あの星はわたしの視線に気づいていない -25ページ目

あの星はわたしの視線に気づいていない

モノ書きになりたい人間による、心のメモ。

それにしても、暑すぎる。
知恩院を出てから、かき氷を求めてフラフラ歩く。
アイスじゃダメなの。
氷じゃなきゃダメなの。
だけど、全く見当たらない。
 
こんなに暑いのになんで?
固形が喉を通るような気候ではない。
なのに、氷の文字は見当たらない。
わらびもち…いらない。
抹茶パフェ…今はいらない。
ラーメン…無理。
 
 
あまりにも出会えなくて、もう妥協してしまいそうになったその時…。
「あぁっ!」
遂に見つけた「氷」ののぼり。
見つけたNちゃん、天才!
砂漠に水道を見つけた旅人も、きっと同じリアクションをしただろう。
 
300円のブルーハワイ。
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んんんまーいっ!
一口で生き返った。
外の道を行き交う人々と、たまに目が合う。
でも、誰も入店しない。
どうしてみんな、この「氷」の文字をスルー出来るのだろうか。
 
終盤に襲ってくるキーンとかき氷咳をくぐり抜け、完食!
舌の色がこの世のものとは思えないブルーに染まっていたけど、これくらいの代償は仕方ない。
 
息を吹き返したあたしたちは、霊山歴史博物館へ。
新撰組展。
マニアックで楽しすぎた。
Nちゃん、付き合ってもらってありがとう。
 
 
暑すぎる京都を後にして、大阪は福島へ。
これまた前から楽しみにしていた「花くじら」で晩御飯。
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少し並んだものの、意外と早くに入れてホッ。
おでんの専門店。
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安くてどれも美味しくて、歩き疲れた体に優しい味。
猛暑日に熱々おでん。
ダチョウ倶楽部か!?
 
他愛のない話をしながらの女子トークは楽しすぎる。
たまたま出会ったにしては、共通点が多すぎるということを再確認。
 
 
水無月最後の土曜日。
梅雨明けも近い。
 
 
続く。

知恩院に行こうと計画したのは2月末。
ようやく実現した、6月末。
まだ梅雨が明けていないのに、激しく猛暑日。
6月末にこんなに夏日やったら、真夏どーすんの?な一日。
 
 
高校生の頃に訪れた時は、あんまりなにも感じなかったのに。
その門構えから、すでにパワーを感じる。
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寺社仏閣好きにはたまりまへんな。
水分補給しないとぶっ倒れそうな青空。
 
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本堂。
入り口はスロープになっていて、ナイスユニバーサルデザイン。
靴を脱いで中に入るとあら涼しい。
廊下を歩いても気持ちいい。
左甚五郎の忘れ傘も見た。
あんなところに、傘を忘れたのか。
 
いろんな想いを馳せながら、知恩院を後にした。
 
 
続く。
視界の端っこに、大きく動く手たちが見えた。
電車の、前の長座席の、対角線上。
手が爆笑している女子2人がいた。

顔をよく見ると、ひとりは学生時代に家庭教師バイトをしていた時の生徒だった。
毎年誕生日祝いのメールはしているが、あたしの中では高校生になりたての彼女の姿から時間が止まっている。
大人っぽくなった表情に、一瞬、誰か分からなかった。


彼女は、耳が聞こえない。
手話が大切な言語だ。
出逢った頃は手話は苦手らしく、口の動きを読み取る「口話」をしていたけど。
あれから10年近く経つ。
手話がペラペラになっていた。

一緒にいたのは、多分聞こえる友達なのだろう。
声に出しながら手話をしていた。

彼女のお兄ちゃんもまた、耳が不自由だった。
主要5科目は聴覚クラスで受け、副教科を普通クラスで受けていた彼女にとって、健聴の友達とワイワイすることに深い憧れがあったようで
「友達と、いっぱい話したり笑ったりしたい」
そんな話をしてくれたことを思い出した。

両手を大きく動かし、弾けるような大きな笑顔を浮かべる姿を見て微笑ましい気持ちになった。
あの時の願いが叶ってる。

ジャージにバドミントンのTシャツ、YONEXのラケットバッグを持っている。
小学生の頃からやっているバドミントン、まだ続けてるんやな。
懐かしい気持ちでいっぱいになる。


