石渡 沙弥香
皆さんは「ホームステージング」という言葉を聞いたことがありますか?
ホームステージングとは、家を売却する時などに室内を家具や小物などで飾り付け、モデルルームのような空間にすることをいいます。
ホームステージングは1970年代にアメリカで誕生しました。現在アメリカでは家を売却する人の多くが利用しており、日本でも数年前から注目され、徐々に普及している取組みです。
それではなぜホームステージングが、近年日本で注目されているのでしょうか。
最近では物件を探す人のほとんどがインターネットを利用しています。
成約してもらうためには、まずインターネット上に数多く掲載されている情報や写真の中から、買い手に『実際に見てみたい!』と思わせることが重要です。
ここで、2枚の写真を見比べてみましょう。
①の写真は、日当たりが良く開放感のあるリビングであることがおわかり頂けると思います。広々とキレイに撮影されていますが、②の写真と比べるといかがでしょうか?
②の写真の方が、家具が配置されたことにより、明るい陽射しが差し込むリビングでゆったりとくつろぐ姿や、家族との団らん、友人とのホームパーティーを楽しむ光景など、自分がこの部屋に住んだときのイメージを膨らませることができると思います。
これがホームステージングによる効果です。
イメージがしやすくなったことにより、①のような写真を掲載したときよりも、『実際に見てみたい!』という問い合わせに繋がりやすくなります。問い合わせが多くなるということは、それだけ成約に結びつきやすいということです。
実際に日本ホームステージング協会が2016年12月1日~2017年6月30日の間に実施した、「ホームステージング実態調査」の調査結果によると、ホームステージングを行なっていない部屋は、販売までに平均124日かかっているが、ホームステージングを行なった部屋は、販売までに平均40日と、約1/3の期間に短縮されていることがわかります。
以上の結果から、ホームステージングは成約に繋がる重要な手段と言えるでしょう。
また、ホームステージングを行なうと「物件の価値を高める」というメリットもあります。
「ホームステージング実態調査」では、ホームステージングにより当初の査定額より平均約23万円(約0.5%)高く売却されたという結果が出ています。
ホームステージングは売買物件だけでなく、賃貸物件でも有効な手法とされています。
部屋ごとにコンセプトを決め、それに見合う家具や物を置くことで早期に借り手が決まった例や、入居率の低迷している和室をステージングすることで入居者が決まり、稼働率が上がったという物件もあるそうです。
少しの工夫で部屋の新たな価値を引き出すことが出来るホームステージング。
これからホームステージングが当たり前になる時代も、そう遠くないかもしれません。