ーーーーーーーーー
自分の大脳=自分自身。
イコールは自分を戒めたに過ぎない――
理性にことごとく反発する妄想一揆を鎮圧するという私の不毛な活躍はかつて猛将の名をほしいままにした信長公を彷彿させるほどの威光を放っていたというのだから驚きだ。
私の眼界にはまるで自分が傲岸なならず者にでもなったかのような妄想がぴかぴかと映っていた。
それから数分間、私の頬は緩みっぱなしであった。『かかかっ』と、一人で躊躇なく高笑いもやってのけるほどの有頂天っぷりである。
いっそ自分の庭にナスカの地上絵でも再現してやろうか、しかし私の家は四畳半である。というか借家である。ナスカの地上絵が書ける庭など要らないから、せめてユニットバスでいいから浴槽が欲しく思う。そうだ、明日銭湯に行こう。
かくのごとく、狭くかび臭い四畳半の室内で、壮大な世界遺産から近所の銭湯。果てにはユニットバスを備えた未来の自室まで、時間軸を縦横無尽に疾駆する“脳内トラベル”を堪能した私は、畳の跡を頬に刻むことさえ厭わずに、幸せなレム睡眠の魅惑に身を委ねた。
こうして顔を近づけてみれば、カビの匂いのきつい畳だなと、ぼんやり思った――
――しかし、眠り姫のごとき穏やかな眠りに付きかけた刹那、現実と理性が私の脳内で警鐘をタッグでかきならした。
論破したのは良いが説き伏せたのは自分の精神。というより私自身のロゴス。すなわち人間が言語を習得した後に現れる、理性の部分である。
言うなれば自身の一部、破廉恥な思いを共に語りあった仲でもあり、彼という人格を一番知っているのも私だ。
そんな心に一抹の不安を持つ私に、毎夜の如く見知らぬ乙女からの罵詈雑言の嵐嵐また嵐。
紳士的な彼にとっては哀しみの豪雨のような夢を見せて、眠っている私に涙を流させ、畳に更なるカビの大行進の礎を作らせることはもはや朝飯前であった。もはや階下に浸水しないかと危惧するばかりである。
そしてこの些細なやり取りが、後々語り継がれることになる私と大脳の孤独戦争の始まりになるなんて…
友人は皮肉を込めてこの戦いをドM的自虐戦争と銘打った。
『我ながら会心の出来だなあ』と友人は語る。
――――――――――――――
この戦いには一応ルールがあるらしい。
大脳が決定したルールが。
脳内で繰り広げられるこの戦いの信条は『妄想の解放』を念頭に置くらしく
全てがフリーダム。
猥褻非猥褻の制限は一切ない!!
それは、主に妄想同士の野放図な辛口皮肉合戦で、強いていえば、自分が自分と戦う自虐的なマゾ紛争である。
戦いの決着は、どちらかが参ったと申し出るか、妄想を召喚出来なくなった場合にのみ終結する。
『例外は認めない!!!』
後半へ続く
―――――――――――――
自分の大脳=自分自身。
イコールは自分を戒めたに過ぎない――
理性にことごとく反発する妄想一揆を鎮圧するという私の不毛な活躍はかつて猛将の名をほしいままにした信長公を彷彿させるほどの威光を放っていたというのだから驚きだ。
私の眼界にはまるで自分が傲岸なならず者にでもなったかのような妄想がぴかぴかと映っていた。
それから数分間、私の頬は緩みっぱなしであった。『かかかっ』と、一人で躊躇なく高笑いもやってのけるほどの有頂天っぷりである。
いっそ自分の庭にナスカの地上絵でも再現してやろうか、しかし私の家は四畳半である。というか借家である。ナスカの地上絵が書ける庭など要らないから、せめてユニットバスでいいから浴槽が欲しく思う。そうだ、明日銭湯に行こう。
かくのごとく、狭くかび臭い四畳半の室内で、壮大な世界遺産から近所の銭湯。果てにはユニットバスを備えた未来の自室まで、時間軸を縦横無尽に疾駆する“脳内トラベル”を堪能した私は、畳の跡を頬に刻むことさえ厭わずに、幸せなレム睡眠の魅惑に身を委ねた。
こうして顔を近づけてみれば、カビの匂いのきつい畳だなと、ぼんやり思った――
――しかし、眠り姫のごとき穏やかな眠りに付きかけた刹那、現実と理性が私の脳内で警鐘をタッグでかきならした。
論破したのは良いが説き伏せたのは自分の精神。というより私自身のロゴス。すなわち人間が言語を習得した後に現れる、理性の部分である。
言うなれば自身の一部、破廉恥な思いを共に語りあった仲でもあり、彼という人格を一番知っているのも私だ。
そんな心に一抹の不安を持つ私に、毎夜の如く見知らぬ乙女からの罵詈雑言の嵐嵐また嵐。
紳士的な彼にとっては哀しみの豪雨のような夢を見せて、眠っている私に涙を流させ、畳に更なるカビの大行進の礎を作らせることはもはや朝飯前であった。もはや階下に浸水しないかと危惧するばかりである。
そしてこの些細なやり取りが、後々語り継がれることになる私と大脳の孤独戦争の始まりになるなんて…
友人は皮肉を込めてこの戦いをドM的自虐戦争と銘打った。
『我ながら会心の出来だなあ』と友人は語る。
――――――――――――――
この戦いには一応ルールがあるらしい。
大脳が決定したルールが。
脳内で繰り広げられるこの戦いの信条は『妄想の解放』を念頭に置くらしく
全てがフリーダム。
猥褻非猥褻の制限は一切ない!!
それは、主に妄想同士の野放図な辛口皮肉合戦で、強いていえば、自分が自分と戦う自虐的なマゾ紛争である。
戦いの決着は、どちらかが参ったと申し出るか、妄想を召喚出来なくなった場合にのみ終結する。
『例外は認めない!!!』
後半へ続く
―――――――――――――