第4話のまとめ、、、、
ぼくはなんとか距離を縮めようとしたが、なかなかうまくいかない。
そこで料理を作って距離を縮めようとした。すると、作戦は成功し彼女は今日1番の笑顔を見せてくれた。
僕はつまみを食べながら、いくつか質問をしてみた。
そして彼女は「西野七瀬」という名前だということ、僕と同い年の19歳であること、さらに僕と同じ大阪出身であることが分かった。
―年齢も出身地も一緒って、ほぼ奇跡やん―
僕らには共通点が多く、話はすぐに盛り上がった。
ユニバのお茶が250円すること、関東の人が「さかむけ」を「ささくれ」ということ、意識しないとエスカレーターの右に乗ってしまうこと。
とても共感しあえる話題が多かった。
「東京に来て初めてこんなに楽になれた気がする。」
と彼女がぽろっと口に出した。
―まだ友達もいないって言ってたし、心細かったんだろうな―
そして、自分も大学に入学したてのころは彼女と同じ気持ちだったことを思い出す。
ひととおり通り話もしたので、最後に一つ気になってたことを聞いた。
「さっき、言うてたけど最近東京に引っ越してきたんやんな?」
「うん。やから、まだぜんぜん慣れてない。」
「なんで東京に来たん?」
そう僕が聞くと彼女は少し考えてからこう言った。
「・・・夢があってそのために上京してん。」
「そうなんや、、、、」
その表情は何かを隠しているようにも見えた。
その「夢」が何か気になったが、聞くのはやめておいた。
―これ以上詮索するのはやめよう―
「明日、朝早く起きなあかんからもう寝るわ。」
「うん、そうしよか。」
「おやすみ」
「おやすみ」
僕らは別々の部屋で眠りについた。
布団の中で色々な考えが頭を回る。
―やっぱりめちゃくちゃ綺麗やったな―
―そんな人が家に泊まってるって、、、―
どうかこれが夢じゃありませんように・・・
そう願いながら眠りについた。
つづく・・・
前話のまとめ、、、、
結局西野の鍵は見つからず、僕の家に泊まることになった。どうにかして仲良くなろうとするが、、、。
彼女がお風呂から出てきたので、入れ替わりで僕がお風呂に入る。
脱衣所で服を脱いで、浴槽につかる。僕の体重分のお湯が浴槽からザァーと音を立てながら流れ落ちる。
―あの細い体じゃこんなに流れ落ちないだろうな。―
さっきまでここに彼女がいたことを思うと、なんだかいけないことをしているような気持になって自分の頬を両手でたたき我に返る。
湯船には5分ほど浸かったあと体と頭と顔を洗って、風呂を出る。
僕が浴室から出ると彼女は絨毯の上で携帯を触っていた。
まだ乾ききっていない髪がとても艶めかしい。5m先でも良い匂いがしてきそう、そんな感じがした。
そして、僕も同じく絨毯に座り、勇気を出して話しかける。
「いやー、今日は災難でしたね。」
「鍵を一緒に探してもらった上に家まで上がらしてもらって、ほんまにすいません。」
「疲れましたか?」
「はい、、、、。」
「足とか痛くないですか?」
「はい、、、、。」
―会話ってむっず!―
何かしゃべらないといけないと思えば思うほど言葉は出てきてくれない。
「、、、、、、。」
―あ、そうだ!―
「歩き回ったから、少しおなかすいてませんか? もしよかったら何かつくりますよ。」
「じゃあ、、、、おねがいします。」
「お酒とか飲みます?」
「じゃあちょっとだけ!」
「わかりました!」
僕は、エビとマッシュルームのアヒージョを作ることにした。
10分ほどで出来上がり、ビールと供に机の上に運ぶ。僕らは向かい合うように座った。
「おいしそう!」
そう言って彼女が今日一番の笑顔を見せてくれた。それだけで心が満たされる気がする。
2人で同時にカシュっと音をさせながらビールを開ける。
「お疲れさまでした。」
と言い合い乾杯をする。
