リチャード・ブローティガン
先週末、久しぶりにZ古書店を覗いたら、リチャード・ブローティガン最後の詩集 『東京日記(1992)思潮社』をみつけて。彼の(藤本和子さんが翻訳した)文体は、70年頃に登場する村上春樹ら多くの作家に影響を与えた。文体は軽やかでいてあてどのない痛みを身につけはじめたのかな。
R.ブローティガン:東京日記(1992)思潮社
ぼくは車の窓から見る
時速一〇〇キロ(六十二マイル)
男がとても慎重に
自転車のペダルを踏んで
田んぼのあいだの狭い道を
進んでゆくのが見える
数秒でかれは消えてしまった
もう記憶の中のかれがあるばかりだ
かれは時速一〇〇キロの
記憶のインクをこすった跡に
変わってしまった
R.ブローティガン:東京から高速道路で大阪へ向かう
浜松 1976年6月7日
untitled
ちょうどこのころ、わたしも東京で暮らしていたから、どこかでブローティガンとすれ違っていたのかも。などと思ったけれど、当時はブローティガンの作品を知りもしなかったから、電車で隣りあわせてもわからなかったろーな。なんとなく当時を思い出しながら、知らず詩集と記憶を読みあわせていた。
untitled
『東京日記』には感傷が影のように貼りついていて、これは日本の湿度が影響しているのかなとも過ぎったが。8年後の1984年、彼はカリフォルニアの自宅でピストル自殺している。イラストは今年ちくま文庫で復刊された藤本和子さんによる評伝『リチャード・ブローティガン 』の表紙絵に重ねて描いた。



