二階の子供部屋に接して平屋だった隣家の屋根が窓の外にある、
今では考えられない事だが子供達は屋根から屋根へ飛び移り立体的な遊びを楽しんでいた。
荒縄を使ったターザンごっこなどは得意中の得意、
次々と仕掛けを作る忍者ごっこも人気があった。
困るのは「ハチやアブ、アリやカ」などの毒虫によく刺される事だった。
特にハチの数は多く中でも屋根瓦の隙間や軒下に巣作りするアシナガバチには困っていた。
仲間の男友達は全員刺され、仕返しとして夜ハチが飛んでいないのを確認して、
その蜂の巣を落として逃げたことは何度もあった。
落とした本人は得意になり仲間から、ほめられる、遊び場の敵を排除したからだ・・・
ある春の日のこと、隣家の屋根瓦の隙間にアシナガバチが巣作りを始めた。
我が家の板壁を囓り、唾液と混ぜて六角形の巣を作っていく。
春のハチは人を刺さない事を知っていたので直ぐ側で見ていた。
まだ一匹だけの親蜂は忙しく立ち働き巣の中におしりを入れて、卵を産み付けた。
数日後親蜂が何かを運んでくる、頭を巣の中に入れ、もぞもぞしている。
餌やりの開始である。
今まで以上に頻繁に出入りしている、見ていることには気づいているが攻撃してこない。
遠くまで餌探しに行っている、その内みような気分になった。
側に餌を置いたらどうするのかな?
と考えて小さな芋虫を蜂の巣の側に置いた。
ハチは直ぐ飛んできて見る間に芋虫を肉団子にかみ砕き巣へ持ち帰り餌として与えた。
初めての体験が面白く(芋虫の命は考えていなかった)その日から
毎日何度も餌を持ってきてやり観察を続けるうち、
顔を出すと直ぐにハチが寄ってくるようになった。
ハチの数が数十匹になっても攻撃されない、その時おもった・・・・
ハチにも心が有るのだなあ~と。
秋になって数百匹となり、普通なら凶暴化したハチには近寄らないのだが、
この巣の蜂に限り、
近寄ってもぶじで、警戒のため飛び回るが一度も攻撃されることはなかった。
勇気のある方は試してみては?・・・
もちろん小学校の夏休みの観察記録に書きました。