しばらく前に『構造把握の重要性を認識する』ことをテーマとした有名な東大の問題を紹介しました。
今回は第1回の東大の問題とは異なるものの、和訳問題としてはよく狙われる、しかしなかなか正確な解釈ができない問題を紹介しようと思います。
【問】全文を和訳しなさい。
Police report that another heavy snowfall yesterday evening in the west of the country led to hundreds of cars being abandoned along the main road.
●解説●
さて、どうだったでしょうか? この問題は『無生物S構文』や『意味上のS+動名詞』といったものが問われている問題です。
◆Police report that SV ...部分◆
ここは、直訳をして「警察は~ということを報告している」とするのも一手ですが、このように"情報源+「言う・示す」系のV3+that SV ..."となっているときは『無生物S構文』を意識して、「情報源によると…」などと訳せばよいです。
今回はreportという語が使われているので、「警察の報告によると…」や「警察によると…と報告されている」などと訳すとよいと思います。
◆another heavy snowfall ... led to ...部分◆
that節内の大きな文構造は、snowfallがS、led toがVとなっています。さて、ポイントはこのled toです。
cause, bring about, lead to, result in, give rise toなどは大きく捉えるとすべて「~を引き起こす」という意味です(細かいニュアンスや使用法の違いはここでは除外します)。
この日本語からもわかるのは、このような動詞の場合『Sが原因→Oが結果』という関係が発生します。
このようにSが無生物で、かつ因果関係が発生している場合は『無生物S構文』を意識しての訳出が効果的です。
今回もこれを意識して「その国の西部に昨夜再び降った大雪によって、~した」と訳せばよいのです。
◆led to hundreds of cars being abandoned along ...部分◆
さてこの問題の最大のポイントはこの部分です。
上の内容より、Sは「昨夜再び降った大雪」、Vは「引き起こした」となっていることから、Oが「何百台もの自動車」ではあまりに不自然です。
ここで知っておくとよいのは『"前置詞+名詞+doing ~"という形のとき、「名詞が~すること…」と訳すことが多い』ということです。
これはどういった解釈をしているかというと、"doing ~"が動名詞となっており、その意味上のSが"名詞"だと解釈するということです。
もちろん文法的には、『"名詞"に対して"doing ~"が現在分詞のカタマリを作っていて修飾している』という可能性も十分にありますが、上記のように『意味上のS+動名詞』と解釈することが多いという意識を持っておくとよいと思います。
ただし、注意は必要で、あくまで"前置詞"が"名詞+doing ~"の前にあるときにのみこの確率論は言えるのであって、ない場合は、後に書いた"名詞+現在分詞"という解釈の方が圧倒的に多くなってくる点にも注意しましょう。
実際今回も『意味上のS+動名詞』という解釈をして「幹線道路では、何百台もの自動車が乗り捨てられた」と解釈するとよいと思います。
●全訳●
以上をまとめて全訳を作っておくと、『警察の報告によると、その国の西部に昨夜再び降った大雪によって、幹線道路では、何百台もの自動車が乗り捨てられたということである』となります。
今回は第1回の東大の問題とは異なるものの、和訳問題としてはよく狙われる、しかしなかなか正確な解釈ができない問題を紹介しようと思います。
【問】全文を和訳しなさい。
Police report that another heavy snowfall yesterday evening in the west of the country led to hundreds of cars being abandoned along the main road.
●解説●
さて、どうだったでしょうか? この問題は『無生物S構文』や『意味上のS+動名詞』といったものが問われている問題です。
◆Police report that SV ...部分◆
ここは、直訳をして「警察は~ということを報告している」とするのも一手ですが、このように"情報源+「言う・示す」系のV3+that SV ..."となっているときは『無生物S構文』を意識して、「情報源によると…」などと訳せばよいです。
今回はreportという語が使われているので、「警察の報告によると…」や「警察によると…と報告されている」などと訳すとよいと思います。
◆another heavy snowfall ... led to ...部分◆
that節内の大きな文構造は、snowfallがS、led toがVとなっています。さて、ポイントはこのled toです。
cause, bring about, lead to, result in, give rise toなどは大きく捉えるとすべて「~を引き起こす」という意味です(細かいニュアンスや使用法の違いはここでは除外します)。
この日本語からもわかるのは、このような動詞の場合『Sが原因→Oが結果』という関係が発生します。
このようにSが無生物で、かつ因果関係が発生している場合は『無生物S構文』を意識しての訳出が効果的です。
今回もこれを意識して「その国の西部に昨夜再び降った大雪によって、~した」と訳せばよいのです。
◆led to hundreds of cars being abandoned along ...部分◆
さてこの問題の最大のポイントはこの部分です。
上の内容より、Sは「昨夜再び降った大雪」、Vは「引き起こした」となっていることから、Oが「何百台もの自動車」ではあまりに不自然です。
ここで知っておくとよいのは『"前置詞+名詞+doing ~"という形のとき、「名詞が~すること…」と訳すことが多い』ということです。
これはどういった解釈をしているかというと、"doing ~"が動名詞となっており、その意味上のSが"名詞"だと解釈するということです。
もちろん文法的には、『"名詞"に対して"doing ~"が現在分詞のカタマリを作っていて修飾している』という可能性も十分にありますが、上記のように『意味上のS+動名詞』と解釈することが多いという意識を持っておくとよいと思います。
ただし、注意は必要で、あくまで"前置詞"が"名詞+doing ~"の前にあるときにのみこの確率論は言えるのであって、ない場合は、後に書いた"名詞+現在分詞"という解釈の方が圧倒的に多くなってくる点にも注意しましょう。
実際今回も『意味上のS+動名詞』という解釈をして「幹線道路では、何百台もの自動車が乗り捨てられた」と解釈するとよいと思います。
●全訳●
以上をまとめて全訳を作っておくと、『警察の報告によると、その国の西部に昨夜再び降った大雪によって、幹線道路では、何百台もの自動車が乗り捨てられたということである』となります。