子供の頃父に連れられて良く「うぐいす」捕りに近くの里山に行った、まだ捕獲規制の無い頃だった
囮の入った竹製の「うぐいす籠」を風呂敷で包み藪に隠す、その近くに「鳥もち」と言う接着剤を
たっぷり塗った小枝を鳥が留まりやすいように数本固定する、少し離れてしばらく待つうちに
ほーほけきょ、ほーほけきょと「うぐいす」同士が鳴き交わし始める
囮は移動できないため野生の鶯が寄ってきて、警戒しつつ「鳥もち」の小枝に留まる、・・捕獲成功。
鳥を落ち着かせるため袋を頭にかぶせ、羽や足に付いた鳥もちを手に水をつけながら丁寧に取る
それからが大変である、家に持ち帰った「うぐいす」の餌付けは至難の技で大半は餌など見向きもしない
どこで判断していたのか、ほとんどの「うぐいす」は翌朝逃がしてやった
それでも、二階の廊下に置いてあった父自慢の竹ひごで作られた7~8個の鶯籠の中には
何時も「うぐいす」がいた、鳴き声は上手下手があり、それぞれ個性があった
ある早朝のこと「うぐいす」が、けたたましく鳴き騒いだため籠を覗きに行くと、籠の中には
「ヘビ」がいて「うぐいす」はすでに呑まれていた、父は「ヘビ」を遠くに捨ててくるように命じ
その場で残りの「うぐいす」全てを逃がしてやり、その後「うぐいす」は二度と飼わなかった
話は変わるが中庭に、ここらでは珍しいサクランボの木があり二階の屋根まで届く高さがあった
春には大きなサクランボのなる木に「うぐいす」はじめ「メジロやモズ」など色んな小鳥が
年中、入れ替わりで飛んできて餌とおぼしき物を啄んで行く
ある年「アメリカシロヒトリ」が大発生し手がつけられない状態となった、
中庭のため、防除薬剤を撒いていない為である、どうするか思案している最中に奇跡が起きた
今まで見たこともない大量の小鳥、100羽を超える鳥が人の見ている前で、
瞬く間にアメリカシロヒトリをたいらげ飛び去った、
父達はこれはきっと、「うぐいす」の恩返しだと言っていたことを子供心に覚えている。