思いがけずドクチュルの秘密を
知ってしまったチェロク
いてもたってもいられず
ドクチュルの家に向かった
家の前でウロウロしていると、
やって来たウノに
促されるまま中に入る
今日は末っ子ソングァンの誕生日だった
ドクチュルファミリー全員集合
『お父さんのバレエの先生』として
皆に温かく迎え入れられたチェロク
*ソンサンは除くw
今日、ハラボジがデビューした
人前で踊って拍手をもらった
とても上手だった
チェロクの言葉に喜ぶ家族たち
*ソンサンは除くww
楽しそうに家族と話し、
食事をするドクチュル
いつもと変わらない様子だが…
どうしてもドクチュルから
目が離せないチェロクだった
悩めるソファーに座る二人
誕生日おめでとうと言うチェロクに
こんな事を毎年毎年、何やってんだか…
と、ため息をつくソングァン
僕は羨ましいけどな…
祝ってくれる家族がいるなんて
と、ボソッと呟くチェロク
これが本音だよね
そこにやって来て
ソングァンにあっちに行けと言うウノ
家族ってこんなもんだ、チェロク
…と、立ち去るソングァンwww
チェロクが食事中ずっと
ドクチュルを見ていた事に
気付いていたウノ
ハラボジに何かあったの?
と、尋ねるが…
ただ、家でどんなふうなのか
見てみたかったから…
と、誤魔化すチェロク
父以外の家族はみんな
ハラボジのバレエを応援している
何より健康だから心配していない
ウノのその言葉にチェロクは
ため息をつくしかなかった
先日の結婚記念日に
その時、ヘナムには内緒で
遺影を注文していた
することが一つ終わったな
そう呟くとドクチュルは
机の引き出しに写真を
隠すようにしまい込んだ
そんなチェロクの思いを知る由も無く
またバレエ団に行って発表もして良い
と、スンジュに言われて
大はしゃぎのドクチュル
今日からレッスン30分追加
と、忘れないようメモを取り、
雨が降るのか?体が重い…
こういう時はお風呂がいいんだけどな~
と、遠まわしにチェロクを銭湯に誘う
そうだな、年寄りとは行きたくないよな~
誰か背中を流してくれるかな~
と、意外としつこいドクチュルwww
結局、根負けしたチェロクに
バナナ牛乳2個買ってやるよ!
と、大喜び
誰がどう見てもハラボジと孫だ…と
こうやって銭湯に来たら
父さんとの関係も良くなるかな?
と、ドクチュルに尋ねるチェロク
父さんとは思い出が無い
練習で叱られたり殴られたり
そんなことしか覚えていない
父さんは体罰で刑務所に入って
母さんもその頃亡くなった
本当に憎くて、もう会いたくなかったのに
やたらと考えてしまうんです
そのチェロクの言葉に
父との事を話すドクチュル
いつの間にか足取りがおぼつかなくなり
痩せ細って年老いた父の背中
やりきれない思いで
その背中を流すドクチュルに
父が言った
ドクチュル…すまなかったな
バレエができなくて悲しかったのは
父も同じだったとその時分かった
その一言で、心が解放されたよ
チェロクのお父さんもそうだ
言葉にできなかっただけだよ
それに、どうして思い出がないんだ?
お前が幼くて覚えてないだけさ
きっとお父さんもチェロクを連れて
銭湯に行ったり
水遊びに行ったりしたはずだ
仲良くなるさ、チェロク
私と父のように
ドクチュルの話をただ黙って
二人が銭湯を出ると
雪が降っていた
昔は雪が降ると雪かきしたり
道が凍って仕事が大変だった
だけど、最近また好きになった
雪が降るとワクワクするんだ!
