根が張り出していて、子供の格好の遊び場所となっていた
大楠の後側には、大人が入れるほどの、空洞があり仏像が安置してあった
そこに白蛇が出るという、見た と言う目撃談を子供全員が信じていたが
毎日そこで遊んでいる子供の中には誰一人目撃した者はいない
大人が、からかい、仏像の後にいるから、洞に入って見てこいと、冷やかすが
さすがに、誰も中には入れなかった
小学1~2年の頃町内の、親睦の為のバス旅行があった、目的地は福岡の動物園
テレビの無い時代、今とは比較にならない程、大人も子供も動物に飢えていた
もう夢中で園内を駆け回り、有頂天となっていた が ヘビ舎に入り足が止まった
白蛇がいた、あれほど見たかった白蛇が、大きなアオダイショウと一所に入っている
目が釘付けとなり、その場を離れがたい、閉園時間が近づき、集合地へ戻った
人が集まり始めたが、少し時間がありそうだったので、
もう一度見てくると親に断って、又従兄弟の仲良し二人でヘビ舎に向かった
親たちは、まさかヘビ舎に行くとは思ってもいない、後で大騒ぎとなる
白蛇をしばらく見て、帰ろうとした時、箱を手にした「おじさん」が入ってきた
ハツカネズミが入っている、 「それどうするの」と聞くと、「ヘビの餌」と答えた
「見てても言い」と聞くと、ちょつと考えて「良いよ」と返ってきた
近所の子供と勘違いしたのだと後で聞いた
そこで帰り時間の事は、ふっとんだ
ハツカネズミ8匹が中に入れられたら、白蛇が直ぐに動いた、何時間も「うごかなかったものが」
ネズミは「パニック」状態で右往左往している
白蛇が一匹のネズミに狙いを定め、カマ首を持ち上げた、狙われたネズミは動けない
次の瞬間白蛇が飛びかかり、ネズミをくわえて、締め上げた、ネズミは「ひとたまり」もない
頭から呑まれてしまった、もう 吃驚仰天、他のことは完全に忘れ見入った
その間園内放送で、何度も名前を呼びかけ、全員が手分けして園内を探し回っていたという
白蛇が4匹目を呑んだとき、アオダイショウが動いた
白蛇が5匹目を絞めたとき、アオダイショウが、白蛇に噛みついた
その時入り口の戸が開き、さっきのおじさんと親が駆け込んできて、
物も言わずぶん殴られた、殴られても、何故、殴られたか、直ぐには理解できない
親は平謝りしていたが、頭に焼き付いた衝撃の為、悪いことをしたという、実感は薄かった
もちろん家に帰ってから、親から「とことん」叱られた
だが、 仲間内では白蛇がネズミを呑む瞬間に立ち会っていたことで、英雄視された
願っても得られない目撃談です。