2024年4月27日『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”』に行ってきた。
イエローモンキーのライヴに最後に行ったのは30周年の大阪京セラドーム。
大阪公演のほぼ直後に非常事態宣言により、この日までいわゆる音楽ライヴに行くことなく過ごしてきた。
4年ぶりのTHE YELLOW MONKEY、東京ドーム1公演のみ
咽頭がんから復帰した吉井和哉がステージに立つ、行くしか無いと。
だが一抹の不安があった。
果たして現在の自分にTHE YELLOW MONKEYの音楽が響くのかと。
昔のように音楽を聴かなくなっていた。向上心も無く、ただ穏やかに心の揺らがない静かな日々を心から望むようになった自分が、昔のように熱狂できるのかと。
しかしその不安は杞憂に終わった。
次のライヴがあったら行ける自分でありたい、だから明日からがんばろうと素直に思えた。
やっぱりTHE YELLOW MONKEYが好きだ。
昔と変わらない、それだけの私がまだちゃんと、そこにいた。
7年ぶりにライヴレポを書こうとしたら、面白いくらい脳にライヴの記憶が残っていなくて、
MC等はWOWOWのPPVでかなり補完しました。
それでもあやふやな部分はあるやもしれませんが、自分のために、記します。老化が憎い(笑)
今回用意されたのはSUPER指定席アリーナA14ブロック11列。
簡単に言うとエマちゃん側の花道寄り。
肉眼でメンバーの、エマちゃんの全身が確認できてしまう、ここが天国か。
記念品のバングルをつけて、カウントダウンがゼロに近づく。
だんだん大きくなる音、暗転、割れんばかりの拍手歓声悲鳴。
激しいピアノの音がした、サポートキーボードの鶴谷さんが右側にいる?
じゃあ定位置の左側には!?
あの帽子は……三国さん!?
THE YELLOW MONKEYの新旧サポートキーボードが共演している様に度肝を抜かれている間にメンバー登場。
バラ色の日々
無料配信が入った時点である程度知名度のある曲になるだろうと予想はしていたが、
1曲目にバラ色の日々は予想外だった。
けれど歌えなくなった4年前、そして1万9千人が歌えないまま開催された3年半前の東京ドームを経ての今回、この曲しか無かったんだとすぐ理解した。
2020年にカラオケボックスで録音した私の声と、2024年にマスクもせず東京ドームで歌う私が一緒にいたから。
SHINE ON
1曲目無料配信が終わった後でド新曲もってくるのわかってるしかない。
ここからは私達だけのBIG EGGよ!
ロビンは赤と今回のツアービジュアルカラーのブルーグリーンの入ったスーツ。
そしてメンバーはラメラメのサル~♪の歌詞のとおりヒーセもエマちゃんもアニーも、
ブラックでキラキラキキラララメラメとにかくまばゆい。
ヒーセはヒョウ柄ブラックに襟がキラキラなスーツ、エマちゃんは全部スパンコールのロングコートとパンツ、胸のフリルたっぷりシャツのエマちゃんにしか着こなせない大優勝コーデ。
アニーも定番のブラックだけどジャケットキラキラしてる。
まさにツアータイトルどおりSHINE ON……。
「そんなにヒット曲はありませんけどー代表曲のオンパレードでいきまーす!」
Romantist Taste
アニーのドラムからのライヴバージョン本当に好きすぎる。
「これが見たかったぜ!」
私もやりたかったぜ!Everybody!5万人のサイケニューロン!
