中村歌右衛門。傾城 阿古屋 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

中村歌右衛門の傾城阿古屋

 

昨夜、NHK地上波で『女形に生きた男たち』といった内容の古い映像が放送され、タイトルロールでは中村歌右衛門演じる「阿古屋」のなんとも艶冶な、というか凄絶なというのか、あのちょっと形容しがたい微笑に魅入ってしまった。

 

橋本治によると「死んでしまった勘三郎に勘弥に幸四郎に左團次に三津五郎—みんな白塗りにすると、不思議な透明感を発散する人たちだった。そういう人たちを相手にして、歌右衛門はほとんど壮絶な美しさを演じ続けていた。僕にとって〝昭和の歌舞伎〟といのは、歌右衛門のことだ(橋本治歌舞伎画文集)」などとある。

 

橋本治歌舞伎画文集(1994)演劇出版社(右:自製カバー)

 

戦前に団菊ら名優が相次いで亡くなったが、戦後になると6代目中村歌右衛門、中村勘三郎らが〝昭和の歌舞伎〟を形成する。その花形の代表格が歌右衛門だった。

 

歌舞伎の役者は時代劇の映画やドラマでしか知らないが、その立ち居振る舞いには「時代劇しているなぁ」である。江戸時代というファンタジー世界に没入するには、彼らの所作こそが必須条件で、近年のコミック仕様のカンフー・チャンバラは、わたしのようなオールド・ファンには、やや不向きかな。

 

中村歌右衛門 女暫

 

ところで『橋本治歌舞伎画文集』以前は手に入れ難い画集で高額本の部類(発行部数はそれほど多くないのかも)だが、先ほどヤフオクを覗いたところ結構こなれた値段がついていた。橋本による歌舞伎本は他に幾冊も出版されている。