彼女が食べ物を口に運ぶ。
すると、先ほどの今日一番の笑顔はすぐに更新された。
―元気を出してくれたみたいでよかった―
彼女の笑顔を見ながら飲むビールは最高だった。
つづく、、、
前話のまとめ、、、
僕のアルバイト先に例の「西野」さんが来店した。そして、あらためて惚れ直してしまう。アルバイトが終わり家に帰ると隣の405号室の前に彼女が立っていた。、、、
渡り廊下を歩く僕の足音に気付き、彼女が困ったような表情でこちらを向く。
僕から声をかけようか迷ったが、迷っている間に彼女から話しかけられた。
「実は、鍵をなくしてしまったんです。
どっかに落としてもうたみたいで、、、、。さっきレストランで確認したときにはあったのに、、、、」
彼女は焦っているのか関西弁でそう言った。申し訳ないが、困っている表情もとても可愛いと思ってしまう。
「じゃあ、レストランまでの道に落ちているかもしれませんね。一緒に探しましょう。」
そうして、僕と彼女は2人でレストランまで鍵を探しながら歩いた。細い道の両端にそって同じペースで歩く。
街灯に照らされた彼女はとても美しかった。
ぼくは鍵を探している間終始その姿に釘付けになってしまった。
しかし、結局鍵は見つからなかった。
「わざわざ一緒に探していただいてありがとうございました。」
「いえいえ、とんでもないです。今日は友達の家にでも泊まったらどうですか?」
「わたし東京にでてきたばかりで友達いないんです、、、。」
「あ、そうなんですか・・・」
「はい・・・・」
少しの時間、二人の間に静寂あった後、彼女が口を開いた。
「それで、ほんとに申し訳ないんですけど今日の夜だけ泊めてくれませんか・・・。」
「え・・・・!!!」
「い、いや、嫌だったら全然かまわないです! スイマセン・・」
「いえいえいえ!ぜんぜんかまわないですけど、、、」
まさか、今日彼女が僕の家に泊まるなんて思ってもみなかった。予想だにしないことに僕の頭は混乱していた。
とりあえず、家の鍵を開けた。そして、僕に続き彼女が部屋に入った。
僕の部屋は、1LDKで漫画と小説が全部で1000冊以上もある。いつもはその本達が散乱しているが、幸い偶然にも昨日掃除をしていたので、部屋は綺麗だった。しかし、不安要素はそこではない。部屋に女性を入れるのは初めてだということだ。しかも、その女性が一目ぼれした相手だ。しかし、僕だけではなく彼女も緊張しているようだった。
僕と彼女はとりあえずリビングに座った。
―会話が思いつかない、、、。―
だから人見知りは嫌なのだ。いや人見知りでなくても緊張するだろう。思考が停止する。
何とも言えない空気が2人の間に流れている。
何か話さなければならないと一生懸命考えて言葉を絞り出した。
「どうしますか、、、、? お風呂沸かしましょうか?」
「はい、お願いします、、、。Tシャツか何か貸してもらっていいですか?」
彼女は恥ずかしそうに少し下を向きながら言った。
僕は身長が180cmなので男物のLサイズしかない。
「たぶん、ぶかぶかだと思いますけどそれでもいいなら、、」
そうして僕はお湯を沸かしたあと、彼女にTシャツを渡した。
彼女がお風呂に入ってる間、僕はテレビを見ていた。見ているけど、全く内容が入ってこない。
ときどき聞こえる浴室からの物音が聞こえるたびに、今起こっていることは紛れもない現実であることを僕に思い出させる。
これは神様からのチャンスかもしれない。今までの人生何も良いことがなかった僕に神様がくれたチャンスかもしれない。
チャンスの女神には前髪しかない。チャンスが過ぎてしまえば二度と髪をつかむことはできないのだ。
―よし!どうにかして仲良くなったる!―
そう意気込んだが、そのためには何をすればいいのか。女性と仲良くなるのに苦労してきた僕にはわからない。