あのですね、エマちゃん側のSUPER指定席でしたが3曲目でエマちゃん花道来るとは思わないじゃないですか。いきなりクライマックス(笑)
毎回言ってる気がしますが、左右に動くたび、ターンするたび、ロングコートの裾がひらりと揺れてそこはもう天国なんですよ。
そしてさらにスリムになっているんですよ、ロックと美の暴力ですよギター貴族ですよ(錯乱)
ほぼ最初から最後までエマちゃんしか見ていなかったです。
Tactics
言わずもがなエマちゃんのギターから始まる曲なので息をつく暇をあたえてくれない罪深い。
「声も身体も欲しいです」ってなんかエッチだね。
ロビンとのツインギターがたまらないね。
聖なる海とサンシャイン
エマちゃんのギターと鶴谷さんのキーボードによる演奏がはじまる。
インド音楽のシタールのような神秘的な音色から、ギターの音に呼応するような鍵盤の音色へ。パイプオルガンで奏でられる教会音楽の荘厳さに似ている。
ああ、これは『球根』の時と同じ“あれ”だ。
予測できない音色と速度でいつの間にか身も心も絡め取られてしまう。
ギターのネック部分の弦を押さえ、同じネックの弦をぴたぴた押さえて鳴らす見たことのない演奏、聴いたことのない音。
そして波が押し寄せてきた。
大好きな曲がより深い響きで聴けた事が本当に嬉しかった。
BURN
Tactics、聖なる海とサンシャインそしてBURN。私的役満三連チャンである。
スタジアムツアー『紫の炎』を彷彿とさせるロビンの舞を久しぶりに見た気がする。
ROCK STAR
今回の公演では、小鳥サイズのドローンカメラが使用されていて、
エマやヒーセの周りをくるくる飛んでいたのだが、カメラに向かって視線を送ったりニッコリおどけたりするのがとてもかわいい。
そして三国さんにちょっかい出すロビン。昔もよくちょっかい出してたよねえ。
MC
「よかった帰ってこれて東京ドーム、中止になってねーぞー! 今のところ」
ドキドキするMCやめてください(笑)
「最近は外国人の旅行客の方も増え、ホテルも取りづらくなったと、Xで見かけます」
はい、宿の手配には大変苦労いたしました。GWの東京はマジやばかったっす。
「家庭の事情も突破して、いろんな事情がおありでしょう、ここに来るまで本当に大変な思いをして来て頂いて、本当にありがとうございます」
やさしさライセンスAAA級すぎるよロビン。
まぁ全員やさしさライセンスAAA級なバンドなんですがね。
興奮のあまり一睡もしていない先日61歳になったばかりのヒーセのウキウキハイテンションっぷりに「あーイエローモンキーのライヴ来たんだなぁ」とニコニコである。
楽園
ステージ後ろの正面・左右の3枚の巨大モニターに曲によってメンバー分割カメラ映像だったり、楽曲のイメージビジュアルが映し出されたりするのだが、
楽園はモノクロのハンドサイン?みたいな手の画像が流れていてどんな意味があるんだろうと考えてみたり。
猫も連れて行こう~♪のねこジェスチャーが可愛いと評判な楽園ですが、
この日は手乗りサイズの猫でした。ジャケットの中にしまってた。
SPARK
ジャケットを脱ぎながら花道猛ダッシュキメるロビン。
動きキレキレである。
頭わしゃわしゃされたファンの方はどれだけの徳を積んだのだろうか。
ソナタの暗闇
イエローモンキーのエンジンドラムス・アニーによるハイパーアニータイムも、
ヒーセが加わってのハイパーリズム隊タイムもめっためたに格好良すぎたので、これから毎回やってくださいお願いします。
そしてベースからはじまる新曲、ソナタの暗闇。
スクリーンいっぱいに全歌詞の単語が並び、歌い終わると白く塗りつぶされる。
あたりまえだけれど絶対歌詞まちがえられない演出だなって、いつぞやの『セックスレスデス』の時も思ったっけ。
天道虫
皆様ご機嫌いかがですか「ライヴの天道虫だいすきおばさん」です。
ライヴで天道虫を演った日のは帰りの車内でや居酒屋でもれなく「天道虫は格好良いよな」おばさんになります。
この夜も焼き鳥とパインサワー片手に「天道虫格好良いよな」何度も言ってた(笑)
それくらいライヴで聴くTHE YELLOW MONKEYの天道虫が大好きです。
あんな最初から最後まで格好良い曲ある?
太陽が燃えている
東京ドームを自分の家の庭のように演奏しながらぐるっと一周おさんぽして戻って来るエマちゃんマジギター貴族。
後半、ロビンがステージの縁に腰掛けて歌っている姿がかわいかった。
ドキュメントムービー
2024年の和やかなリハーサル風景から2022年へさかのぼる。
内視鏡カメラで撮影されたであろう写真、喉にできものがある。
「星回りが変わった気がするな」
ポリープから早期の咽頭がんと診断され
治療で赤く腫れ上がった喉全体の皮膚の映像が映し出されると会場から静かな悲鳴が上がる。
「本人の(病気との)戦い方が決まるまでは何も言わないでおこうかなと思って」
「彼なりに大変なことになっちゃったって。でも根本的にもってる強さがあるから」
「何もできないですからね、祈ることしかできないですからね、変わってあげられないから」
エマ、ヒーセ、アニー、見守り、信じ、祈る。三者三様のロビンへの気持が語られる。
「グループラインでもね、言うんですよ、ごめんねって」
ロビンのごめんねを、ゆっくりでいいんだよと諭すエマちゃん。
全員が揃って、元気に復活することが一番なのだと。
「死にたくないって思ってたけどずっと、不思議とがんになってからその恐怖はなくて、
下手したらこれ死んでるんだなあって、人はみんな死ぬし、過去には戻れないし、
平等に死は訪れるから、そこ怖がる必要もないか。
すごく命とはなにかを考えた数年間、だから終わり方は──」
モノクロの満開の桜の映像に人生の終わりのイントロが流れはじめる。
ステージに目をやると楽器を携えているメンバーがいて、
モニタから流れていたのと同じメロディーがドームに響き始めた。
人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)
ムービーを経ての「人生の終わり」である。
肉親の死から、自身の“人生の終わり”
モニタに映し出される歌詞、ライヴも後半になり歌声はかすれていた。
「僕が犯されたロックンロールに希望なんて無いよ」
以前とは違う、まだ本調子ではない歌声。
治療で弱った姿をさらけ出した映像、
それでもこの日、5万人の前で、このバンドで歌うのだと、
歌い続けるのだという「覚悟」を私達に見せたのだ。
私の好きなロックバンドはなんて真摯で強くて弱くてそして優しいんだろう。
直立したまま、ただ前を見つめるロビンの瞳が印象的だった。
SUCK OF LIFE
誰もが人生の終わりで胸打たれていたところに、デッカイナ◯チモツベイベー!である(笑)
この緩急がたまらないね!
