人は自分を守るために鎧を必要とすることがあって
皮膚や筋肉や脂肪が鎧の役割をしていることがあります。
テントウムシも鎧をつけて自分を守っているのかな…
バンクーバーに住んでいた頃の知り合いの
繊細でとても傷つきやすかったカナディアンの男性は
ジムでダンベルやマシントレーニングをして、
ものすごく身体を鍛えていました。
胸板の厚い逆三角形の身体は、
Tシャツしか着ていなくても、
アメフトのユニフォームを着た選手のよう。
威圧感を感じさせるいかつい身体と、
怖がりで繊細な性格のアンバランスさがすごく不思議で、
ほんの小さな衝撃で“パリン”と
割れて壊れてしまうガラス細工みたいでした。
そして、
たしか40歳代だったと思いますが
声が少年のように高くて、
ハラからでも胸からでもなく、
頭の後ろあたりから声が出ているようだった。
身体を鍛えて見た目を強そうにすることは出来ても
声は繊細で傷つきやすい彼の内面をよく表していました。
お腹から声なんぞ出そうものなら、
溜め込んでいる感情が堰を切って出てきてしまう
だから、口先だけで話す、喉から声を出す。
そんな発声をくり返すことで、
身体はさらに緊張をため込んでいく、という印象でした。
コンティニュアム・ムーヴメントでは声を使います。
自分のペースで、
楽な姿勢で、
身体の感覚に注意を向けたりしながら、
ゆっくり長く声を出して行くうちに、
呼吸が深まり、緊張が解けて、気持ちが落ち着いてきます。
すべては全体の動きと共に
緩やかに、穏やかに起こり
強い感情に触れることはありません。
トラウマ治療の第一人者であるピーター・リヴィーンは、
著書 『心と身体をつなぐトラウマ・セラピー』 の中で
「癒しのプロセスは、劇的でなければないほど、
また ゆっくりと起これば起こるほど より効果的である」
と書いています。
セラピーでも
布団などの安全な何かを叩いたりして
感情を放出させ
激しく泣いたり、
大声を出したり、
怒りを表現したり、
というものがあります。
タイミングや、状況、人によっては、
そうした方法が有効な場合もあると思いますし
激しく感情を表出させることで、
何か素晴らしく大きな開放が起きたように感じる…
けれど
ピーターが書いているように
癒しのプロセスは
劇的ではないものがより効果的。
強さは、
ガチガチに張り詰めた
鎧のような冷たい固さには無くて、
温かくてふっくらとした、弾力性と柔軟さの中に在る、と
カナディアンの友達に、今なら伝えられるのだけどなー。
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