経験とは、人々が自分の愚行と悲哀に与える名前である。
/ アルフレッド・ド・ミュッセ
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じゃあ第三回目。
今回は延々文章を書き連ねたあげく、本当にどうでもいい企画内容に辿り着きます。
ほら、なんでも無いような企画が本当は大変なんですよ。
たしか三船俊郎の孫だか娘だかの旦那もそんな事を歌ってた気がします。
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これまでのまとめ。
・ツールはそろえた。
・敵は大手ゲーム会社で企画書を審査するプランナー。
・作る企画書の傾向は以下の通り。
ゲーム性 40%
新規性 20%
シナリオ 2%
グラフィック 10%
商品性 30%
それじゃあまあ、それぞれの要素について一気に考えてみる。
なんだかゲーム業界内に敵を作ってる気もしなくもないですが気にせず猛スピードで駆け抜けます!
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まずは「ゲーム性」。
面白い!と思わせる為の基本的な仕掛け。
「ムヒョー!このゲーム超ハマるぅ!面白い」
とユーザーが喜ぶ部分の事です。
ここをちゃんと考える事はプランナーの初歩、いや基礎にして応用、いやプランナーの全てと言っても過言でない!と言われたりします。この部分に言及させると一晩でも二晩でも語り始めるプランナーは後を絶ちません。
ということで、学生の皆さんは
「既存のジャンルから選ぶ」
戦略を取るのがベストだと判断します。だって、大変だもの。
全く未知のモノを「面白そうだ」と思わせるには相当の技量を必要とするし、既存のジャンルであれば経験則による面白さの予測がある程度可能なのでこれを利用しない手はない。だいたいプロの作るゲームだってほとんどが既存のジャンルをパクってちょっとだけトッピングするだけだからね!面白さの本質的な勉強は、会社に入ってから別の本でも読んで勉強してください。ひどい!あんた最初からこの結論目当てだったのね!的な。
で、どんなジャンルを選べばいいのか?
まずは対象となる企業が「作りそうなもの」が王道といえるかと。
SCEに向けてWiiの企画を書いてみたり、携帯コンテンツしかやってないに大型MMOを投げつけるような変化球は無くはないですがアリかと言われると無いみたいな。つまり、無い。
それと、今回の企画書では「シナリオ」「グラフィック」のバランスは軽視されているので、今風なRPGやアドベンチャーはちょっと向いてない気がする。2Dシューティングや、2D格闘ゲームみたいなブームが過ぎたジャンルも、変化球としては面白いけれどとりあえずは避ける。
テーブルゲーム(パズル)は何故か「企画者たるもの一度は考えてみなきゃ」的な神話があり、悪くは無いんですがパズルゲームの企画を5枚で書くのはちょっとアンバランスな気がしたのでパス。
残るのは今まあそこそこ売れている「アクションゲーム」「3Dシューティング」「脳トレ系ソフト」くらい。
どれでもいいんですが「3Dシューティング」でやってみますか。FPSとかTPSとか、ああいう奴です。
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次に重要視されているのは「商品性」。
言い換えると「このソフトが売れる理由」です。
世界の真実としては「ドラクエの続編」とか「任天堂発売の Wii ソフト」とか「Halo の続編」とかにすればいわゆる売れるソフト、になりそうなんですがそれを書いてしまうと身も蓋も無いのでやめておきます。面接でも言っちゃダメです。プランナーたるもの、「自分の企画力こそが売り上げにつながるんだ」という夢は持っていたいのが人情というもの。思いやりのキモチ、大事。
という事で、当たり障りの無い「売れる理由」を企画にくっつけてあげる訳です。
たとえば、マーケットの動向をグラフ化して「次はこのムーブメントが来る」とか書くのも一つの手です。
ただ、プランナーには市場分析が好きな人とそうでない人が居ますので、ちょっと今回はやめておいて、別のソリューションを取ります。それは、
「みんなが知ってる何かをくっつける」
という事です。
有名なモノならなんでも良い訳じゃなく、一般的な、出来ればお父さんお母さんが判るようなモノがいいですな。
まあ何ですかね、適当に羅列すると、
・サッカー
・イラク戦争
・福田内閣
・相撲
・巨人軍
・女子高生
とか。
とりあえず、サッカーにしますか。女子高生もいいんですけど。
海外でも人気のあるスポーツですし、日本の会社は今は北米に目が向いているところが多いので。
これで「全世界のサッカーファンも注目します」という売り文句が出来そうだし。
この「みんなが知ってるモノをくっつける」というのは、それ自体で売れる要素になるわけではないですが、審査官の理解が大幅に早まります。書き手の「オレオレ世界観」の上で繰り広げられるゲームは、その世界観を理解するまでに時間がかかりますから。
とはいえ、あまり時事ネタ・時事キャラを入れるのも良くないです。
何事もあまりあからさまにやるのはヨクナイです。
え?実戦で使えるかって?
こんな手法でゲームソフトが本当に売れるなら、世の中のゲーム会社はみんなウハウハですよ。あはは。
あはは じゃねえ。
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次は「新規性」。
「FPS+サッカー」で悪い意味での新しさは感じられる気がしますが、ここでの新規性は「遊びの新規性」です。
「で、このゲームの遊びの新しさはどこにあるの?」っていう人へのサービスになりますな。
FPSっていうベースのゲームシステムがあるんで、その上に乗る新しいアイデア。
RPGとかの新しいシリーズが出るたびに「○○システム」みたいなモノが得意げに入ってくるのはこういう宗派が幅を効かせているからです。なんですか?「その割には邪魔なシステムが増えてる?」ですって?なんてこと言うんだ!あやまれ!ゲーム業界の先輩達にあやまれ!
で「FPS+サッカー」っていうカテゴリーが決まっているので、「新規性」はそのカテゴリーをもり立てる為に用意すると。
えーと、しかし、なんかまあ、全然思いつかない。
とりあえず、サッカーのシュートとFPSの射撃をかけて、
「インフィニット・シュート」
とかにしておこう。
後から思いついたらちゃんとすればいいや。
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じゃあ次は「グラフィック」。
この企画書を書く学生さんは絵の描けない人。
ということで、グラフィックは「自分で描かない」というコンセプトで。
それで「サッカー」と「FPS」を好きな人が喜ぶような絵をそろえると。
ちなみにキャラクターはみんながイチャモンを付ける部分です。
よほど絵に自信が無い限りは、なるべく自分で描かない方がいい。
知り合いに上手い人が居れば別ですが。
じゃ、次。
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最後は「シナリオ」。
シナリオっていうか、設定ですな。
ま、なるべくサラッとすませます。
「サッカーの過激化が進行した世界。武器の携帯を許されたイレブンが、命を賭けてワールドカップに挑む」
こんな感じで。後から変えるかもしれないけど。
あんまり未来にしたり、よその惑星の話にはしちゃダメだと思うんだなぁ、ぼかぁ。
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本日のまとめ。
ゲーム性 → 既存のジャンルから選ぶ。
商品性 → 知ってるものをくっつける。
新規性 → 新しいシステムをくっつける。
グラフィック → 自分で描かない。
設定 → サラッと済ます。
結論 → 「FPS+サッカー」
今回も全然進捗感無いっていうか表紙にメモしただけ。
http://www.bukkoro.com/taro/u2dgkk/pdfs/sample_080129.pdf
大丈夫か?この企画。
いや、次回は結構見た目的に進捗感が出る予定!!