昭和45年春、柏崎市の赤坂山公園へ桜見物に行った。
二人で公園を散策した後、木村茶道美術館の方へ降りていくと、
市立博物館前の道で突然二台の車が前後に止まった。
と、同時にドアが開き四人の男が出てきて突然私と婚約者を掴んだ。
私は振り払いざま、何だ、この野郎と、いっ喝し男達へ向かった。
男達は身構えたが、丁度そこへ他の観光客が赤坂山公園の方から数人降りてきた。
それを見た男達は聞き取れない言葉で何か叫ぶとすばやく車に乗り走り去った。
拉致事件を思うにつけ、もしかして、自分たちも巻き込まれていたかと考えるとゾッとする。