私はとにかく彼女にほれ込んでいた。
美人だった。が、
性格は・・・、
今思えばひどく悪かった。
当時は、
『人間、誰しも必ず良い所があるさ。』
と本気で思っていた。
『自分に言い聞かせていた!』が正しいかも。
今でもこれを間違っているとは思わないが・・・、
だとしても性格の良し悪しは多少?あると思う。
今思えば、単に見た目だけで好きになっただけ。
でも、浮気をしようなど、全く考えたことがなかった。
したいとも思わなかった。
私は
彼女がそばにいるだけで、
彼女に触れているだけで、
ただそれだけで満足だった。
彼女は・・・、たまに一緒にいるだけでは不満だったらしい。
ケンカをし、別れてはくっつきを何度となく繰り返した。
空港のエレベーターの中で、
『会いに来てくれて嬉しい。』
私が着ていたパーカーの、お腹にあるポケットに彼女が手を入れながらそうつぶやいた。
でも、本当は、自分が会いたくて仕方がなくて、彼女の元に押しかけたのだ。
確か・・・初日の夜、ホテルのレストランで食事をしながらだったかなぁ。
彼女 『どうしたの?』
よか 『実は・・・、銀行を解雇されたんだ。』
彼女 『そうなんだ♪ずーっと何か言いたそうな顔してた。』
よか 『だから・・・、結婚、先の話になっちゃったかな。』
彼女 『何で?』
よか 『だって、おれ無職じゃん。』
彼女 『今仕事なくたって・・・他の仕事できるじゃゃん』
ヤングエリートの道をひた走っ・・・ていたつもりが、そのレールから外れた直後。
(そもそも、その道がヤングエリートの道だったのか、それすらも勘違いだったかもしれない。)
今となっては彼女の言葉(気持ち)を理解できるが、当時の自分には、何の慰めにもならなかった。
自分にとっては、彼女の存在が慰めになったのではなく、彼女で現実逃避していたに過ぎなかった。
その後、ただ彼女と共に過ごす時間に身を任せた。
そうしたかった。
今思えば、彼女に対し、初めて自分の弱い一面をさらけ出した瞬間かもしれない。
それまであまりに格好つけすぎていて、幻滅したのではないだろうか・・・?!
この点は今でも確認できていないし、今後も確認できないままだろう。
それにしても、平和な時間だった。
国を一周する旅に出た。
誰でも釣れるトラウト・フィッシングにtry。
火のおこし方も知らないのにBBQ。
なぜか海外に来てまで温泉
散歩してたら(気づいたら)山登り
プライベートビーチで夜の海水浴(彼女が日焼けしたくないらしく)
二度とやらないバンジージャンプ
これもやらないラフティング
これは感動!スキューバダイビング etc.
あっという間に時間が過ぎていった。
4・5週間ほどの時間がたった頃だろうか。
部屋に戻ろうとすると、フロントで呼び止められる。
『Mr.Yokappe, we've got a message for you.』
何故?
なぜ??
ナゼ???
Why????
大学の教授からの電話だった。
(つっつく)