
ユリア 「さっきから、何を作ってるの?」

麺王 「フッ! これを見て驚け!」
ユリア 「こ、これは・・・」
「スープスパゲティ?」
麺王 「そんな、浅いものではないわ~っ!」
「これぞ、ボンゴレビアンコとカルボナーラのフュージョン!」

麺王 「名づけて、ボンボナーラだ!」
ユリア 「ボンゴレクリームパスタでいいじゃん」
麺王 「まあ、食べてみればわかる」
「思わず、ボンボナ~ラ~!って叫んでしまう美味さだから!」
ユリア 「美味しいのは認めるけど、叫ぶ気には・・・」
麺王 「解ってないなぁ・・・」
「そこは、叫ぶところだろ! 芸人として!」
「宮川大輔ならエコーがかかるとこだ!」
ユリア 「芸人になった覚えは無いんだけど」
「ていうか、これ、ただのクラムチャウダーじゃん!」
「茹でたパスタにチャウダーぶっかけただけじゃん!」
麺王 「ち、違うぞ!」
「チーズが溶かし込んであるもん!」

ユリア 「ねえ、子供の将来の夢ランキングって知ってる?」
麺王 「男子の1位がサッカー選手で、女子がパティシエだろ」
ユリア 「そうそう!」
「で、2位が医者で、3位が警察官」
麺王 「その2位、3位は特に人格が問われる職業だよな」
「警察なんて、ろくな奴がいないからな」
「だいたい無責任なボンクラかチンピラのどっちかだ」
ユリア 「それは、あんたが悪いことしたからだろ!」
麺王 「人を前科者みたいに言わないで欲しいな」
「せいぜい、交通違反ぐらいだぞ」
ユリア 「ところで、あんたは子供のころ、何になりたかったの?」

麺王 「改造人間!」
ユリア 「?」
麺王 「その夢は、今も変わらぬ!」
ユリア 「それって、仮面ライダーとかってこと?」
麺王 「いや、ショッカーの方な!」
「ずっと、待ってるんだが、一向にスカウトされないんだよな」
ユリア 「そ、そうなんだ・・・」
「求人広告とか出てないの?」
麺王 「IS以上の非合法組織だぞ!」
ユリア 「だから、そこは隠語で・・・」
「13年式G型トラクター求む!みたいな感じで」
麺王 「マジでか!」
「今度から気をつけて見ることにする」
ユリア 「か、叶うといいわね、その夢・・・」
麺王 「ああ、サメかカブト虫で迷ってるから、声が掛からんのかと思ってた」
ユリア 「そ、そうなんだ・・・」
「ていうか、人間、辞めるのか?」

麺王 「いや、カブトムシの能力を持った超人になるのだ!」
「もちろん、ヘラクレス希望!」
ユリア 「で、どうするの?」
「一日中、スイカでも舐めてるの?」
麺王 「おまえ、ショッカーなめんな!」
「世界征服に決まってるだろ!」
ユリア 「あんた、地道に幼稚園のバスジャックとかやれるの?」
麺王 「うう、それは面倒くさいなぁ・・・」
ユリア 「それで、ショッカーとやらの本社はどこなの?」
麺王 「無人島とかじゃない?」
「あと、アジトと言って!」
ユリア 「無人島って瀬戸内海かな?」
「都内の幼稚園を襲うのも一苦労だな」
麺王 「ああ、多分、坂出か宇野に上陸してJRに乗って、高速バスだな」
ユリア 「それで、都内に着いた頃にはヘロヘロに疲れてて、
ライダーに勝てないんだよ」
ライダーに勝てないんだよ」
麺王 「だな、深夜バスは寝れないと消耗するからなぁ」
ユリア 「それが、あんたの夢?」

麺王 「いや、こんなはずでは・・・」
ユリア 「あ、あとさ、カブトムシってラーメンとか食べられないんじゃない?」
麺王 「そう言えば、ブラシみたいな口で樹液を舐めるだけだな・・・」
ユリア 「それでもいいの?」
麺王 「それはキツいわぁ~」
ユリア 「長年の夢が一瞬で砕けたわね」
麺王 「まあ、これで世界も救われたな」
「俺がカブト怪人に改造されてたら、ライダーなんてワンパンKOだからな」
ユリア 「どうかなぁ?」
「藤岡弘に説教されて、ショッカー辞めるんじゃない?」
麺王 「ううむ、ああいう、熱いオッサン、けっこう苦手だしな」
「コーヒー道とかやらされるかもしれん・・・」
ユリア 「良かったな」
「カブト虫でもコーヒーは飲めるじゃん」
「ガムシロは控えめにするんだぞ!」
「ガムシロは控えめにするんだぞ!」

麺王 「いや、こんなはずでは・・・」