民法522条(要約)(令和2年4月施行)

・契約は両当事者の申込みとその承諾という2つの要素で成り立つものである。

・契約を成立させる申込みでは、契約の内容を示す必要があり、漠然とした提案のようなものとは異なる。

・書面の有無といった手続きや形式ではなく、申込みとその承諾の有無が優先される。

 

②  検証委員会ヒアリングシート(覚書と個人別調書締結が持つ意味)

・P5の№29で、覚書と個人別調書は「締結時点から一定の法的拘束力のある契約が発生した(最終的な土地売買契約の成立までの間は一連のもの)との認識を猪名川町は示されている。(宅地並み価格への時点修正不要の主張裏付け

 

③  個人別調書(売買契約としての必要事項)

・覚書と並行して締結されている個人別調書(全地権者)は、土地所在地、地目、買収対象面積のほか、単価が明記されており、売買代金も明記され地権者の署名押印がある。

 

④  覚書(個人別調書と合わせて売買仮契約と見なす

 2条:民間事業者と基本協定締結された場合にのみ、売買契約に移行。

 3条:第三者への譲渡制限、地権者側からの解除を認めない。

 5条;民間事業者と基本協定締結が出来ない場合は覚書を解除できる。

 

⑤  検証委員会調査報告書(変更合意書締結が生み出す状態)

・P6~7において、変更合意書で覚書2条と5条の上記内容を削除することで、変更合意書の締結により、「猪名川町は用地取得のための売買契約の締結を進めることとなり、また町が書を解除することもできないこととなった」としている。

 

  民法522条を基本に整理

申し込みとその承諾:覚書全地権者承認(基本協定締結後の制限あり)

契約の内容:個人別調書が網羅(全地権者承認)

手続きや形式:変更合意書締結は、覚書の基本協定締結後の制限解除と、基本協定未締結時の解除条件の削除を、町が地権者に申し込むこととなる。

 

  変更合意書締結とは

・町が主張するように覚書+個人別調書を「一定の法的拘束力」を有すると考えるなら、全地権者と売買仮契約状態にあったと見なせるのではないか。

・さらに民法522条(契約)を前提とするなら。

個人別調書+覚書締結を仮契約と考え、変更合意書締結(申し込み)により、覚書を解除できなくしたことは、売買契約の締結と考えうるのでは

 

5月7日記事:売買契約無効

 

次回は、(事業用地「農地」取得に関する農地法の適用を書く