こんにちは。 横鹿(よこしか)です。
投薬していると
ちょっと変わった患者さんに当たる事があります。
悪気は無いのは分かるのですが…。
…勉強好きなのか…対等に話したいのか…
誉めてもらいたいのか…
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以前お話しした「タトゥーは入れない」
での店舗での事。
駅から少し離れている住宅街の中のクリニックの『マンツーマン薬局』でした。
〈解説〉
マンツーマン薬局
➡ほぼその病院(小さいクリニックである事が多い)の為に存在する薬局。
➡その医師の出す薬を中心に揃えてあるので患者さんは困らない。
逆にうっかり他に薬局に処方せんを
持っていくと、在庫がない場合があるので注意(取り寄せてくれます)。
大体近くに住んでる方が気安くいらっしやる雰囲気であることが多いので…
大きい病院の近くではあり得ない事が起こります。
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薬局長M♀「あっ、今回は横鹿(よこしか)さんの番だね(笑)」
「行けるよね!闘って来て(笑)」
横『あ~はい…。了解です』
その患者さんは小脇に結構な厚さの教科書みたいのを持ってます。
沢山の付箋が見えます…。
患者さん「今日はさ、僕の飲んでる血圧の薬について教えて欲しいんだ!」
そういうとその厚い本を投薬台の上に広げます。
うしろでその様子をニヤツキながらチラ見している同僚たちの視線を感じます。
(完全に面白がってる…)
その厚い本はどこで手に入れるのか…
多分、社会人向けの薬に関する通信教育か講座があるのでしょう…
私達の使う専門書とは違います。
一般の人向けのより、ちょっと専門的にお薬が説明されてる様な感じです。
血圧の薬もある程度カテゴリー別に書いてあり代表的な成分名なども表にされてありました。
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この方は数種類の作用の異なる血圧の薬を服用しております。
ちなみに、お薬は【前回Do】
➡「ぜんかい ドゥー」と読み
業界用語で「前回と同じお薬の内容」を示します。
病気の状態が安定していてコントロールされてる事が推察されます。
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患者さん「あのね、この薬はアムロジンだから、このカルシウム拮抗薬なんだよね」
(Caブロッカーね…)
➡同じ意味です。拮抗は「きっこう」と読みます。
患者さん「でさぁ、
こっちのこれってどこに入るの?
アンギオテンシン変換酵素阻害薬の例にも入って無いんだよ~」
⬆凄い「ドヤ顔」
(ACE(エーシーイー)ね。ってか、私はアンジオ派だけどね)
➡英語読みの場合、若干カタカナが違ってくる。
横『あぁ、えっとですね。
この薬はもっと新しいタイプの薬なので
この表にはまだ載って無いんです~(笑顔)』
⬆(ってか、それよりもっと新しいタイプも出てるけどね!)
(ちょっと寂しげに)
患者さん「あっ、そうなんだ~ふう~ん」
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そう、業界の方はお分かりですね。
この患者さんには『ARB(エーアールビー)』が出てたんです。
〈解説〉
ARB➡アンジオテンシンⅡ(アンジオテンシンのタイプ2の意味)受容体拮抗薬
➡比較的副作用が少ないので(妊婦は駄目)
今やアムロジピンと共に主流。
➡配合錠(いくつか薬があらかじめ混ざってるタイプ)にも結構入ってるので今や表がないと分かんない…
薬剤師泣かせ…
成分名のうしろに『サルタン』が付くのが特徴
・ロサルタン
・オルメサルタン
・テルミサルタン
・アジルサルタン
など
(サルタンって世界史に出てくるスルタンと似てるよね…気になって…)
その教科書(テキストか…)には主流から外れつつある『ACE』までしか書いてなかったのです。
(結構古いバージョンだな~)
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患者さん「じゃあさ~僕は新しくて良いのを使ってるんだね?」
(⬆めげない!なんて前向き!)
横『そうなんですよ(笑顔)。
でも、もっと新しいのも出てるんですよ。』
患者さん「そうなんだ~
じゃあさぁ、それをさ、ここの表に書き足して~」
(…まだ来るんだね…)
横鹿(よこしか)は素直に『カキカキ』しましたよ。
まだ色々聞きたかった様ですが、他の患者さんもいらっしゃいますので
後ろを振り返り、察して
(勿論、他の患者さんは怪訝な表情)
嬉しそうにテキストを脇に抱えて帰っていかれました。
横『お大事になさって下さいね~』
(取り合えず…済んだ…)
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同僚A「今日は何聞かれたの?」
嬉々として聞いてきます…。
報告すると
薬局長M「うわ~やっぱ新人はまだ無理だ~」
そう、新人(薬剤師)が対応すると面倒な展開になることが多いのです…
この患者さんは悪気ないから良いのですが
中には新人が入るや否や
指名して質問攻めにする方もいるんです…。
力量を試すのかしら…。
そう、『闘い』ですよね。
勝ち負けは無いのですが…。
それでは今回はこの辺で失礼致します。
横鹿(よこしか)