年が明けた・・
リハビリを頑張って、正月は家で・・と言っていた母だが、
行く年来る年は病院で迎えた。
母の状態は、坂道を下るようだった。
度々見舞っていた甥っ子が言っていた、
「(見舞った者が誰か)解ってないような時もあるで、あっくんママ(私のこと)の事が解るうちに(逢いに)行っといたほうがいいかも知れん」と。
病院から連絡があったのは12日、日曜日のこと。
紙おむつを持ってきて欲しいとのこと。
今まではパンツ式の紙オムツだったが、テープ式の紙オムツに変えたいということ。パンツ式では(取り替えが)難しくなってきたと言うことだ。
それと、色々ある差し入れ的な物。
それらを口にすること(口から物を食べるということ)が難しくなったということ。冷蔵庫やベッド脇にあるそれらを持って帰って欲しいということ。
いよいよかな・・そんな気がして弟に
「新しい紙オムツを持って行くのと、荷物を持って帰りたいんで、(仕事)休みなら一緒に来る?」と、姉風を吹かせる。
この日の少し前、夢を見た。
その夢の内容は、ねぇちゃんにも弟にも話した、、
(亡くなった)じぃちゃんが出てきた(母の父親)。
病室に入った瞬間、「えっ!?」と一瞬止まった。
夢で見たのは、今そこに居る母の顔だった。
私と弟の顔を交互に見て、程なくして誰だか解ったみたいだった。
低体温になっていた為、電気毛布を掛けて貰っていた。
しきりに両手を出してこちらに手を伸ばす。
何かを掴もうとしているのか、私達に向けられた意思表示なのかは解らないが、その手は力なく震えていた。
握った手は冷たかった。
言葉にならない声でしきりに何かを訴える。
「ひっこ」「ひぃっこ」何度も言う。
「しっこ?(排尿)」と、私が問えば頷いた。
おしっこがしたいから起こせと言っているようだ。
「あのな、起きたりしたら危ないけぇ、ここで(おしっこ)してもいいようにちゃんとしてくれとるけぇ、ここでしたらえぇんよ」と、伝える。
「えぇん?」と、確認する母。
「うん、ええよ、ここでしてえぇんよ」
病室を出る時、
「おかぁちゃん、また来るけぇな」と、言うと
「いつ?」と、母が尋ねた。
私と弟は顔を見合わせた。
母が「次は何時来てくれる?」「今度は何時?」などと逢うのを待ちわびる言葉など言ったことなど無い、母の口から初めて聞いた。
私は次の日休みだったので来ようと思ったが、何故か出た返事は
「あと2つ寝たら、また来るわ」だった。
母は横を向いたまま頷いた。
母に電気毛布を買って病院へ持ってくためにその足で家電店へ向かう。何と、弟、電気毛布を知らないと言うがな・・
ま、ええわ、使った事無ければ知らんでも仕方ないか・・
にしても、、50半ばのおっさんが電気毛布知らんか?・・
ま、ええわ。。
種類も色々あるで、電気毛布を知らん弟と悩んでおってもラチあかんで、店員さんを呼ぶ。事情説明諸々皆私。
ま、ええわ。。
いざ、会計へ・・全然財布を開かん(当然のように支払いは私と思ってるようだ)弟。
ま、ええわ。。
私もおかぁちゃんから預かっとるお金を使うし・・
「まぁーちゃん、(私のこと)これ」と、ポイントカードを出した。
その店のポイントカードを持ってるらしい、金は出さんがポイントは自分に付けろ・・と言うことらしい。
・・・・・
ま、ええわ。。