夢 | 白昼夢

白昼夢

「夢日記」


博物館の仄暗い廊下を歩く.

左右の壁は棚.

廊下の奥まで

陳列されているその棚には

様々な硝子細工が飾られていた.


「写真、撮っても良いですか」


係員の女性に訊く


「此処は伝統的な場所ですので

撮影はご遠慮ください、

此処は伝統的な場所ですので

撮影はご遠慮ください、

此処は、」


機械的に言葉を繰り返す係員.

しばらくその様子を見つめてから

それなら仕方がない、と

硝子細工に視線を戻す.


動物のような、植物のような、

人間のような、

よくわからない形状の硝子細工達.


ふと廊下の先に目を遣ると

床から木が一本生えていた.

杉だろうか.


いつのまにか

私の隣に青年が立っている.


杉の木には

自動精算機のようなものが

取り付けられていた.


「高いと思わない?」


うんざりした声で

そう呟く青年に

何がですか、と問う.


「1時間で500円は高いだろう」


何の事かわからないが

私は妙に納得して頷いた.


精算機に500円玉を入れる.



遠くで硝子の割れた音がした