私には、ある特技があります。
コンビニとかレストランとか会社を見て、潰れそうなところは一発でわかるんです。
命中率、たぶん90%以上。
私が『ダメだな。』と思ってから、だいたい半年から1年以内に潰れます。
その空間の『気』とか『気の流れ』がわかるんです。
たとえば、レストラン。
土曜の夜のかき入れ時にお客さんがいなくてガラガラだったら『なんかヤバイんじゃない?』って思うだろうし、入ってみて、店員の『いらっしゃいませ。』の声を聞いて、やっぱり…って思う。
そして、店の雰囲気がわかってきて『なるほど』って思うし、最終的に店を出るときの感想で『これじゃあね…』って思う。
単に料理の美味いマズイじゃない。
そこに存在している『気』みたいなものが、私に教えてくれるんです。
ここはプラスかマイナスか…って。
でも考えてみれば『特技』って書いたけど、特別なことじゃない。たぶん皆さんだってそれぐら思うでしょ?
例えば、自分が潰れそうな会社に勤めていたら、誰だって『この会社、ヤバイんじゃないの?』ぐらい感じるんじゃない?
前は働いていて、忙しかったけど楽しかった。
上司、先輩ともよく飲みに行った。
いろいろ勉強したいこと、できるようになりたい仕事があった。
尊敬できる上司、目標にする先輩がいた。
会社に対して夢があった。
それが、だんだんとそういったものがなくなり始め、なんとなく『なんか最近、なんとなくつまんなくない?仕事…。』と同僚に、飲みに行った時つい愚痴ってしまう。
そのうち内緒の話が増え、うわさをする時間が少しずつ増える。
そしてギスギスした人間関係、グループ化、派閥化、なんとなく鬱陶しい、面倒くさい毎日になる。
そして会社にも『これをしちゃダメ、あれをやっちゃダメ』と、やたら禁止事項が増える。
そうなると活気が低下し、前はきれいだった社内が、ゴミが落ちてたり、壁が傷ついていたりとかして、なんとなく汚れてきたり、植木が枯れてきたり。
仕事的にもプロジェクトなど、新しく始める事が何もなくなり、前年にやってたことの繰り返し。なんとなくルーチン的になってくる。
そして、夢が語られなくなり、そのうちみんな、やる気もうせてくる。
わかるんですよ。
実は私も潰れそうな会社に勤めていたもんですから。
そして、沈む船からまず逃げ出したんです。
どうせ、末端のネズミでしたから。
潰れそうな会社や部署を辞めること4回。
逃げた後の会社や部署は全て潰れました。
すごい!的中率100%!
まぁ、バブル時代の最後でしたから、私だけでなく、そういう人たくさんいました。
会社というより、日本全体が沈んでいった。
仕方ない時代だったのかもしれません。
それは置いといて。
日本語学校も同じです。
いい『気』のある時の日本語学校と、『気』が落ちて行く日本語学校。
いい結果を出す「勝ち組」になるまで登るのには、3年から5年はかかりますけど、落ちるのは速いですよ。今までの例でいくと半年ぐらい。
しかもこれ、9割以上がトップに立つ人次第なんです。
そりゃ時には原発の影響だったり、入管が急にビザ出さなくなったり、われわれにとっては不可抗力もありましたよ。
でも、トップがよかったら学校は潰れない。なんとか乗り切れる。
逆にトップがアホだったら、上向きの『気』があった、登っているところだった学校も、半年で急降下します。
私はなんとか耐え忍んで、苦しい時もトップを中心に潰れなかった学校も、頂点だったのに半年で急降下した学校も、どちらも数回見てきました。
いや~、落ちる時っていうのは速いですよ。それこそ加速度的。
そして、末端のネズミから逃げ出す。
しかも、バカ丸出しのトップは、『気』が落ちて行っている事にも気がつかない。
ネズミでさえ気がついてるのに、バカというか、鈍感というか。
『オレが気に入らないヤツはやめりゃあいい。とっととやめろ!』と、暴君ぶり炸裂。まるで反省なし。
(詳しくは2012.11.01にUPした私のブログ「理念を持たない経営者たち」をご覧ください。(^0^)/)
しかし、現場の『気』はますます沈んでいく。
活気がなくなり、教室もなんとなく汚れ始め、机も椅子もきちっと整頓されなくなり、植木も枯れ始める。
学生も、なんとなく以前よりも質が落ちたような気がする。
先生も古株と新人とで別れるようになり、交流がなくなる。
ベテランと若手とで、飲みにも行かなくなる。
効率化を図るのはいいけど、なんかホスピタリティーがなくなってきたような、「それってほんとに学生のためなんだろうか?」と思わせるようなことが増えてくる。
何が違うかはっきりわからないけど、1年前とは絶対に違う。
こんな感じ、わかります?
しかし、とあるネズミは逃げ出しながらいろいろ考えたわけですよ。
もっとあの時、こういうふうにすればよかったのに。
私がトップだったらこうしたのに。
そうしたらせっかく登っていた学校が、こんな事にはならなかったのに…。てね。
そして、そんなバカトップに翻弄されながらいろいろ考えてきたメンバーが集まって、1年前今の私の学校を作りました。
小さい学校で、まだ教室も4つしかなくて、学生も150人足らずだけど、確実に登っていってるのがわかる。
まず、教員、スタッフに勢いがある。
新人もベテランも活発に意見を言い合う。
チームワークがいい。
うちの学校なんか、特に新人の勢いの方がすごい。女ばかりなのにすこぶる肉食系。ガツガツしてる。
今日も、今日から初めて中級に入るクラスの見学に、授業の日じゃないのに見学に来る非常勤の先生が数人いる。
ベテラン教師が、初級が終わって中級初日を迎えるクラスの授業をやるので、その初日をわざわざ非常勤が見に来て、どうやってシラバスが変わる初日を学生にオリエンテーションするのかを見に来るのだ。
勉強熱心。自分を磨く若手。
そしてそれに答えるベテラン。
どっかの動物学校のおばちゃん日本語狂師のように「私の授業は企業秘密よ!見たかったら廊下で勝手に立ち聞きしてなさい。」なんてケチなこと言わない。
いや、お互いに授業を見合うような、風通しのいい雰囲気が、『気』の勢いをもっと強くする。
だからベテランも眠い授業してられない。
みんなに勢いがある。
だから入学当時は何もわからずポワンとしてた学生も、その勢いに押されて、ガツガツし始める。
(学生がガツガツって何なのか?詳しくは次に書きます。)
この間、私の友達の日本語教師で、他校の主任をやっている先生が、私の学校に遊びに来てくれた。
私は忙しかったので、非常勤の先生の案内で校内を一回りして、狭い校内を見てもらったのだが、あとで食事の時に、
「あの学校、いい学校ですね。なんか『気』がありますね。学生を大事にする『気』、進路指導に責任を持っているという『気』・・・。」
と言うので、へぇ~と思い、
「どんなところでわかりましたか?」
と尋ねたら、
「いや、大学のポスターの貼り方とか、閲覧資料の揃え方とか見ればわかりますよ。」
だって!
きっとこの先生が力を発揮しているうちは、この先生の学校もいい『気』を放って登っていくだろう。
で、あなたの学校は登っている学校ですか?それとも・・・。