人知れず咲く、サボテンの花は
困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。
これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」
メグミは会長にミットをお願いして、定番の連続打ち、ワンセット1分30秒以上もある、ハードなミット打ちのトレーニングをしていた。
汗をリングに撒き散らしながら必死にミットめがけてパンチを打ち込んでいる。
メグミは、私は、こんなものでは終わらない、と。
ハードなミット打ちに耐える事で何かが生まれる。と根拠の無い自信がメグミのトレーニングを支えていた。
そんな直向(ひたむき)さが周りに伝わって来る。そんな彼女に一目置いて居るジム仲間も多かった。
金曜日の、スパーリングデーでの出来事、
その日はスパーリングができるレベルの会員は、それぞれのレベルに合わせて、パートナーを組んでスパーをする。
この日メグミは自分の思うスパークリングが出来なかったと、気の強さをあらわにしていた。
試合であれば負けていたであろうスパーリングの内容に自分自身が納得出来なかった。
洗面所の鏡の中に、
メグミのくやし涙した顔があった。
突然、後ろから一般会員の山内の顔が映り込んできた。
そしてボソリと言った。
「君のこと好きな理由が多すぎて、どのように並べてあなたに説明をしていいのか今はわからない。」
山内はメグミの様に強くも無いし、体力も多分メンタルな部分においても劣っているであろう、
だから彼女の様に心身ともに強い者に憧れてジムでトレーニングしてる。山内はそんな会員の1人でいた。
メグミに想いを寄せている山内はメグミと同じ鏡の中で恋の思いを告白した。