「感性に訴えるよりも、まず機能を第一義に。」
と掲げられていたのは衝撃的だった。
その解説として、
「’美しい’よりも’美味しい’を大切にする。」と
あるのを読めば、なんとなく納得した。
確かに、
この頃いつも、一切れの羊羹の
写真を撮っているけれど、
このあいだ、その写真を全て並べてみたが、
思わず一人で笑ってしまったほどに、
その外観は、なんでもなさすぎる。
見分けもつかない。
でも一切れ入れた口の中には、
複雑系が広がるんだな。これが。
味分けはつく。
江戸時代には「みめより」という名の
和菓子があったと言うことだ。
「みめより」は「見目より」と書く。
ちなみにこのお菓子は、
もともと丸型だった「金つば」(正しくは「銀つば」)が、
四角い「金つば」になった理由の、
一つの説に影響している。
「みめより」は、小豆を立方体にし、
薄く小麦粉をつけて全面を焼いたお菓子。
京都から来た丸い「金つば」と、
江戸で当時流行していた「みめより」が融合して、
今のような四角いの「金つば」ができたという説がある。
(2006年3月31日BS2「お菓子物語」より)
和菓子において、
「見た目が悪い」
というのは、
目的とまでは言えずとも、
誇るべき結果ではあるようだ。
「見た目が悪い」というのは、
つまり「中身が良い」ことを示すわかりやすい指標である。
さらにそれを作り手が口に出して言うのは、
作り手が自身を追い込んでいることでもあり、
自信のほどを伝えているのでもあると思う。
ちょうど今日のニュースで、
資生堂と両口屋是清のコラボレーションで、
資生堂の新製品「TSUBAKI」を記念し、
椿をモチーフに、外観の美しさを追求した和菓子が、
表参道ヒルズで販売されていることを知った。
(2006年3月31日テレビ朝日「ワイドスクランブル」より)
和菓子の見た目を美しくしていくことは、
フランスのパティスリーなどに対する競争力を考えたとき、
重要なことだと思う。
確かにこれまで、友人宅へのお土産には、
和菓子はちょっと地味なので、
パティスリーのお菓子を持っていくことが多かった。
「見目より」こだわってきた「機能」の、
その遺伝子をしっかり守り抜くことができるのなら、
そこに、見た目の美しさをプラスすることができれば、
それはすごいことになると思う……