大好きなマイクスタンドぶん回し健在!
いつものWANT TO LIVEの繰り返しも、また違う意味に響いて。
最後、いつも美しく高く伸びるYour lifeがドームに響いた。
LOVE LOVE SHOW
「愛とはあなたのため!LOVE LOVE SHOW!おね、お姉さん!」
声こそは本調子ではないものの、ロビン身体は元気である。
ぼふぼふの真っ赤な羽根(マラボーというらしい)首にひっかけて
長い脚で一気に私のいる右側の花道へすっ飛んできた!うおおお!
笑顔にヒソヒソ声で「知らない(ホテルへ)行こう~♪」
「あなたの~エマ!」って指さして歌った方向はヒーセがいて「あれっ?」
歌詞をトチってコーラスと合わなくなっちゃってエマちゃん笑ったり、
観客と掛け合いで大合唱でチャキチャキに笑顔で楽しいLOVE LOVE SHOWだった。
ホテルニュートリノ
「アルバムが完成しております」
冷静に考えてこの社会もバンドも大変な時期にフルアルバムを作ったことが信じられない。
でもめちゃくちゃ嬉しい。
「人生の7割は予告編で 残りの命 数えた時に本編が始まる」
これがさっき言っていた「星回りが変わった」からこそ生まれた一節なのだろうか。
「若い方とも一緒に、本編を楽しみたいと思います」
夜のビルに過去のツアーロゴやタイトルをデザインしたネオンサインが輝く。
今までのイエローモンキーには無かったスカのリズムを取り入れた一曲。
新しくて、でも歌謡曲のような懐かしさ。
私が今年に入って購入して聴いていた数少ない音楽だ。
だからなのかすぐ違和感に気づいてしまった。原曲より半音下がっている。
半音下がる=♭(フラット)1個分?
これは私個人の憶測でしかないのだけれど、
その半音の差だとしても、少しでも喉を酷使しないための編曲だとしたら、
東京ドーム公演を最後までやり遂げるんだという「覚悟」がここにも有ったのではないかと。
ホテルニュートリノが終わるとステージからメンバーが去り暗転、ドームにアンコールの拍手が響く。
けれど私はいつものように積極的に手を叩く気持になれずにいた。
少しでも喉を休められるのではないかと、手を叩くと登場を急かすみたいで、ためらってしまった。
もうロビンの喉はこれ以上無理をしない方がいいんじゃないかと。
こういう素人考えはプロに対して失礼だと常に思っているのに。
そんな私のためらいをかき消すように照明がつき、再びメンバーがあらわれた。
アンコール
アバンギャルドで行こうよ
「おこんばんわー!」あ、なんか元気だ、ちょっとだけ声も元気になった気がする。
東京ドーム→東京ブギウギ=つまりこの曲である。
東京ブギウギ(正確には替え歌)と「260万枚売れるはずだった」アバンギャルドで行こうよはワンセット。
この日はWOWOW生中継が入っていたので正しい歌詞で歌っていたけれど、
いつもは卑猥な歌詞なので良い子は決して「おそそブギウギ」とか調べてはいけないよ。
ヒーセメインヴォーカルのアバンギャルドで行こうよベイベー♪と続くエマちゃんのでぃんだん♪がはっきり聴けたのはレア。
ALRIGHT
左にヒーセ、右にエマちゃん、センターステージにロビン、メインステージアニー、
ステージを降りて移動するメンバーたち、
あちこちで歓声があがり、あっちにいるの?いやこっち??