しかし、思えば、彼女の事は何も知らない。下の名前も年齢も。知っているのは「西野」という苗字だけ。とりあえず僕は彼女の事を知ろうと考えた。
何を聞こうか考えている間に彼女がお風呂から出てきた。
つづく、、、、
前話のまとめ・・・
普通の大学2回生の僕は隣の部屋に引っ越してきた「西野」という女性に人生で初めての一目惚れをしてしまう。
あれから3日が経った。この3日間、家を出るときは隣の部屋からあの子が出てこないかなぁ、と思うのだが、なかなか神様は僕に味方してくれない。それに今日は長い長い春休みが終わり、2回生としての生活が始まる日だ。しかし、相変わらず彼女の事が頭から離れない。
「どーしたもんかねぇ~。」
そうこうしているうちに大学に行かなければならない時間になった。
授業が始まる5分前に大学の教室につくと、大講義室の1番右後ろのいつもの席に見慣れた顔の友人達がいた。
授業に出席はしているものの、内容は全く頭に入らず教授の話は右から左へと抜けていく。
彼女の事が頭から離れずモヤモヤしながらも今日最後の授業である4限目が終わり、バイトへ向かう。
アルバイト場所は近所のとんかつ屋。この町で43年間地元の人たちに愛されている老舗だ。学生のアルバイト以外は70歳を過ぎたマスターしかいない。
しかし、マスターの人柄の良さからか店内はいつも繁盛している。
今日も僕は息をつく間もなく働いていた。
忙しいと時間が進むのが早い。あっという間に時刻は8時を過ぎており、アルバイトが終わるまで1時間を切っていた。この時間帯になると客足も落ち着き、仕事もある程度気を抜きながらこなしていた。
すると、ドアに括り付けてある鈴の音が僕の耳に入った。
客が来た合図だ。
僕は皿洗いをしていたが、顔を挙げて客の顔を見た。その途端いっきに心臓の鼓動が早くな
る。
「い、いらっしゃいませ」
焦って噛んでしまった。
なぜなら、その客は405号室の「西野」さんだったからだ。
山吹色のセーターに茶色っぽいロングスカート。頭には赤っぽいベレー帽をかぶっている。シンプルな服装だが、その色使いでおしゃれなのが一目でわかる。
彼女は僕を認識したのか、大きなくりくりとしたきれいな目の焦点を僕に合わせ、少し微笑んだ。
一瞬見とれてしまったがすぐに我に返り、頭を仕事モードに切り替えた。
いまは仕事に集中しなければならない。
僕は彼女を席に案内して、メニューを渡してカウンターの中に戻った。
しかし、頭は仕事モードだが、心臓のドキドキはおさまってはくれない。洗い物をしながらも視線は彼女へと無意識に向かってしまう。
彼女が食事を終えて店にいなくなった後、僕はお釣りを渡す時に一瞬彼女の細い指先が僕の指先と触れ合ったことに感動していた。
―神様ありがとぉ!!この店で働いててよかったぁ!―
つい顔がニヤけてしまう。するとマスターが
「なんでにやけてんの?まさかお前のコレか?」
とニヤけながら小指をこちらに向けている。
「そんなわけないでしょ(笑)」
と返すが、僕は心の中で
―ほんとにあの子が彼女だったらな~―
と夢にもないことを願う。
バイトを終えて、自転車にまたがり、今日のうれしい出来事を思い出し、ぼーっとしなが家までの道をゆっくり帰る。顔にあたる春の風がとても心地よく感じる。
5分ほどでマンションに到着する。4階までエレベーターで上り、渡り廊下に出る。
すると、405号室の前に彼女が困ったような表情で立っていた・・・
つづく、、、、
いいね&コメント お願いします!!
twitter⇒@aokinogizaka
instagram⇒@aoki_nogizaka
―ここは日本の首都東京―
これはある青年の恋の物語である。その様子を温かい目で見守っていただきたい。それでは物語スタート!
