
ユリア 「ねえ、犬って何か考えてるのかな?」
麺王 「賢いようだが、ほとんど記憶に基づく条件反射だろうな」
「チンパンジーですら、思考には至っていまい」
ユリア 「思考って?」
「何をもって思考と呼ぶのかな?」

麺王 「思うに、自己認識と想像力だな」
「動物はある事象に直面したことにのみ行動判断するのに対して
人は想像で物事を考える事ができる」
人は想像で物事を考える事ができる」
ユリア 「もし、アレがこうなったらとか、ああならないようにとか・・・」
麺王 「ああ、そして、その思考の基準軸になるのが自己の存在だろう」
「種の中で自己の存在を認識してるのは人ぐらいじゃないか」
ユリア 「動物が主体的に行動するのは、あくまで自己保存本能だもんね」
麺王 「それと、思考に至る要件で決定的なのは言語だろう」
「人が考える時には、言葉で考えてるだろ」
ユリア 「そうね、どんな人種でも、それぞれの言語ベースで思考してるはずね」
麺王 「つまり、言語を持たない生き物には、思考はできないと言える」
ユリア 「なまじ思考能力があるから、人は悩むのね」
麺王 「いや、よく悩みと言うが、多くの場合、それは迷いだ」
「複数ある選択肢の中から、どの道を行くか決めかねてるだけだ」
ユリア 「もしくは、考えても無駄なことが逡巡してることも多いわ」

麺王 「動物は迷いも後悔も無いからな」
「中途半端な知能を持った人の業だな」

ユリア 「で、何を食べるか決まった?」
「いつまで迷ってるの?」

麺王 「う、うむ・・・」
「豚骨・・・待てよ、ここは醤油か・・・」
「いや、意表を突いて鶏白湯で!」

ユリア 「じゃあ、これね」
「まあ、賞味期限的に乾麺よりチルド麺を優先すべきだわ」

麺王 「よし、完成だ」
ユリア 「ねえ、パイタンスープってなに?」
麺王 「うぅむ、しょっぱいお湯かな・・・」
ユリア 「だよね・・・」
「鶏の旨みはどこ行った?」
麺王 「さんざん、悩んだ挙句にハズレを引くことって、よくあるよな」

ユリア 「下手な考え休むに似たりってね」