
麺王 「今日は楽しみにしていたラーメンを食べるぞ」
ユリア 「毎日、楽しんでると思うんだけど・・・」

麺王 「見よ!」
「セブンイレブン限定の博多ラーメンだ」
ユリア 「箱入りで高級感があるわね」
麺王 「たしか170円ぐらいだったかな」
ユリア 「コンビニだと普通のカップ麺の値段ね」

麺王 「中身はノンフライの細麺に液体スープだ」
「これは、茹で加減が肝心だな」

ユリア 「豚骨臭がほとんど無いけど、いい油加減で美味しそうね」
麺王 「・・・・」
ユリア 「ねえ、さっきから、じっとラーメンを見詰めてるけど、どうかしたの?」
「早く食べないと伸びるわよ!」

麺王 「なあ、考えたことあるか?」
「もしかしたら、このラーメンの中に宇宙紐がまぎれてはいないか・・・と」
ユリア 「はい?」
「何を言ってんのか、意味不明なんだけど・・・」
「宇宙紐って?」
麺王 「宇宙紐とは多次元宇宙の境界線のことだ」
ユリア 「よけいに分からん」
「なんで、そんなもんがラーメンに?」
麺王 「多次元宇宙とは、あらゆる可能性を持った平行宇宙のことだ」
「そして、その境界は、どこにでも存在し得るのだ」
ユリア 「平行宇宙って、もう一人の自分がいるとかいう、アレ?」
麺王 「うむ、そこにはパン王を名乗る俺がいる宇宙や
米ばっかり食べてる、飯王の俺がいる宇宙も存在し得るのだ」
米ばっかり食べてる、飯王の俺がいる宇宙も存在し得るのだ」
ユリア 「ふ~ん、平行世界のあたしも、バカの相手をしてるのかな?」
麺王 「必ずしも、そうとは限らぬ」
「ボインで優しいユリアのいる宇宙も無いとは言い切れぬ」

ユリア 「あんた、遠まわしに喧嘩売ってるわけ!?」
麺王 「いや、あくまで、可能性の話だから・・・」
「日常のあらゆる分岐点において平行世界が存在するらしい」
「味噌と豚骨で迷って、豚骨を選んだが、
味噌を選んだ自分の世界も平行してあるのだ」
味噌を選んだ自分の世界も平行してあるのだ」
ユリア 「じゃあ、味噌を選ぶべきだったわね」
麺王 「ん? なんで?」
ユリア 「ワケわかんない事いってるうちに、
せっかく固めに茹でた細麺が伸びちゃってるわよ」
せっかく固めに茹でた細麺が伸びちゃってるわよ」

麺王 「ぬぅ、俺としたことが!」
ユリア 「そういう、どうでもいい妄想は、眠れない時に布団の中ですることね」

麺王 「そ、そうだな」
「それにしても、このラーメン、なかなかの出来だな」
「豚骨臭さが無いのに、これだけ美味いのは見事だ」
ユリア 「箱入りは伊達じゃなかったわね」
「紐がどうとか寝言、言ってなかったら、もっと美味しかったはずよ」
麺王 「うむ、やはり、ボインで優しいユリアは、どこの次元にもいそうにないな」

ユリア 「はぁ~、どこの次元でも、このバカの相手をしてるのかしら」
「あたしって、宇宙一不幸だわ」