夢 | 白昼夢

白昼夢

「夢日記」

公園の中央には

鉄柵で囲まれた大きな池がある.

覗き込むと深緑色の濁った水に

鯉のような、魚の影が動いていた.


ばちゃっ


魚が跳ねた音、と思ったのだが、

どうやら違ったらしい.


私の隣で少年が

池に皿を投げ込んでいた


ばちゃっ ばしゃっ


平たい皿を何枚も投げ込んでいる.

静かな水面が揺らいだ.


「おい、お前. 何歳だ」


突如現れた警察官が

少年に問い掛ける.


「5歳だけど」


ぶっきらぼうに答える少年.


「5歳か」


警察官は復唱しながら

手帳に書き込む.


「おまわりさん、僕に何する気?」


「職質だけど?キミは今そこで何をしていたのかね」


「池に皿を投げてたんだけど?」


「それは相当悪質なんだけど?」


「投げ込みたい年頃なんだけど?」


なんだそのやりとりは、と

思いながら

私は皿の浮いた池を眺めた.


ああ、あれは鯉じゃなくて

鯰だったのか、


少年の投げ込んだ皿に

鯰が群がっている.

ばりばりむしゃむしゃと

皿を食べている.


ばしゃん


大きな水音がした.

音の先には

池に落ちてもがく警察官の姿.


ばしゃばしゃばしゃ


私の隣で

少年がひと仕事終えたように

ぱんぱんと手を叩いて

埃を払う仕草をしている.


「だから言ったのに」


少年はそう言うと

どこかへ行ってしまった.


警察官は池の中で

群がる鯰を必死に払い退けていたが

やがて鯰に埋め尽くされて

姿がみえなくなっていた.