そう言って、小走りで帰って行くドクチュル
ドクチュルが心配で
コッソリ後をつけるチェロク
家の中に入って行く
ドクチュルの姿を見届けると
よくできました、ハラボジ
チェロクは心の中でそう呟いた
ドクチュルの事が
心配でたまらないチェロク
ウノに病気の事を話そうと
呼び出したものの…
一緒にコーヒーを飲んだだけで
どうしても話す事ができなかった
ガッカリして家に帰ると
セジョンが待っていた
ウノに話すべきか悩むチェロクに
セジョンはサッカーに例えて言った
お前がゴールキーパーで
ハラボジはストライカーなんだ
シュートを決めるのはハラボジで
キーパーのお前じゃない…と
ハラボジの後ろをガッチリ守って待て
不安でたまらないだろう?
それなら声を上げて応援しろ
拍手しろよ!
そうすればシュートが決まる
ストライカーを信じろ!
セジョンほんとに良い子や~
だけどやっぱり気になるチェロク
週末でもかかってきていた
モーニングコールがないだけでも
心配になってしまう
スタジオに一人で来れるかな?
と、ソワソワして
ドクチュルの元気な姿にホッとする
だけどその日、ドクチュルは
何かを忘れている気がした
どうしても思い出せず手帳を見ると
今日は病院に行く日だった
妻がひどい頭痛だから
薬を届けに家に帰って来る
すぐに戻るから…と、
チェロクに嘘をついて病院に向かった
ドクチュルが心配でたまらないチェロク
すぐ後を追いかけようとしたが
スンジュにリハビリに連れて行かれてしまう
これからどんどん記憶が薄れて
メモした内容も分からなくなって
また道に迷うこともあるでしょう
医師のその診断に今年は何年ですか?
今日は何曜日ですか?
今の季節は?
という医師の質問に
私がバレエを始めた年です
妻が銭湯に行く曜日です
四季だ…忘れたくありません
ドクチュルはそう答えた
病院からの帰り道…
公園を歩いていたドクチュルは
突然、何も分からなくなってしまう
チェロクがリハビリから戻ると
ドクチュルの姿が無かった
携帯もつながらず、
ヘナムの頭痛も嘘だった事が分かり…
スタジオを飛び出し
ドクチュルを探すチェロク
日が暮れて辺りが薄暗くなっても
ドクチュルはまだ
同じ所に立ちすくんでいた
そんなドクチュルに気付いたのは
ホボムたちだった
何をきかれても
自分の名前や家族の名前を
言い続けるドクチュルが
尋常な状態でない事に気付き
ドクチュルの所持品から
連絡先を探そうとするホボムたち
どう見ても親父狩りにしか見えない
そして、手帳を見て…
ドクチュルの病気を知るホボム
ホボムから連絡を受け
駆けつけたチェロクだが…
チェロクのこともわからないドクチュル
ドクチュルが握り締めている手帳を見て
その中に書かれていた事を思い出す
ハラボジ!僕を見て!!
そう言って踊り始めるチェロク
『あの日も私は記憶を失くした
どうやってあそこまで行ったのか
全く思い出せない
ただ、
私の耳に突然音楽が聴こえてきて
私の目にバレリーノが見えた
その青年が舞い上がると
幼い頃に見た
バレリーノの姿が浮んだ
怒鳴る父の顔と
幼い私の姿が見えて
少しだけ正気を取り戻す事ができた
あの日から
あの青年のバレエを踊る姿を
頭から振り払う事ができなくなった
私は絶対にここでバレエを習いたい
いや、習わねば…』
手帳の中に書かれた
あの日の真実
ドクチュルの前で
踊り続けるチェロク
いつしか降り始めた雪の中
静かに…静かにチェロクが舞う
少しずつドクチュルの瞳が
チェロクの姿を捉え、そして…
チェロク…
ドクチュルのその声に
ゆっくり振り返るチェロク
静かに雪が降る中
スニーカーで踊るチェロクが
すごくすごく綺麗で
ドクチュルを思う気持ちが切なくて
とても素敵なラストシーンでした
チェロクが踊る姿に
ホボムも何か感じたハズ!
今度こそ、前に進んでほしい
それでは
今日も最後までお付き合い頂いて
ありがとうございました
*画像お借りしました