「なーんかいいことねぇかなぁ。」
大学2回生を間近に控えた僕は毎日退屈な生活を送っている。しかしそう言っていても仕方ないので、とりあえずテレビをつけることにした。ボタンを押した2秒後、画面の中にはキャスターが満面の笑みで映っている。それを見て、
―なんでこんなに朝から笑えるんだよ。―
と僕は思う。今の自分の気持ちとは程遠いその表情に少しイラつきを覚える。浮かない表情をうかべながら朝食を食べようと立ち上がった時、テレビの中のキャスターが
「本日は月曜日です。皆様お仕事がんばってくださいね!」
と言った。その言葉を聞き今日が月曜日であることを初めて認識する。
―やば、今日ゴミの日じゃん―
時計を確認する。時計の針は8:55を指している。
―よかった。あと5分もある。―
マンションの下のゴミ捨て場までは十分間に合う。僕はサンダルを履きドアノブを回した。するとその時、打ち合わせでもしたかのようにドンピシャのタイミングで隣の405号室のドアが開いた。それを見てとてもびっくりした。隣の405号室はついこの間まで空き部屋だったはずだからだ。
―僕が実家に帰ってる間にだれか引っ越してきたのか。―
そう思っていると、隣の人が部屋から出てきた。
―あ、女の人だ。―
隣の部屋から出てきた人を見て心の中でそうつぶやいた。
内心すこし嬉しかった。
とそんな話は置いといて、その女性はゴミがパンパンに入ったゴミ袋を4つも持って歩き出そうとしている。引越しで出たごみのようだ。あまりにも重そうだったので、
―下心じゃないこれは優しさなんだ―
と自分に言い聞かせて、
「おはようございます。そのゴミ重そうなんで持ちましょうか?」
と彼女に声をかけた。
―断られたらどうしよう。―
とドキドキしながら返事を待っていると、彼女はこちらを振り向き、一瞬驚いた表情を見せたが、大きく、くりっとした目でこちらを見て、
「あ、、、ありがとうございます、、。」
と微笑みながら言った。
そのはにかんだ表情を見た瞬間、自分の体に衝撃が走るのが分かった。
―むちゃくちゃかわいいやんけ!!―
肩までのばしたセミロングのサラサラの黒髪は朝日を受けてキラキラ輝いている。
それに、顔も今まで見た人の中で断トツで整っている。
控えめな話し方と申し訳なさそうな表情もドストライクだ。
まさに「清楚」という概念そのものを体現しているようだった。
そう、僕は一目惚れをしてしまったのだ。
今まで、一目惚れなんて漫画や妄想の世界の出来事だと信じていた。
しかしそれは実際に起こってしまった。
―そんなはずはナイナイナイ、、、。いやぜっっったいない!!俺が一目惚れをするはずがない!―
そう頭では思いながらも、心臓の鼓動はどんどん早くなっていく。彼女のゴミ袋を受け取って、エレベーターで1階のゴミ捨て場まで行くのだが、その間ずっとドキドキしっぱなしで会話なんてできるはずがない。
―どないしよ。頭真っ白や。―
などと思っているうちに一つの会話もなくゴミ捨て場に到着してしまった。
「あの、、、ありがとうございました。それじゃ、私このまま出かけるので、、、失礼します。」
といい彼女は去ってしまった。
僕はゴミ捨て場からの帰り405号室の表札を確認し先ほどの女性が「西野」という名前であることを知った。そして、自分の部屋である406号室に帰り、頭を整理した。
―おれは恋をしてしまったのか?これが一目惚れなのか?いや単なる錯覚なのか?―
色々と考えてみるが心に残ったモヤモヤ感とむずむず感は消えない。結局その日はその子の事が頭から離れず、気が付いたら一日が終わってしまっていた。
つづく・・・