』と『SORRY YOSHII KAZUYA』の文字が交互に映し出されて客席から笑いがもれていた。

前半は『39108』で激しく畳み掛けて、中盤ロヴィンソン時代の曲で独特の空気を作って、ビートルズのカバーや謎の1歩間違えたらただのコミックソングで「吉井和哉の世界」と見せつけ、後半はイエローモンキーとファナカンで完全に客をノセて、BEAUTIFULやアンコールのBELIEVEで涙腺をゆるませ、お詫びアンコールでJAM。本人が言っていたとおり、「吉井和哉の10年間」が凝縮された2時間強であった。

「今日は盛り上がって、また明日から生きていきましょう」「たくさんの出会いと別れがありましたが、全ての出会いと別れが無駄じゃなかったと言えるように過ごしていきましょう」そんな意味の言葉を曲の間に話していた。その言葉がそのままたくさんの吉井和哉の歌に込められていて、どうせどうにもならないんでしょ、といじけてしまったり、同じ失敗を繰り返しては自分を嫌いになってしまう日も、この人の歌があるから今日みたいな幸せな日もあって、今までもこれからも救われていくんだろうなと思うと、「がんばっていかなきゃな」と前に進む勇気をもらった気がした。

秋にツアーでまた来てくれるとのことだが、「先日の松山公演では「9月に来ます」と言っていたのに、高松ではいつ来るかは言わなかったね」と友人が言ったので「ひょっとしたら四国は松山だけなのかもしれないね、でも昨日行ったうどん屋の名前忘れるくらいだからたまたま忘れたんじゃないの?」と返してみた。

…吉井さん失礼なこと言ってすみません。お願いですからまた高松に来てください(祈)松山近いようで関西より遠いんで。

以上、ライヴレポになっていないライヴレポでした。そして誰か「金のなる木を見つけた~」の謎の歌の真相を教えてください。