「どっち向いて、どこ見ればいいの!?」状態。
メンバー紹介で前後左右360度振り返っては回ってありったけの声で名前を叫んだ
本当に東京ドームは広いし、過去最大動員数5万は伊達じゃなかった。
悲しきASIAN BOY
天道虫の火花は熱くないけれど、ASIAN BOYの火柱はガチで熱い空気が前から来るよ(SUPER指定席からの体感)
拭き上げる大量の金と銀の花吹雪。
ワイパーをしながら舞い落ちてくる金銀花吹雪に包まれて、ドームいっぱいにバンドの音が響いていて、とても幸せだった。
THE YELLOW MONKEYには金銀テープじゃなく、花吹雪がよく似合う。
MC
アドレナリンが出ているというロビンが昨日一睡もしていないヒーセを気遣うと、
ヒーセも頭パーンだよー!なテンションの高い動きをしていた。
ライヴと徹夜の二重ハイかな(笑)
「皆さんの大歓声、宝物ってレベルじゃない、その歓声のためにずっと音楽、やり続けています、皆さんの、それ、それ、それよ!あーあーーおー!気持ちいい!イヤモニなんかしたくねーよ!」
エマちゃんもイヤモニ外してくれたり、ヒーセもアニーも歓喜のポーズで、こんなのされたら嬉しすぎるんですが!(イエローモンキーハイ)
「アルバム、できたということは」
みんなが気にしているであろうアルバムツアー発表の期待に耳を立てる。
「ごめんね、まだ完璧な声になってないけど、少しずつ治っていってるから、ごめんね」
「何の保証も確信もないまま、東京ドームやっちゃって申し訳ないけど、ほんとにごめん!でも皆さんの歓声があるから出来ると思った」
観客みんなが「そんなに謝らなくていいよ」って言いたかったに違いない。
「球場のここに立って、ホームランって遠くに飛ぶんだなって、だけど俺達は遠くまで音楽を飛ばします」
JAM
「いろんな人がこの日を願ってくれて、願えば祈れば、絶対に叶うと信じて、これからもイエローモンキーと一緒に人生を共にしてください」
何十回とライヴで聴いた『JAM』
最初は問題作だと発売未定にされたが、今はバンドの代表曲、日本のロックの代表曲になった。
「素敵なものが欲しいけど あんまり売ってないから 好きな歌を歌う」
「君に逢いたくて 君に逢いたくて また明日を待ってる」
そうだ、欲しいんだって、逢いたいんだって、ずっとずっと願ってた。
それに気付いた時にはもうどうしようもなく切なくて、大切でたまらなくなって、
歌えなかった4年間を埋めるように、祈りを捧げるように歌った。
この日JAMは「願いの歌」になった。
新曲『復活の日』ムービー
皮のジャケットを羽織った吉井和哉が「restart」を歌う
時に不安げに潤む瞳で、けれど真っ直ぐに歌う映像に釘付けになった。
映像が終わって、強く大きな拍手がいつまでも鳴り止まなかった。
こうして東京ドーム公演は終了した──
WELCOME TO MY DOGHOUSE
「我がイエローモンキーは永久に不滅です!Welcome!」
終了していなかったよ!!
まさかダブルアンコールがあるとは思っていなかった。
不滅がすぎるぞTHE YELLOW MONKEY。
でもドームでこの曲聴けるのはやっぱり嬉しい。何度聴いても血が滾る。
やっと自由に動けるようになったアニーがわしょーいウェーブをやりに左右の花道の端っこまでダッシュダッシュ、アニーはこころの幸いだね(ほっこり)
最後にロビンが叫ぶ「治ったら2daysやるぞ!!」
ロビンとエマちゃんがステージを去り、
アニーとヒョウ柄の布をふわふわさせながらまとったヒーセが残り、
ふたりでわしょーいウェーブ×3をやって去り、そして本当にライヴが終わった。
決してロビンの喉完全復活!というものではなかった。
だが、コロナ禍を経て、咽頭がんを経てのステージ&前の日一睡もしていない61歳を←逆に元気まである。を含めた平均年齢58歳のロックバンドが、
約4年ぶりに東京ドーム5万人の前で20曲以上演奏し、
予定になかったWアンコールまでやりとげた公演を成功と言わずしてなんと言おう。
病から帰還したロビンを支え、笑顔で見守るメンバーと、
好きな歌を身体中に浴びて歓声を上げ、歌う私達と、
そんな私達と一緒にいたいと言ってくれたロビンと、光り輝く素敵なものをこの日たくさん受け取った。
歳を重ね、月日が経っても、寄り添ってくれるTHE YELLOW MONKEYと共に生きていたい。
我がイエローモンキーは永久に不滅です!