彼女の友達が降車した後、よっぽど声をかけようか迷ったけど。
対角線に離れた席の上、楽しそうにメールを打つ姿を見るとそっとしておこうと思った。


「さっき、地下鉄に乗っていたでしょ」
後からメールをしてみた。
「えーっ!会いたかった!声かけてほしかったなぁ」
すぐに返信が着た。
可愛さ満点のメールだ。

「普通の高校に行きたい」
っていう夢は叶わなかったけど、ろう学校を経て、女子大生になった。
部活に励み、就活に悩み、友達との女子トークで爆笑をする普通の女子大生だ。

彼女の場合その女子トークに、手話っていうおまけが付く。
口だけじゃなく、手も大笑いする。
2倍の喜び、2倍の笑い。
なんて素敵なんやろう。
10年ぶりに見た彼女の笑顔に、改めてそう思った。


次にまた彼女を見かけたら、今度は声をかけて一緒に笑いたい。
楽しいことが、2倍になる方法で。
閉期(とじき)がやってきた。
ここ数年、開期(ひらき)やったのに。

数字の「4」。
これを書くときに、てっぺんを閉じるか開くか。
これが定まらず、これまで生きてきた中で何度も閉じたり開いたり。
童謡のように「むすんでひらいて」をしてきた。

今週に入ってから、まさに「閉期」がやってきたのだ。
ここ数年の沈黙を破って。

第一画目の頂点と、第二画目の頂点をピッタリ合わせてしまう。
離した方がカッコイイと思っていたのに。
まだ迷っているようだ。


しばらくは、この「閉期」の波に逆らわないようにしていよう。
我が家の天敵。
それは、蛾と蝶。

あんなに意味不明な模様、神出鬼没な動き、気持ち悪すぎる。
元々、奴等を嫌いなのはうちの母。
だから、あたしも物心ついた頃から奴等が嫌いだった。
きっと赤ちゃんのあたしを抱っこしながら、奴等から逃げ回っていたに違いない。
だからあたしは、「奴等は恐ろしいもの」だと本能で察知していたのだ。

ざっくり言うと、あの見た目と動きがイヤなのだ。
なんなら、枯れ葉が落ちてくる様とか。
優雅に泳ぐエンゼルフィッシュの尾びれとか。
パンジーの花びらとか。
とにかく苦手だ。

成人式の振り袖を選ぶ際の条件はただ一つ。
「蝶柄が一切ないやつでお願いします」



今日帰宅して玄関に入ると、白い壁に身の毛もよだつ大きい三角が見えた。
二度見。
そして、ギャーッと絶叫。
その声を聞き付けた母が
「あ、見つけてしまったんや。せやねん。さっき、入ってきてしまってん。どーしよーっ!」
と困り顔。
どーしよーっと言われても。

我が家の「天敵処理班」は父だと決まっているのだけど、今日は仕事で帰りが遅い。
放置して、居間に舞い込まれるのは困る!
あたしは、奴と闘うことにした。

居間と廊下の電気を消し、灯りを玄関だけにする。
金魚をすくう用の網を長い棒にくくりつけ、遠くから奴を包囲する。
母がその網に殺虫剤をまく。
これが作戦方法。
申し訳ないけど、これしか方法はなかった。
我が家に入り込んだ方が悪い。


廊下に漂う、ありえない緊張感。
怖くて気持ち悪くて吐きそう。
心臓の音が外に漏れているかのようだった。

意を決して戦闘開始。

作戦は上手くいった。
ある意味申し訳ない。
でも、大嫌いなの。



再び我が家に平和が訪れた。
大きな仕事を終えスッキリしたけど、鏡に映る自分の顔はゲッソリしていた。

でも、ひと汗かいた後の夕食はおいしい。



昔はよく信州なんかの登山をしたけど、もう山のトイレなんて行けないなと改めて思った。
当時も半ベソかきながら利用していたけど、歳を取るにつれてどんどん奴等が嫌いになっている。


明日こそ、玄関に吊るす某虫除けを買って帰ろう。
こんな騒動、二度とお断りだ。


「奴等を退治してくれること」
恋人に求める条件の一つはコレ。
ゴキブリなら、あたしが退治してあげるから。