『基礎英文問題精講』~タイトルに騙されず標準的な問題を演習する~ | 大学受験 英語勉強法 〜灘高&京大卒 塾講師からの指南〜

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中学受験に失敗…その後懸命に努力し高校受験で灘高に合格! 一時燃え尽き症候群で苦しむも再起し京大合格! 今ではその経験を活かし、塾・予備校講師として主に高校生・浪人生に英語を教える日々。そんな講師が具体的な大学受験の英語勉強法を提示する。

僕などが生まれるはるかに昔から存在し、未だに受験界で定番の問題集として存在している問題集もあります。ただし、このような問題集は、「その時代の難易度設定でタイトルを付けている分、実際のレベルとは乖離していることがある」という注意点があります。その代表的な存在を紹介したいと思います。


それは『基礎英文問題精講』(旺文社)です。




●取り組む以前の注意点●
この本のタイトルを見ていると、いかにも簡単そうな雰囲気を出している上に、高校の先生などによっては、自分の時代にちょうどマッチしていたがために自分自身がこの問題集を使い、その結果レベルが異なる、ニーズが異なる生徒に薦めてしまっていることもよくあります


しかし、実際にこの問題集は決してそれほど簡単ではないのです。むしろ、大学入試から見れば標準レベルは十分にある問題集となっているので、「英文解釈・英文和訳の基本的な問題集をこなしたい」という需要は満たしてくれないと思います。



●掲載問題数と対象レベル●
構成としては『構文編(演習問題40題+重要類題33題+練習問題40題)+文脈編(演習問題20題+重要類題7題+練習問題20題)+応用問題編(演習問題20題+練習問題20題)+頻出重要テーマ演習編30題』となっています。


『構文編』は下線部和訳問題、『文脈編』は指示語中心の説明問題、『応用問題編』は下線部和訳問題・指示語説明問題・その他の問題、『頻出重要テーマ演習編』は下線部和訳問題という構成になっており、上記の内容を見てもらったらわかるように、非常に問題数が多くなっています。


確かにこう言えば、問題演習するには困らないように思うかもしれませんが、問題もあります。それはこの『○○問題精講』シリーズによくありがちな『解答集が非常に薄い』という問題点があるのです。


『取り組む以前の注意点』にも書いたように、決して簡単な問題ばかりではなく、むしろ標準~やや難くらいの難易度の問題も多数収録されているので、この参考書程度の解説で納得できない、わからないところがある状況であれば、この問題集ではなく、演習問題量は少ないけれども、解答集が詳しいものを選択していくべきだと思います。


また問題数が多くなっているので、和訳の練習をしたいだけであれば、『構文編』だけを扱っていけばよいと思います。なお、練習問題の方が簡単なレベル設定になっているので、『構文編』をこなすのに時間がかかったからといって練習問題を避けずにやっていくようにしましょう。


また、対象レベルとしては、将来東大・京大・国公立医学部を目指す高校2年生であれば十分に取り組むことができるものだと思います。英語が得意な子であれば高校1年生の終わり頃からやっていっても十分取り組むこともできると思います。ただ、この時点では単語レベルで厳しいという可能性もあるので、その点は単語帳や辞書を活用する中で補っていくことが必要です。



●取り組む上での注意点●
この問題集自体はある程度テーマ別に並んでいますが、決して最初に「文型」、次に「関係詞」といったような、よくありがちな文法順では並んでいません。なので、実際に演習する際には前から順にこなしていけばよいと思います。


また『文脈編』では指示語問題が多数収録されていますが、時間的余力があれば、この問題もこなしていけばいいと思います。というのも、実際の入試で指示語問題はよく出題される形式であり、パッと見指示語問題に見えなくても、実際にはそのような問題であると帰着できる問題が多いからです。


再度になりますが、この問題集は学校の先生の中に難易度把握を誤っている状態で薦めてくることも多い問題集でもあるのですが、決してタイトルに騙されずに冷静に問題をこなしていきましょう


また上で書いたように、決して解説が詳しいわけではないので、いつでも質問できる状況にあること、身近に質問できる先生がいることが重要だと思います。