(新加坡影片)「僕、バカじゃない」という映画を観たin北京 | みどりの果敢な北京生活

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 先週末、子どもと久しぶりに映画を観に行った。これは学校から半ば強制で、子どもたちは割引券と感想文を書く原稿用紙をもらっていた。映画のタイトルは「小孩不笨」(原題は「I NOT STUPID」。邦題は「僕、バカじゃない」)。シンガポールの教育系映画。やたら「EM3」という単語が出てきて、初めは意味がわからなかったが、観ていくうちに勉強ができないという意味だと察する。そこでシンガポールに長く住んでいた(現在北京在住の)wankoさんに聞いてみたら……。

シンガポールは小学校3年で能力別クラス分けのテストが行われ(教科が英語と算数なのでEM)、成績の良い順にEM1、EM2、EM3と分かれ、全ての授業が能力別に行われるようになっていました。でも実は今年からこの制度が修正されて、EM3がなくなったようなんです。今までは英語と数学の成績が悪い子は全ての教科が落ちこぼれクラス用の授業だったのが、例えばMother Tongue(母国語。中国語、マレー語、タミル語がある)の成績がよい場合、Mother Tongueのクラスだけは上級クラスに行けるようになったらしいです。

 この映画を観ると、シンガポールも学歴社会で、中国と同じように(日本と違って)、「いい成績とれ!」って大人(学校と親)が必死なのがわかる。

 主人公は12歳の男の子3人。いわゆる落ちこぼれ。劉国彬は勉強をやってもやってもできなくて、母親が家で宿題見てて理解しないとムチでたたくんだよ。ムチなんてどこで売ってんの?(ああ、あの手の店か)。生活面でも(友達との喧嘩等)多くは誤解で先生に怒られる。何をやってもダメ。本人も生きる自信を失くして自殺を試みようとするほどに。

 おデブなTerryの家は庭で頻繁にパーティーを催すほどのお金持ち。両親は商売が忙しいんだけど、子どもに干渉しすぎ。でもTerryは「大人の言うことは聞くべき」とすべて従う。身代金目的で誘拐されるんだけど、その悪いヤツのことまで聞いてしまう。大人の言うことを聞けば聞くほど、友達と矛盾が発生。

 学校の先生で一人だけ物分りのいい若い先生がいて、劉国彬は絵が上手なことに気づき、国際的な絵画コンクールに出品させ、見事2等賞をとる。こうして彼にも自信がついていく。Terryも自分の意見を持つことの大切さに気づき、親もそれなりに理解してくれるようになる。

 この映画の原題「I NOT STUPID」は文法的に誤りなわけだが、wankoさんによると……。
I NOT STUPIDってのは、いわゆるこれがシンガポール英語、Singlishで、英語が中国語やマレー語の影響を受けて変化してしまったので、教育程度が低い人が使う英語という認識があります。I not stupidなんて思いっきり我不笨の英語直訳ですものね。

 香港でも話題になった映画らしいが、「子どもは勉強さえできればいいのではない」、「大人の考えを押し付け、子どもの意見を尊重しないのは、子どもにとってよくない」なんて、中国の親や教育委員会に心から伝えたいメッセージだ。でも、中国人はこういう映画を観ても、「やはり子どもは勉強が一番大切だ」と思うだろう。いやだって思想改造は難しいから。


 ここ数カ月を振り返ると、私、wankoさんが一番よく会ってる友達なの。それって親友?いや、向こうはそう思ってないかもしれない。「あの頻度で一番会っている友達って……みどりさん、友達いないの?」なんて思われるかも。私、テレビとパソコンが本当の友達だしな(おいおい)。

 彼女のブログ見てちょーだい。私が選んだエントリーは6月のと古いが これ。この夫婦いいよ。知的で。18禁だけど(おいおい)。



 I NOT STUPID。ドラマの動画はここから
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