小児科外来の前をふと通ったときのこと。
「おねいちゃんおねいちゃんん!!」
おねいちゃん、だって?
(まあ、なんてしつけのできた素直なお子ちゃまかしら!)
「はあい、なんでしょうか?」
5歳くらいの男の子と3歳くらいの女の子二人が
こっちをみてる。
「あ、yong-yuan、この子達今から入院なのよ。
お母様手続きしてるから、ちょっとみててくれる?
おっきいほうがおにいちゃんでヒロくん、となりが妹でマイちゃん!」
外来看護師さんにたのまれて、
少しお相手することに。
「ねえねえ、おねいちゃんここのびょういんのひと?」
「うん、そうだよ。」
「なんじまで、しごとなん?」
おおお!ナンパかしら?
「5時までだけど、たぶん今日は7時頃までいるかなあ・・・。」
「ふうん。あしたは?」
「あしたはねえ、たぶん10時くらいかなあ(レセ出し・・・)」
ああ、明日はもうレセ出しだわ、
おもいだしちゃったなあと憂鬱になってしまったわ・・・。
こちょこちょ、二人何かの相談。
つんつん、腰の辺りをつつくヒロくん。
「ねね、おねいちゃんおねがいあるねん」
「なあに?」
「うんとな、きょういもうとがにゅういんするねん。
それで、あしたしゅじゅつするの。
おなかのことろの わるい むし とるねんて。」
ウルウル・・・・。こんなにちっちゃいのに。
「でな、ぼくようちえんいってるし、お世話できひんねんか」
そうかあ、妹思いのお兄ちゃんなんだあ。
「えらいねえ、ヒロくん、マイちゃんのお世話してるんや・・・。」
「はあ、ちがうで、これやで」
と、マイちゃんの首を指すヒロクン。
わお!
ネックストラップからじゃらじゃらなつかしいものが
ぶら下がってる!
「た、たまごっちやん!」
思い返せば小学校の頃
はやったなあ・・・。
天使のたまごっちってのもあったっけ。
あたしは買ってもらえなかったなあ・・・。
「あんな、こっちがケータマでこっちがエンタマやねん」
「ケータマ?エンタマ?たまごっちと違うの??」
「あんな、ケータマはけいたいでんわと つうしんできるねん。
でな、エンタマはじんせいをエンジョイするねん」
人生を、エンジョイ?
「いまな、マイちゃんのエンタマはようちえんにいってるねん」
よ、ようちえん??
聞くと、エンタマというのは『超人生エンジョイ!たまごっち』というらしく
簡単に言うと幼稚園行ったり、受験して学校いったり、就職したりその際に
たまごっちハローワークにかよったり、お見合いしたり結婚して
子孫を増やし、で老後まで用意されているという・・・・(これが何世代もつづく)
まめ族やらめめ族やらくち族やらもう、わけわからないもので。
「えっとさあ、おねいちゃんよくわかんないんだけど。。。。」
「だいじょうぶやで! このほん 貸してあげるしさあ
よくみてや!」
・・・・で、できるかな。
ヒロクン明日の夕方取りにきてくれるそうだけど・・・。
じゃらじゃらたまごっちを持って医事課にかえると
ステーションの所長が
「おお、エンタマや!この色はレアでなあ、ネットでも4倍くらいの値がついとるんや。
これどうしたん??」
「こうこうこういう状況で・・・・。
どうしましょう?私できないですよ・・。でもあまりの
兄妹のかわいらしい姿に・・・・・」
「お、ほなワシ預かるわ!いやあ、実は娘からあづかってるんや。昼間は
学校行ってるし、お世話できへんからなあ」
わお!
所長、ステーションのレセどうすんの??
「で、おまえ明日ステーションに手伝いに来てやあ!こっち(外来&入院)
終わってからでええし。」
呆然とする私の横で
パートのKさんが
「あのエンタマって手がかかるねんよ・・・。速達は来るし、
ごっち大王はたずねてくるし、まあ目が離せないんよ」
速達・・・?大王・・・。
適当にご飯食べさせて、うんち片付けてっていう
単純なものではないの?
「そうやで。かしこいポイント多いか、やさしさポイント多いかで
その後の人生も変わるし、親のラッキー度で子どもの人生も
かわるしなあ・・・・・・。」
け、Kさん、もういいです・・・・。
頭、こんがらがってきました・・・・。